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内部不正・情報漏えい・脆弱性診断(11)

法務部によるポリシー遵守の重要性

法務部の役割は、組織が社内ポリシーや各国の規制、契約上の義務に従って運営されていることを確認することです。これには、不正行為が発生した場合にどのように対処するかを明確に定める社内コンプライアンスポリシーの策定が含まれます。各ポリシーの管理部門が異なる場合、対応方法も法務部、セキュリティ、人事、その他の部署により異なるため、部門間の役割分担を明確にすることが重要です。

また、インシデント対応後には、セキュリティチームがすべての関連情報を収集し、誰にいつ報告すべきかを手順書に基づいて決定します。深刻なインシデントについては、法務部への報告が必須とされており、これにより法的リスクの適切な管理が可能となります。

データ保護規制の対応におけるコンプライアンス強化

GDPR(EU一般データ保護規則)、HIPAA(医療保険の携行と責任に関する法律)、CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)などの規制に準拠することは、データセキュリティおよびコンプライアンス主導のポリシーの根幹を成します。たとえば、CCPAは個人データの扱いに関して厳格なルールを設けており、違反時には高額な法定損害賠償が課される可能性があります。

法務部は、セキュリティチームと密接に連携し、これらのデータプライバシー保護法を遵守する体制を確立します。規制が適用されるデータのセキュリティを確保することはもちろん、万が一侵害が発生した場合には、迅速かつ協力的な対応をとることで、被害の範囲を最小限に抑え、法的責任の軽減を図ることが求められます。

継続的なコンプライアンスとセキュリティ基準の確立

セキュリティチームは、データ保護に関する最低基準を満たすために、適切な管理体制を整える必要があります。法務部は、定期的にコンプライアンス体制を確認し、通知要件など、組織に課される法的責務の管理方法を見直すことを推奨します。このプロセスは、組織全体のコンプライアンス維持において重要な役割を果たし、法的リスクの回避やデータ漏えい防止に寄与します。

コンサルタントの視点での提言

ポリシー管理の明確化と役割分担の調整
各ポリシーの責任部門とその管理体制を明確にし、法務部、セキュリティチーム、人事部門がそれぞれの役割をしっかり理解し協力できる仕組みを整える必要があります。インシデント対応時の連携体制を整備することで、迅速かつ的確な対応が可能になります。

規制準拠とデータ保護の連携強化
法務部とセキュリティチームが緊密に協力して、GDPR、HIPAA、CCPAなどの主要なデータ保護規制に対応するためのフレームワークを確立することが重要です。特に、データ侵害発生時の対応計画(インシデントレスポンスプラン)を強化し、違反のリスクを軽減する取り組みが求められます。

定期的なレビューと改善
法務部が定期的にポリシーやプロセスを見直し、データ保護規制に対応するための管理方法を改善することが推奨されます。これにより、セキュリティ基準が常に最新の状態に保たれ、規制遵守の実効性が確保されます。

このように、データコンサルタントとしては、法務部とセキュリティチームの協力体制を強化し、継続的なコンプライアンスの確保を支援することが求められます。

Step 1: リスク管理の重要性と影響の明確化

自社のリスクとそのビジネスへの影響

自社が直面するリスクを明確に特定し、それらがビジネスの意思決定にどのような影響を与えるかを評価することが重要です。

特に、収益、コンプライアンス、企業の評判への潜在的な影響を理解することが、効果的なリスク管理の基盤となります。

Step 2: リスク管理アプローチの戦略化

戦略的リスク管理アプローチの策定と実施

自社が採用しているリスク管理のアプローチを明確にし、それに基づいてどのように制御策を実装し、リスクを効果的に軽減するかを戦略的に策定します。

このプロセスでは、リスクの特定から対策実施まで、一貫したフレームワークの導入が求められます。

Step 3: アプリケーションリスクの管理とエンタープライズ全体の把握

アプリケーションリスクの特定と全社的なリスク把握

ユーザーアクセスやシステム構成、トランザクションに伴うリスクをどのように特定し、エンタープライズ全体のリスク状況を包括的に把握しているかが、リスク管理の効果を左右します。

リスク管理には、全社的なリスクの可視化と共通認識が不可欠です。

Step 4: リスク許容度とバランスの取り方

リスク許容度の設定と短期・長期リスクのバランス

自社のリスク許容度を明確に定義し、短期的なリスクと長期的な成長機会とのバランスをどう取るかが、戦略的意思決定において重要な要素となります。リスク許容度は、企業の戦略目標や市場環境に応じて柔軟に調整されるべきです。

Step 5: 制御戦略の統合とモニタリング

統一された制御戦略と継続的モニタリングの重要性

自社の制御戦略が全社的に統一され、各部門にわたってどの程度統合されているかを確認し、リスク軽減策が組織全体に効果的に組み込まれているかを評価します。

さらに、リスク管理の継続的なモニタリング戦略が整備されているかを確認し、適時な改善を行う体制を構築します。

Step 6: 自動化と迅速なリスク対応のための体制

リスク対応の自動化と迅速な対応体制の整備

制御の自動化と予防的なアプローチを強化し、リスクを迅速に把握し対応できる体制を整えることが重要です。
そのためには、効果的なコラボレーションツールやコミュニケーションツールを活用し、組織全体での連携を強化します。

Step 7: リスク管理の浸透と制御違反の報告体制

リスク管理知識の浸透と制御違反の報告プロセス

従業員が自社のリスク管理戦略やリスク許容度について理解しているかを確認し、その知識が業務に活用されているかを評価します。

また、制御違反が発生した際に迅速かつ効率的に報告できるプロセスを構築し、リスクの最小化を図ります。

Step 8: Office機能の組み込みによる業務効率化

Office機能の統合によるプラットフォームの付加価値向上

自社アプリやプラットフォームにOffice機能を統合することで、ユーザーが他のアプリケーションを使用することなく、シームレスに文書の編集や共有を行える環境を提供します。

例えば、自社の文書管理システムにOffice機能を組み込むことで、ユーザーはシステム内で直接文書を編集・保存でき、作業効率が飛躍的に向上します。
このような統合は、ユーザーエクスペリエンスの向上に寄与し、競合との差別化を図る強力な手段となります。

Step 9: Office機能の統合における課題と対策

Office機能統合における課題とその解決策

文書のアクセス権制御や共同編集機能をセキュアに提供することで、ユーザーの信頼を獲得し、競合サービスとの差別化を図ることが可能です。しかし、純正のOffice製品を統合する際には、技術的な課題が発生することがあります。

例えば、Microsoft365のWOPI(Web Application Open Platform Interface Protocol)を使用して文書管理システムにOffice機能を組み込む場合、自社サービスとの連携に制約が生じる可能性があります。

データコンサルタントの視点から内部脅威プログラムの構築と運用に関するレポート:
プログラム化されたタスクの実施

プログラム設定と協力要請: プログラムの目的を明確にし、各部門のマネージャーに対して協力を要請。目的には内部脅威の検知、予防、低減、対応を含め、組織全体の目標に沿った形で進める。
対象ユーザーの明確化と伝達

ユーザー定義と周知: プログラムの対象となる従業員、コンサルタント、コントラクターなどのユーザーを明確に定義し、全社的に情報を共有。これにより、全関係者が適切にプログラムに従うためのガイダンスを提供。
プログラム運用のハブ設置

中央分析オフィスの設立: プログラムの運用・監視の中心となるオフィスを開設し、全社的なデータ収集と分析、迅速な対応のためのハブとして機能させる。この拠点が、内部脅威対策の意思決定プロセスを強化。
情報アクセスとセキュリティ意識

データアクセスの承認管理: プログラム担当者が内部脅威に関連するデータと情報への適切なアクセス権を持てるよう、確実に承認フローを設定。法令順守やプライバシー保護、内部通報者の保護といった重要な法的リスクにも十分に配慮。
セキュリティトレーニングの導入

義務的なトレーニングの実施: 内部脅威に対する意識向上と、セキュリティポリシーの遵守を強化するため、全従業員にセキュリティトレーニングを義務づける。これにより、脅威対応能力の底上げを図る。
ポリシー遵守の独立評価

独立評価フレームワークの構築: プログラムのガイドラインやポリシーの遵守状況を定期的かつ独立して評価するための要件を策定し、透明性と信頼性を確保。

分散組織における多層的な保護の追加
リスク軽減のための多層的対策: 地理的に分散した組織は、プログラムの実施における格差やリスクを軽減するため、次のような多層的な保護策を導入する必要がある。

ポリシーの標準化: 全組織で統一されたポリシーと標準的な運用手続きを策定・適用。
指定連絡窓口の確立: 各地域・部門における指定連絡窓口を設置し、コミュニケーションフローを明確に。
専用のコミュニケーションチャネル: セキュリティ対応に特化した専用チャネルを設け、迅速な情報共有と対応が可能な体制を構築。
プログラムの継続的なレビューとアップデート

定期的なレビューの実施: 内部脅威ポリシーや対策は、定期的に見直しを行い、教訓を取り入れたうえでガイダンスの有効性を維持。法律や組織構造、ITアーキテクチャの変更に対応できる柔軟なプログラムを維持するため、継続的なフィードバックループを設定。

リモートワークへの対応: 急速に拡大したリモートワークに対応するため、内部脅威マネジメントプログラム(ITMP)のアップデートや変更を適宜行い、新たな働き方に合わせた保護策を講じる必要がある。

改善のポイント:
プログラムの目的、範囲、対策をより具体的に明記し、各部門やユーザーに対してより効果的な指導・協力を促す。
分散組織に対するリスク軽減策を、具体的な多層保護でサポートすることで、地域的な課題に対応。
継続的なレビューとトレーニングを通じて、常に最新のリスクと対策に対応できるプログラムに改善。

このように、データコンサルタントとしては、全体のリスク管理フレームワークを段階的に強化し、データ主導の意思決定プロセスに基づいてプログラムを改善することが求められます。

今後の情報漏えいリスクに備える重要ポイントとPAMの活用方法

現代の企業における内部不正のリスクは依然として高く、IPA(情報処理推進機構)が提供する「組織における内部不正防止ガイドライン」では、内部不正の発生原因を理解するための洞察と「内部不正防止の基本5原則」に基づく対策が強調されています。本記事では、その具体的な対策例をわかりやすく解説します。

さらに、新たなリスクに備えるために、内部不正対策の再考すべき3つのポイントを示し、それに基づく効果的なアプローチを提案します。この再考は、特にハイブリッドワークやリモートアクセスが普及する現代において、企業が直面する新しい課題に適応するために必要です。

特権アクセス管理(PAM)ソリューションの導入によるリスク最小化

内部不正を防ぐための具体的な解決策として、特権IDや高権限ユーザーへのアクセス管理は、情報漏えいを防止するうえで極めて重要です。「特権アクセス管理(PAM)」を活用することで、企業は特権アカウントの操作を監視・制御し、内部からの不正なアクセスやデータ漏えいのリスクを最小限に抑えることができます。

これにより、従業員が不正にアクセスするリスクを減少させ、外部からの攻撃に対する防御力も向上させることが可能です。内部不正対策を強化するためにPAMを活用したい方は、


経済安全保障推進法とは?

経済安全保障推進法は、国際的な不透明感が増す中で、半導体などの戦略的重要性の高い物資のサプライチェーンを強化し、基幹インフラの安定的な提供を確保することを目的とした法律です。この法律は、2022年5月に国会で可決・成立し、2023年から段階的に施行されています。

この法律に基づき、日本は重要技術の流出防止や基幹インフラの保護、さらにはサイバーセキュリティの強化を図り、経済活動における安全保障リスクを包括的に対応しています。これには、サプライチェーンの多様化や国際協力の推進、国内外の投資促進が含まれます。

IT業界への影響

特に「基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度」は、電気、ガス、通信などの基幹インフラを対象としています。この制度では、企業が重要なシステムを導入する際に、設備や部品、維持管理の委託先の情報を事業所管大臣に届け出ることが義務付けられています。

IT業界においては、基幹インフラを支えるシステムのセキュリティ強化が一層求められており、特にサイバー攻撃の増加を受けて、徹底したリスク管理と法令遵守が必須です。経済安全保障推進法に基づくIT業界への影響と、基幹インフラに関連する具体的な対策を解説いたします。


この内容は、企業のリーダーやIT担当者が直面する新たなリスクに対する具体的な行動を促すと同時に、PAMや経済安全保障推進法の重要性を強調しています。

Microsoft 365のデータ損失リスクとその対策について、より深く戦略的に。

Microsoft 365のデータ損失リスクを見落としていませんか?

Microsoftの発表によると、「Microsoft 365」のユーザー数は2020年2月から2021年2月の1年間で4倍に増加しました。しかし、ユーザー数の増加に伴い、Microsoft 365の標準機能だけでは防げないデータ消失の事例も急増しています。このリスクを軽視することは、ビジネスにおいて重大な影響をもたらす可能性があります。

Microsoft 365で増加するデータ消失の事例

以下は、Microsoft 365におけるデータ消失の主な事例です。

ユーザーによる誤操作: データを誤って削除・上書きしてしまうケース。
共同編集によるデータ破損: 複数ユーザーでの編集時にデータが破損するケース。
退職者のライセンス無効化: 重要なデータがライセンス無効化とともに消失するケース。
ランサムウェア攻撃: SaaSを対象にしたランサムウェアによって、バックアップデータも感染するケース。
内部不正: 退職者が悪意を持ってデータを削除するケース。

これらの事例は、ビジネスにおけるデータ保護戦略を再考するきっかけとなるべきです。

標準のバックアップ機能だけでは不十分な理由

Microsoft 365には、削除されたデータを復元する標準機能が搭載されていますが、その機能には限界があります。復元対象となるデータの量や期間に制限があるため、全てのデータ消失シナリオに対応できるわけではありません。その結果、上記のような事態が発生するリスクが依然として存在します。このようなリスクを低減するためには、標準機能に依存せず、追加のバックアップ対策を検討する必要があります。

効率的かつ包括的なMicrosoft 365のデータ保護戦略

Microsoft 365のバックアップ対策の重要性を理解し、効率的かつ包括的なデータ保護を実現するための方法を検討することが求められます。本セッションでは、SaaS特有のデータ保護の課題とその具体的な解決策について、実際のデータ復元デモを交えて詳しく解説します。シンプルな設定で包括的なデータ保護を実現したいと考えるシステム運用部門の方々に最適な情報を提供いたします。

データ保護のリスクとその解決策を包括的に捉え、企業が直面する課題に対する具体的な対策を提示しています。また、実際のデモを交えることで、システム運用担当者に対してより実践的なアプローチを提案しています。

高度化する脅威への対応と社内情報セキュリティ意識の課題

ある地域病院がランサムウェア攻撃を受け、電子カルテが暗号化され膨大な患者データと引き換えに身代金を要求された事件は、情報セキュリティの脆弱性を露呈し、社会に大きな衝撃を与えました。この事件を機に、システムやソフトウェアのセキュリティアップデートの重要性、パスワード強化などの基本的なセキュリティ対策の必要性が再認識されました。しかし、こうした対策を講じるだけでは十分ではなく、企業の経営者や情報システム担当者が、社内のセキュリティ意識やリテラシーの不足に対して不安を抱いている現状があります。

事業活動に対する影響を最小限に抑えつつ、効果的なセキュリティ対策を実施するためには、自社の業務内容を深く理解し、その知識に基づいた高度な情報セキュリティ戦略の立案と実行が求められます。しかし、多くの企業では、こうした知識とスキルを持つ人材が不足しており、セキュリティ対策が後回しにされがちです。

盤石な情報セキュリティ基盤構築に向けた組織の必要性

効果的な情報セキュリティ基盤を構築するためには、セキュリティを統括する専門組織の設置が不可欠です。この組織は、社内のセキュリティリテラシーの継続的な向上を図り、適切な対策の実施を推進する役割を担います。

特に、組織のリーダーシップを発揮するためには、責任を持って高度なセキュリティマネジメントを遂行できる人材が中心となることが重要です。このリーダーシップの中心にあるべき人材は、次の能力を備えている必要があります。

法令・規則の理解: 自社の事業に関連する法令や規則を理解し、これらを遵守するためのセキュリティ対策を適切に設計・実施できる能力。

技術的理解力: 企業が利用するITシステムとの互換性を考慮し、最適なセキュリティ製品やテクノロジーを選定・導入できる技術的な知識。

危機管理能力: セキュリティインシデントや緊急事態に迅速かつ効果的に対応するための危機管理能力。

こうした組織と人材を整備することで、企業は強固な情報セキュリティ基盤を構築し、進化するサイバー脅威に対しても適切に対処できる体制を確立することが可能となります。

現状分析と課題提起

企業がEDR(Endpoint Detection and Response)などの高度なセキュリティ対策を導入しているにもかかわらず、サイバー攻撃の高度化により、完全な防御が難しい現実があります。特に、ランサムウェア攻撃は増加しており、業務停止や多額の復旧コストが伴うリスクが高まっています。加えて、攻撃手法が進化し、二重恐喝やノーウェアランサムなど新しい脅威が企業に多大な影響を及ぼしています。

「侵入前提」から「流出前提」へ
これまでの多くのセキュリティ戦略は「侵入を防ぐ」ことに重点を置いていましたが、今後重要となるのは「流出前提」の対策です。つまり、サイバー攻撃による侵入を完全に防ぐことができなくても、データそのものを守る対策を施し、被害を最小化するアプローチが求められます。

IRM(Information Rights Management)の役割
IRMは、情報漏洩が発生した場合でも、漏洩したデータの不正利用を防ぐ技術です。機密情報を持つファイルやコンテンツそのものに暗号化やアクセス制限をかけることで、外部に流出した場合でも情報の悪用を防ぎ、被害を最小限に抑えることが可能です。IRMの導入は、セキュリティの最後の砦として機能し、企業のデータ保護戦略において重要な位置を占めています。

クラウドストレージとランサムウェアの盲点
クラウドストレージは便利なデータ共有・保管手段として広く使われていますが、セキュリティ面での課題も存在します。クラウド内のデータが端末にダウンロードされた際、それがランサムウェアの感染経路となるリスクがあり、さらに暗号化されてしまうとデータ復旧が非常に困難です。クラウドストレージの利便性とセキュリティを両立させることは、企業にとって大きな課題です。

データ保護の総合的なアプローチ
次世代のサイバーセキュリティ戦略として、侵入を防ぐだけでなく、流出時にデータを保護する多層的なアプローチが必要です。IRMのようなデータ中心のセキュリティを取り入れることで、情報漏洩リスクを効果的に軽減し、企業価値を守ることが可能です。

経営層への提言
情報漏洩リスクを軽減し、企業価値を守るためには、従来の侵入防止策に加え、IRMなどの流出前提の対策を強化することが重要です。ランサムウェアなどの新たな脅威に対処するための実践的な事例を基にしたセミナーやトレーニングを通じて、経営層や情報システム部門の責任者が適切な判断を下せるよう支援します。

ここでは、課題を明確にしつつ、IRMの価値をデータセキュリティ戦略の一環として強調し、企業の意思決定者に対して具体的な対策を提示されています。

再発防止策検討に向けたデータドリブンアプローチ

1. インシデント発生後に求められる再発防止策
インシデント発生後には、原因を定量・定性の両面から分析し、再発防止策を策定・実行することが求められます。以下、よく見られる原因別に、推奨する防止策例を示します。

1.1 ヨコとタテのコミュニケーション不足
主なリスク要因: 情報伝達の遅延・誤認、意思決定の遅滞

推奨対策:

従業員間のコミュニケーション活性化

データモニタリング:1on1ミーティング実施率、エンゲージメントサーベイ結果の定期計測

仕組み化:行動憲章・行動指針の明文化と運用状況のトラッキング

経営層と従業員間のコミュニケーション強化

トップメッセージ発信頻度の可視化、全体会議開催数・出席率のモニタリング

1.2 業務の属人化・権限集中
主なリスク要因: リスク検知漏れ、内部統制の形骸化

推奨対策:

複数チェック体制の構築

決裁プロセスの二重承認制導入率、証憑レビューのダブルチェック実施率の定量化

業務分担の再設計

費用計上・支払いなど、重要業務における職務分離指標の定期レビュー

組織体制の見直し

利益相反部門(例:製造部門と検査部門)分離率・独立性評価指標の導入

1.3 早期リスク発見仕組みの欠如
主なリスク要因: 不正や情報漏洩の初動対応遅れ

推奨対策:

内部通報制度の整備

通報件数のトレンド分析、通報から一次対応までのリードタイム短縮

通報者保護制度・匿名通報受付体制の可視化

2. 上場企業における不祥事対応の行動原則(日本取引所グループ指針より)
インシデント対応にあたっては、以下の4原則をベースに、ファクトベースでの調査・対策立案を行うことが求められます。

2.1 根本原因の解明
調査範囲と方法論の明確化

表面的要因分析に留まらず、データとヒアリングを組み合わせた背景分析の徹底

例:プロセスマイニングによる業務フロー上の異常検出

2.2 第三者委員会の設置・運用
独立性・中立性・専門性を担保した委員構成

選任プロセスの透明化とエビデンス管理

2.3 実効性の高い再発防止策の策定と実行
根本原因に基づく施策設計

再発防止策のKPI設定と定期モニタリング(例:内部統制遵守率、教育受講率)

組織変更や規則改訂に留まらず、日常業務プロセスへの定着状況をデータで確認

2.4 迅速かつ的確な情報開示
把握段階から再発防止策実施段階に至るまで、開示タイミングと内容を管理

情報開示プロセスの事前設計と訓練

3. 不正抑止ツール活用例:「MaLionCloud」
内部不正や情報漏洩事故を未然に抑止するには、
単なる「周知」ではなく、データに基づくリスク検知・行動抑止が有効です。

ツール活用例:

ログ分析によるリスク行動検知

内部統制違反のリアルタイムアラート

証跡管理による「知らなかった」という弁明余地の排除

また、第三者調査によると、内部不正や疑わしい行動の兆候を定量的に把握することが、インシデント発生リスクを大幅に低減できることが示されています。

不正アクセス・データ漏洩リスクとID管理の重要性

不正アクセスやデータ漏洩は、組織に甚大な損害をもたらすリスク要因です。特に、アカウントが乗っ取られた場合、ランサムウェア攻撃の侵入口となるケースが増加しています。
このため、「ID管理」業務は、J-SOX法(金融商品取引法)に基づく内部統制の重要な統制項目として位置づけられ、監査対象となっています。上場企業だけでなく、その関連会社も監査の対象となるため、グループ全体での統一的なID管理と運用プロセスの整備が求められます。

RBAC(ロールベースアクセス制御)によるアクセス権限管理の効率化
本セミナーでは、IDのライフサイクル管理およびアクセス権限管理を体系的に整理・効率化するための手法として、RBAC(Role-Based Access Control)を解説します。
RBACは、個別ユーザーごとにアクセス権を付与するのではなく、「役割(ロール)」単位で権限を設定することで、管理負荷の軽減と権限付与ミスの防止を実現する方法です。これにより、業務変更や異動に伴う権限変更も迅速かつ正確に行うことが可能になります。

「重要情報を扱うシステム要求策定ガイド」が注目される背景
「重要情報を扱うシステムの要求策定ガイド」(以下「本ガイド」)は、国民生活や経済活動に深く関わる情報資産を対象に、その機密性・完全性・可用性の毀損が社会インフラへ与える影響を防止するために策定されています。
重要情報とは、情報の不正アクセス・改ざん・滅失等により、国家安全保障や経済活動に重大な影響を及ぼす可能性のある情報を指します。

本ガイドの背景には、2022年5月に成立した経済安全保障推進法があります。この法律は次の4本柱で構成されています。

重要物資の安定供給確保

基幹インフラの安定提供確保

先端重要技術の開発支援

特許出願の非公開措置

特に情報システムに関連するのは「基幹インフラ役務の安定提供確保」であり、政府は15分野(電気通信・放送・金融・航空・鉄道など)にわたる特定社会基盤事業者を指定。
これらの事業者には、国外リスクを排除するための体制整備と、特定重要設備の導入・運用に関する事前届出・審査義務が課されています(2024年5月施行)。

重要情報保護のために求められるデータマネジメント体制
本ガイドは、特定社会基盤事業者に対して、重要情報を守るための「リスク」と「対策」を体系化した要求事項を示しています。
これにより、各事業者が自らリスク分析を行い、具体的なセキュリティ要求仕様を策定できることを目指しています。
データの守り方は、単なるシステム構築だけではなく、

情報資産の棚卸・分類

リスクベースアプローチによる脅威分析

インシデント対応プロセス設計 までを含む、データガバナンス全体の確立が不可欠です。

内部不正・情報漏洩リスクに対するデータガバナンス強化の必要性

企業において、不正行為の発生リスクを低減するためには、単なる周知徹底にとどまらず、「知らなかった」という弁明を許さない統制環境の整備が求められます。
内部不正や情報漏洩事故を未然に防止するためには、規範の徹底だけでなく、行動を実データで可視化・監視できる体制が不可欠です。
こうした背景のもと、内部統制の補完的な役割を果たすソリューションとして「MaLionCloud」の活用を提案します。

ITシステムの複雑化と高度化するサイバー脅威への対応
マルチクラウド環境の普及、分散型アーキテクチャの拡大に伴い、企業のIT基盤は飛躍的に複雑化しています。
この複雑化に伴い、ランサムウェアやゼロデイ攻撃など、高度化するサイバー脅威への対応が急務となっています。
さらに、外部脅威だけでなく、正規権限を持つ内部関係者による機密情報持ち出しなど、「内部脅威」も依然として高いリスク要因となっています。

こうした脅威に対抗するため、企業には既知・未知の脅威をリアルタイムで検知・分析・対処できるセキュリティ運用体制の確立が求められています。
EDR(Endpoint Detection and Response)やSIEM(Security Information and Event Management)を導入する企業が増えていますが、
複雑化した環境ではそれだけでは不十分なケースも増えてきています。

通信トラフィック解析による「異常検知」NDRアプローチ
特に近年注目されているのが、通信トラフィックを常時分析し、一見正常に見える不審な挙動を可視化する「NDR(Network Detection and Response)」の手法です。
中でも「Darktrace」は、独自のAIと機械学習を活用して、異常検知からインシデント対処までを自律的に支援する実績豊富なプラットフォームとして高い評価を得ています。

Darktraceは、従来型EDRのようにエンドポイントにエージェントを配備する必要がなく、
OT(Operational Technology)やIoT(Internet of Things)環境、さらにIaaS・SaaSといったクラウド基盤まで広範に対応できる特長を持っています。

セキュリティ運用の課題とその解決策
一方で、セキュリティ運用人材が不足する中、「Darktraceによるアラートの意味が理解できない」「対応方針に迷う」といった課題も散見されます。
そのため、Darktraceを最大限活用するには、インシデント検知後の迅速なトリアージ(優先順位付け)と初動対応体制を整備することが不可欠です。

本セミナーでは、Darktraceによる脅威検知の仕組み、AI・機械学習による高度な異常検知手法、さらに、運用面の最適化支援サービスについて詳しくご紹介します。
より高度なセキュリティ運用体制を構築したい企業の皆さまに向け、実践的な知見を提供します。

人事イベントに伴うオペレーション負荷とデータリスク
入退社、異動、出向といった人事イベントは、都度、人事データ更新やアカウント権限変更など膨大なオペレーションを必要とします。
これらを適切に管理できない場合、権限剥奪漏れやデータ削除漏れが発生し、重大な情報漏洩リスクへ直結する恐れがあります。

また、人事イベントは一定期間に集中しやすいため、対応に追われるシステム管理部門・人事部門の負担が急増する傾向にあります。
結果として、オペレーションの属人化やミスの発生リスクが高まる悪循環を招きかねません。

分散管理の課題と統合データガバナンスの必要性
加えて、人事データやアカウント権限情報が部門単位で分散管理されているケースも多く見受けられます。
これは短期的にはスピーディな対応を可能にするものの、組織横断での一貫性確保、異動・出向時のスムーズなデータ連携を著しく困難にしています。

部門ごとの管理基準・ツール・フォーマットが異なるため、移動時には追加作業や整合性確認が必要となり、運用負荷・リスクの増大を招きます。

本来、組織規模の拡大に合わせて「統合的人事データガバナンス基盤」を整備し、
人事イベント発生時のワークフロー自動化・一元的な権限管理・リスク検知を実現すべきタイミングが訪れています。