目次
セキュリティインシデント対応体制:データガバナンス確立の要件
効果的なサイバーセキュリティ対策は、単なる技術導入ではなく、組織全体のデータガバナンスとリスク管理体制の確立に直結します。
望ましいセキュリティインシデント対応体制
| 対応体制のレベル | データコンサルタントの評価視点 |
| 専門部門による対策 | 情報システム/セキュリティ部門が中心となり、技術的なデータ保護対策(ログ監視、アクセス制御など)を実施している。 |
| 経営層を含む対策 | 経営層と専門部門が連携し、サイバーセキュリティをビジネスリスクとして認識し、データ保全のための投資判断を行っている。 |
| 全社員の関与 | 全社員への教育を実施し、不審な動き(データアクセス、システム挙動)に関する情報提供を促すデータ監視体制を整えている。 |
| 関連部門との連携 | ビジネスリスクに対応が必要な関連部門間で情報交換を行い、サイバーセキュリティ以外のリスク(例:データプライバシーリスク)も共有している。 |
| サプライチェーン全体 | 他社を含めたサプライチェーン全体でセキュリティ対策や情報交換を行い、委託先からのデータ侵害リスクを共同で低減している。 |
| 外部機関との連携 | セキュリティ関連機関や他社のセキュリティ組織と連携し、**脅威インテリジェンス(データ)**を交換・活用している。 |
対応体制が整備されていない状況は、データ損失や事業継続性の毀損という最大のリスクに直面していることを意味します。
コスト最適化を図るセキュリティ強化の戦略ポイント
セキュリティ強化の戦略は、単にコストを抑えることではなく、投資対効果(ROI)の高い施策から優先的に実施し、人的コストと外部リソースを最適配分することにあります。
効果の高い基本対策の優先実施(IPA五箇条など):
データ処理環境の健全性維持: 「OSやソフトの常時最新化」「ウイルス対策ソフト導入」は、データ環境のベースラインセキュリティ。
アクセス制御の厳格化: 「パスワード強化」「共有設定の見直し」は、不正アクセスによるデータ流出リスクの低減に直結。
脅威インテリジェンスの活用: 「攻撃手口の把握」は、データ分析に基づく予防的対応に不可欠。
自社対応可能な領域からの着手:
ガバナンス強化: 設定変更、アクセス権限の最小化、運用ルールの見直しは、データガバナンスの即効性のある強化策。
データ復旧計画の検証: バックアップ復旧テストは、インシデント発生時のデータ損失リスクを評価する上で必須。
無料ツール・公開ガイドラインの戦略的活用:
ログデータの活用: OS標準機能や監査ログを活用し、異常を検知する体制の構築。
公的機関ガイドラインの活用: 継続的な改善のためのフレームワークとして活用。
インシデント対応準備:データの備え:
インシデント対応計画の策定と模擬演習の実施は、緊急時のデータ保全と復旧プロセスを確立する上で最も重要。
外部リソースの戦略的利用:
無償の対策は人的コストを消費します。人手やスキルが不足している場合、セキュリティコンサルティングサービスや外部マネージドサービスの導入を検討し、コア業務へのITリソース集中を図るべきです。
現在のセキュリティ脅威と今後の対策:データアナリストの視点
脅威として認識されている事象(データリスクの源泉)
現在、企業が強く脅威と感じている事象は、ランサムウェア(データ暗号化・公開)、サプライチェーン攻撃(委託先経由のデータ侵害)、標的型攻撃(機密データ窃取)、内部不正(情報漏洩)など、データの機密性、完全性、可用性を直接脅かすものが中心です。また、不注意による情報漏えいも依然として主要なリスクであり、これはヒューマンエラーに関するデータガバナンスの課題を示しています。
今後導入予定のセキュリティ対策
今後導入が予定されているセキュリティ対策は、以下のように多層的なデータ保護と運用効率の改善を目指す方向性を示しています。
エンドポイント・ゲートウェイ:
ゲートウェイセキュリティソリューションとエンドポイントセキュリティソリューションの強化は、外部からの不正アクセスと内部のデータ流出に対する基本的な防御線です。
データ保護と監視:
データ、情報保護のためのソリューション(DLPなど)の導入。
ログ収集やモニタリングを行うソリューション(SIEMなど)の導入は、セキュリティデータの分析とインシデントの早期検出に不可欠。
アクセスと認証:
ID管理(IDM)、認証関連ソリューションの導入は、ゼロトラスト原則に基づいたデータアクセス制御の基盤構築を意味します。
クラウド・先進技術:
クラウド環境に対するセキュリティソリューション(CSPM/SSPM)の導入は、クラウド環境の設定不備によるデータリスクを低減。
人工知能、機械学習を生かしたセキュリティソリューションの導入は、膨大なセキュリティログデータから未知の脅威を自動検出する高度なアプローチです。
人材とノウハウ:
サイバー攻撃演習などの研修およびセキュリティコンサルティングサービスの導入は、社内リソースの不足を補い、インシデント対応能力の強化を図る戦略的投資です。
データコンサルタントとして、これらの脅威と対策のロードマップを統合し、お客様のビジネスリスク許容度に基づいた最適なセキュリティ投資戦略を策定いたします。
DLPサービス設計原則:データ可視性の制御とプライバシー保護
DLP(Data Loss Prevention)サービスの導入は、機密データの流出防止に不可欠ですが、その設計においては、データの可視性と従業員のプライバシー保護のバランスを戦略的に考慮する必要があります。
データ可視性の段階的制御
DLPサービスは、まず最小限の可視化から開始し、組織が必要に応じてその可視性を拡張できる柔軟性を持つべきです。
初期可視化の原則: HTTPトラフィックでDLPの一致が検出された場合、サービスは**クレジットカード番号などの情報の種類(メタデータ)を取得する必要があります。しかし、このサービスは番号自体(機密データの実体)**を直接明らかにしてはなりません。
管理者の拡張権限: 管理者がセキュリティ上のインシデント対応のために、さらに詳細な可視化を拡張する必要がある場合には、それを可能にする厳格な権限と柔軟性をサービス設計に組み込む必要があります。これにより、データ漏洩リスクと運用上の必要性を両立させます。
サイバーセキュリティ製品選定:TCOとデータ分析能力の評価
サイバーセキュリティ製品を選ぶ上では、単なる機能比較ではなく、TCO(総保有コスト)と、セキュリティデータ分析能力を重視すべきです。
| 選定ポイントの評価視点 | データコンサルタントの重要度判断 |
| コスト | ランニングコストと初期コストを統合し、投資対効果(ROI)を評価。特に負荷分散やログストレージなどの有償オプションを含めたTCOを精査。 |
| 運用負荷と性能 | 運用のしやすさ、レポートのわかりやすさ、セキュリティアップデートの容易さ、およびクライアントPCのパフォーマンスへの影響を総合的に評価し、ITリソースの消費を最小限に抑えることを重視。 |
| ベンダーと実績 | ベンダーの保守サポート体制、導入実績、セキュリティベンダーとしての知名度は、インシデント発生時のデータ復旧支援と迅速なノウハウ提供に直結するため重要。 |
| 技術的適合性 | 性能や機能の拡張性の高さ、最新シグネチャ提供の迅速さ、クラウド対応、および業務システムへの影響の抑制は、データ環境の変化に対応し、継続的なセキュリティガバナンスを維持するために不可欠。 |
現在直面するサイバーセキュリティ上の主要な課題
お客様が現在直面している課題は、データの可視性の欠如と脅威インテリジェンスの活用不足に集約されます。
データ可視性の課題:
インターネット接続されているインフラ全体の可視性にギャップがある。
アタックサーフェス(攻撃対象領域)の把握と対策に抜け漏れがある。
脅威インテリジェンスの活用不足:
脅威インテリジェンスの導入や拡張が困難であり、ランサムウェアなどのマルウェア情報収集と対策がタイムリーに効率よく行えない。
脅威や脆弱性アラートが多すぎて、優先順位をつけられない(データ分析のボトルネック)。
インシデント対応と規制対応の懸念:
認証情報の流出の発見や対処、ダークウェブでの企業名言及等について懸念している。
サイバー規制対応に不安があり、インシデント対応や将来的なコンプライアンス維持のための体制が整っていない。
最も懸念しているサイバーセキュリティ脅威
最も懸念されている脅威は、以下の通り、事業継続性とデータの機密性を同時に脅かすものです。
事業継続性の毀損: ランサムウェアによる事業停止・データ損失、DDoS攻撃によるサービス停止。
データ侵害: Webサイト/Webアプリケーションの脆弱性を突いた攻撃(情報漏えい、改ざんなど)、標的型攻撃メール、従業員の誤操作や内部不正による情報漏えい。
サイバーセキュリティ対策の課題感:人材と運用負荷
サイバーセキュリティ対策の実施における最大の課題は、人材不足とそれに起因する運用負荷の増大、および投資判断の難しさです。
人材・組織体制の課題:
セキュリティ専任の人材が不足し、対応が属人化しており担当者の運用負荷が高い。
セキュリティを継続的に実行できる組織体制が整備出来ていない。
運用上の課題:
複数のセキュリティ製品を導入・運用する負荷。
パッチや定義ファイルの更新の煩雑さ。
戦略的課題:
クラウドセキュリティ戦略の優先順位付けが難しい。
投資対効果の説明の難しさ。
製品分野が多く、何を導入すればよいかわからない(データ分析に基づく選定基準の欠如)。
ヒューマン要因:
社員のリテラシーが低いことによるデータ侵害リスク。
能動的サイバーセキュリティ対策の現状
現在実施している「能動的サイバーセキュリティ」対策(予防的・検出的対策)は、EDR、脅威インテリジェンスの活用、XDRやSIEMによる統合ログ分析といった、データ監視と分析に基づく手法が中心であり、これはセキュリティ対策がリアクション型からプロアクティブ型へと移行していることを示しています。
データコンサルタントとして、お客様の運用負荷データと脅威インテリジェンスを統合的に分析し、投資対効果の高いセキュリティ戦略と運用体制の設計を支援いたします。
サプライチェーン経由のデータ漏洩リスク増大:サードパーティ評価の経営的優先度
2025年現在、サプライチェーンを標的としたサイバー攻撃の深刻化は、自社の堅牢な対策だけではデータ安全性を担保できないという現実を突きつけています。ある調査では、大企業の約6割が「取引先起因の情報漏洩、またはその可能性」を経験しており、セキュリティの脆弱な取引先や委託先がデータ侵害の初期侵入経路となるケースが常態化しています。
この背景から、金融庁や経済産業省のガイドラインにおいても、サードパーティを含めたリスク評価の重要性が強調されています。取引先のセキュリティ対策強化は、単なるIT部門の課題ではなく、データガバナンスと事業継続性に関わる経営上の最優先事項となっています。
委託先評価の属人化とデータ品質低下の課題
多くの企業では、委託先評価を従来のチェックシートベースで実施していますが、年間数百件にも及ぶ調査の作成・更新・回収・確認には膨大な工数がかかります。この作業を限られた人員で対応することで、以下の課題が発生し、データリスクの見落としに直結しています。
運用工数過多と本業リソースの圧迫: 評価作業が本業リソースを圧迫し、対応の遅延を引き起こします。
属人化と判断基準のばらつき: 評価作業が特定メンバーに依存し、判断基準のばらつきや、回答の妥当性確認の難しさから評価品質の低下を招きます。
従来の手法では、持続性・拡張性に限界が生じており、評価プロセス自体のデータ化と効率化が不可欠です。
第三者評価を活用したチェックシート運用の効率化戦略
**アシュアードが提供する「企業評価サービス」**は、従来のチェックシート運用の負担を軽減し、サプライチェーン全体のセキュリティ品質を高める新しいアプローチです。
網羅性と客観性の担保:
有資格のセキュリティ専門家が、ISOやNISTなどの国際標準に準拠した基準で評価を代行し、評価結果の網羅性と客観性を担保します。
プラットフォームによる一元管理:
評価結果はプラットフォームで一元管理され、虚偽回答の防止や最新リスクへの迅速な対応が可能となります。これは、評価データの信頼性を劇的に高めます。
本サービスにより、委託先評価にかかる工数を大幅に削減すると同時に、サプライチェーン全体のデータセキュリティ品質を向上させることが可能です。効率化と信頼性強化を両立した、データドリブンな実践的アプローチを具体的な事例を交えてご紹介いたします。
リモートワーク環境のデータガバナンス:内部不正リスクの変容
リモートワークの普及は、内部不正によるデータ持ち出しリスクの変容を招いています。
内部不正によるデータ持ち出しリスクが高い情報
企業において、特に危険だと認識されている情報カテゴリは、以下の通り、企業の競争優位性や社会的信用に直結するものです。
個人情報
顧客リスト
営業秘密(製造情報・設計図など)
購買情報(金額関連)
リモートワーク環境で増加するデータセキュリティリスク
リモートワーク環境下では、物理的な監視の不在により、従業員のデータ管理行動に変容が見られ、リスクがエスカレートしています。
データ持ち出しの容易化: 機密情報を容易にダウンロードし、私有エリアに保存したり、メールやSNSなどで共有する行為。
規定遵守の意識低下: 秘密保持契約や社内規定を遵守しない行為の発生。
シャドーITの増加: 会社PCを使わない**BYOD(私物端末の業務利用)**など、未管理デバイスでのデータ利用。
変容するリスクに合わせて、ゼロトラスト原則に基づいたデータアクセスの再設計と、リスクマネージメントの見直しが求められています。
SASEソリューションの戦略的評価
クラウド時代におけるネットワークとセキュリティの統合は、SASE(Secure Access Service Edge)ソリューション(FortiSASE, Zscaler SASE, Prisma Accessなど)を通じて実現されます。これらのソリューションは、分散したデータアクセスとセキュリティ制御を統合し、リモートワークやサプライチェーン連携におけるデータ保護に貢献します。
自社にとって優先度の高いサイバーセキュリティ脅威
現在、企業が自社にとって最も脅威と認識しているのは、事業継続性とデータ整合性を脅かすものです。
ランサムウェア(事業停止・データ損失)
内部不正(退職者・出向者・協業相手によるデータ持ち出し)
クラウド設定/ファイル権限のミス(ヒューマンエラーによるデータ流出)
これらの脅威に対応するため、サードパーティリスク評価の自動化とSASE導入によるデータアクセス制御の強化は、喫緊の課題となっています。
放置されるレガシーシステム:データセキュリティの重大なギャップ
サポートが終了したレガシーOS搭載端末(例:Windows 7)は、日々発見される新たな脆弱性に対して完全に無防備な状態です。OSベンダーからのセキュリティ更新(パッチ)が提供されないだけでなく、主要なEDR(Endpoint Detection and Response)製品の対応も終了するため、最新のデータ防御機能を適用できません。
その結果、これらの端末は攻撃者にとってサイバー攻撃の格好の侵入口となり、機密データや重要インフラを脅かす危険性を内包しています。それでも「まだ動いているから」という理由で放置されがちですが、これは事業継続性とデータ整合性に対する極めて高いリスクを意味します。
OT環境のレガシーOSを守る“現実解”:データ防御の緊急措置
EDRが使えないWindows 7などのレガシーOS環境を業務上使い続けざるを得ない製造業・インフラ業のお客様に対し、その脆弱性を突かれないための“現実的なデータ防御策”として、TXOne Networksが提供する「Stellarシリーズ」を活用したエンドポイントセキュリティ対策をご紹介します。
「Stellarシリーズ」のOT環境における戦略的価値
「Stellarシリーズ」は、OT(Operational Technology)環境に最適化されたエンドポイントセキュリティソリューションであり、以下の点でレガシー環境のデータ防御に貢献します。
ネットワーク分離環境への対応: アンチウイルス製品のようなパターンファイルの更新やインターネット接続を必要としないため、ネットワーク分離環境でも確実に動作し、機密データの流出経路となるリスクを低減します。
軽量かつ高信頼な設計: レガシー端末や重要インフラを守るために設計されており、低リソース消費で動作するため、クライアントPCのパフォーマンス低下を最小限に抑えます。
セッションでは、具体的な導入事例を交えながら、工場やインフラ設備など、ネットワーク分離やOS制限といった制約のある環境下でも、システムの“延命”とデータの“防御”を両立させる具体策を解説いたします。
この対策が推奨される対象者
製造業・インフラ業など、古いOSの端末を業務上使い続けざるを得ない方。
工場のセキュリティ対策を担当しており、ネットワーク分離環境での対策を模索している情報システム部門の方。
端末更新が困難な環境で、現実的なセキュリティ対策とデータ保護の手段を探している方。
サイバーリスクの高まりに備え、レガシー環境に対する緊急的な対処策を検討している方。
サイバーセキュリティ対策における構造的課題
現在、勤務先でサイバーセキュリティ対策を行う上で、以下の構造的な課題がデータガバナンスの継続的な実行を妨げています。
| 課題の性質 | 具体的な問題点 | データコンサルタントの評価視点 |
| リソースとコスト | セキュリティ製品を管理できる人材がいない、セキュリティ対策に予算が割り振られない、投資対効果の説明が難しい。 | 人材・予算の不足は、継続的なデータ監視と対策の最大の障壁です。 |
| 運用負荷と複雑性 | 複数のセキュリティ製品の導入・運用負担、パッチや定義ファイルの更新が煩雑、製品分野が多すぎて何を導入すればよいかわからない。 | 運用負荷は属人化を招き、対応の遅延とセキュリティホールを生み出します。 |
| ユーザーと利便性 | ユーザーの利便性が低下する、社員のリテラシーが低い。 | セキュリティが業務遂行のボトルネックとなり、シャドーITの発生リスクを高めます。 |
| ノウハウと体制 | インシデント対応ノウハウが確立されていない、セキュリティを継続的に実行できる組織体制が整備出来ていない。 | インシデント発生時のデータ保全と復旧の確実性が担保されません。 |
今後のセキュリティ対策ロードマップ:統合と高度化
今後導入予定のサイバーセキュリティ対策は、従来の防御策の強化に加え、データ分析と統合管理に重点を置いた投資へとシフトしていることがわかります。
統合とログ分析:
ログ収集やモニタリングを行うソリューション(SIEM/XDR)の導入は、セキュリティイベントの統合的なデータ分析とインシデントの早期検知を可能にします。
IDと認証の強化:
ID管理ソリューションおよび認証関連ソリューションの導入は、ゼロトラストモデルに基づくデータアクセス制御の基盤強化を意味します。
先進技術の活用:
人工知能、機械学習を生かしたセキュリティソリューションの導入は、セキュリティデータの自動分析による未知の脅威への対応を目指します。
クラウド環境への対応:
クラウド環境に対するセキュリティソリューション(CSPMなど)の導入は、クラウド設定ミスによるデータリスクの低減に不可欠です。
データコンサルタントとして、お客様のOT/レガシー環境が抱える特殊な制約を分析し、人的リソースの制約内で最大の効果を発揮する、現実的かつデータ保護を最優先したセキュリティ戦略の策定を支援いたします。
AI時代のデータ攻撃:進化する脅威への「学習する防御」戦略
近年、AIを悪用した攻撃ツールやサービスが一般化し、攻撃者はクラウド、Eメール、OT(制御技術)といった多様なデータ環境を同時に標的にするようになりました。これらの攻撃はマシンスピードで進化しており、既存のシグネチャやルールベースといった過去のデータに依存する防御手法では、対応が追いつかない状況にあります。
企業は、境界防御やEDR(Endpoint Detection and Response)による後追い型の検知から脱却し、攻撃の兆候をリアルタイムで把握し先手を打つ、**「学習する防御(Self-Learning Defense)」**へと、データセキュリティ戦略を根本的に転換することが求められています。
2025年における企業の情報セキュリティの主要脅威
2025年における企業の情報セキュリティの脅威は、以下の通り、データ侵害と事業継続性の毀損に直結するものが中心です。
| 脅威の分類 | データコンサルタントの評価視点 |
| 高度化されたマルウェア | ランサムウェアによる被害、標的型攻撃による機密情報の搾取、ゼロデイ攻撃。これらの攻撃は、企業の機密データの機密性・完全性を直接脅かします。 |
| サプライチェーンリスク | サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃は、自社データだけでなく、関連企業との共有データ全体のリスクを高めます。 |
| ヒューマン・運用リスク | 内部不正による情報漏えい、不注意による情報漏洩は、データガバナンスの不備と社員のリテラシーに起因する重大なリスクです。 |
| ニューノーマルな環境リスク | テレワーク等のニューノーマルな働き方を狙った攻撃は、データアクセスポイントの多様化によって発生します。 |
| サイバー犯罪のビジネス化 | 犯罪のビジネス化(アンダーグラウンドサービス)やビジネスメール詐欺は、金銭的被害とデータの信頼性を毀損します。 |
未知の脅威に“先手を打つ”:自己学習型AIによるリアルタイムデータ防御
Darktraceが提供する「自己学習型AI防御」は、未知の脅威に対応するための最新アプローチです。
組織固有の「正常なふるまい」の学習: 人間が定義したルールや過去の脅威データに依存せず、AIが組織固有の“正常なデータ通信”や“ユーザー挙動”を自ら学習し、ベースラインを確立します。
リアルタイム異常検知と遮断: クラウド、Eメール、OTといった横断的な環境を監視し、このベースラインから逸脱する異常な通信や挙動をリアルタイムで検知・遮断します。
先読み型防御体制の実現: 攻撃発生前にリスクを可視化し、EDRでは到達できない先読み型の防御体制を実現します。これにより、セキュリティイベントのデータ分析リードタイムを劇的に短縮します。
Mac環境の管理:マルチOS環境におけるデータガバナンス
近年、デザイン、開発、マーケティングなど、多様な業務においてMacの利用が増加しており、企業内でのOS混在環境が標準化しています。働き方の多様化や部門ごとのニーズに応じた端末選定が進む中で、OSに依存しない柔軟なデータ運用管理が求められています。
この背景から、MacもWindowsと同等に管理対象とし、情報セキュリティやIT資産管理の観点から一貫したデータガバナンスを行うことが不可欠です。
サイバーセキュリティ対策における課題:運用効率とTCO
サイバーセキュリティ対策を行う上での課題は、人材不足、運用効率の悪化、および投資対効果の測定の難しさに集約されます。
人材とスキル: セキュリティ人材の不足、スキルアップや情報収集が困難、複数のセキュリティ製品の運用負荷。
運用効率: パッチや定義ファイルの更新の煩雑さ、クライアントPCのパフォーマンスの低下、ネットワークへの負荷。
戦略とTCO: 投資対効果の説明の難しさ、製品分野が多すぎて何を導入すればよいかわからない(選定基準の欠如)。
ガバナンス: セキュリティインシデント発生時の対応ノウハウが未確立、社内ポリシー準拠や内部統制への対応が難しい。
これらの課題は、セキュリティ対策の継続性を阻害し、結果的にデータリスクを高めます。今後は、AIによる自動化や統合管理(XDR/SASE)を通じて、運用負荷を軽減し、セキュリティ対策のTCOを最適化する戦略が重要となります。
Mac環境の管理空白地帯解消:多様なデータワークプレイスへの対応
従来のIT資産管理ツールや情報漏洩対策ソリューションの多くは、Windows環境を前提として設計されており、Mac端末の管理が不十分、あるいは全く対応していないケースが少なくありません。
その結果、Mac端末は「データ管理の空白地帯」となり、以下の重大な問題が顕在化しています。
情報漏洩リスクの増大: 未管理端末経由での機密データ流出リスク。
ライセンス管理の不備: ソフトウェアライセンスの過剰または不足によるコンプライアンスリスクとコスト超過。
運用コストの増大: 端末ごとに異なる管理手法が必要となることによるシステム部門の負担増大。
業務環境の多様化、特にデータアナリストや開発部門でのMac利用増加に対応するには、Macを前提とした統一的なデータガバナンスとIT資産管理体制の再構築が急務です。
Macを含むIT資産の一元管理と情報漏洩対策
本セッションでは、WindowsだけでなくMacも含めたIT資産を一元的に管理し、セキュリティ対策まで効率よく行う方法をご紹介します。
専門的なIT知識がなくても扱えるソリューションを導入することで、システム部門の負担を軽減しながら、組織全体の統制力(データガバナンス)を高める運用方法を具体的に解説します。Macの管理に課題を感じている方、IT資産をもっと簡単に一括管理したい方、限られた人員でも情報漏洩対策を強化したいとお考えのご担当者様におすすめいたします。
従来の防御では守り切れないWebへの攻撃:データ保護の最前線
ECサイトなどを狙った不正アクセスや個人情報漏洩、クレジットカード不正利用など、サイバー攻撃の被害は深刻化しており、もはや「有名サイトだけの問題」ではありません。
Barracudaの検証データが示す通り、AWS上に構築したアプリケーションが極めて短時間で攻撃に晒されるというデータが確認されており、企業規模・業種を問わずWebに面するシステムは常に脅威に晒されています。
アプリケーション層を狙う攻撃の多様化とWAFの戦略的導入
SQLインジェクションやXSSなど、アプリケーション層を狙う攻撃が主流となり、さらに「OWASPトップ10」に定義される脆弱性、DDoS攻撃、API攻撃、悪質ボットなど、その攻撃手法は多様化しています。
従来のファイアウォール(FW)や侵入防止システム(IPS)だけでは、アプリケーション層のデータロジックを悪用する攻撃を防ぎきれない状況です。
こうした状況下、経済産業省とIPAが公表した「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」において、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)の導入が推奨されています。企業はデータ保護の最前線として、WAFを導入しWebセキュリティを強化する傾向にあります。
今後のセキュリティ対策ロードマップ:データ分析と統合への集中
企業が今後導入を予定・検討しているセキュリティ製品分野は、従来の防御領域の強化に加え、データ分析とクラウド環境の保護に重点が置かれています。
| 分野 | データコンサルタントの評価視点 |
| 防御の基盤 | マルウェア対策、標的型攻撃対策、メールセキュリティ。 |
| 環境別防御 | クラウドセキュリティ、ネットワークセキュリティ、OT/IoTセキュリティの強化。 |
| 管理とガバナンス | ID管理、アクセスログ管理、IT資産管理の強化は、データガバナンスの基盤。 |
| データ保護 | データ保護、バックアップは、ランサムウェアからの復旧と事業継続性の確保。 |
セキュリティ対策分野の進化:可視化と検知・対応(Detect & Respond)
現在、特に注力すべきセキュリティ対策分野は、脅威インテリジェンスを活用し、検知・対応(Detect & Respond)能力を高める方向に進化しています。
クラウド環境の保護、可視化: CSPMなどを活用した設定不備データの検知と是正。
アイデンティティ侵害の検知と対応: IDaaS/IAMログの分析による不正アクセス試行のリアルタイム検知。
次世代SIEMを活用したSOC統合: ログデータ分析の高度化と、インシデント対応の迅速化。
エンドポイントセキュリティの強化 (MDR含む): EDR/XDRの導入と、外部専門家による**監視データ分析(MDR)**の活用。
SaaSセキュリティ: Microsoft 365などのSaaS上のデータアクセスと設定の保護。
データコンサルタントとして、お客様のWebアプリケーションが抱えるリスク構造を分析し、WAF導入を含むWebセキュリティ戦略と、マルチOS環境におけるデータ管理統合の具体的な計画策定を支援いたします。
顧客相談の増加とWAF運用課題:データリスクへの対応力不足
クラウド移行が進む現在、Webアプリケーションを狙うサイバー攻撃の増加に伴い、顧客からのセキュリティ相談が増大しています。しかし、リセラーやSIerでは、WAF(Web Application Firewall)運用における自社での専門対応や運用支援の難しさが、提案の大きな障壁となっています。
WAF運用は、設定、チューニング、監視、ログ解析、証明書更新など、高度な専門知識と継続的な工数を要求します。この負担の大きさは、担当者のリソースを圧迫し、セキュリティ対策の属人化や対応遅延を招き、結果として顧客のWebデータ保護レベルを低下させています。
また、顧客企業側も「自社は小規模だから大丈夫」と誤認しがちですが、実際には無差別攻撃の標的データとなっており、「対策は必要」と理解していても人員や予算が追いつかないケースが多く見られます。限られたリソースの中で、費用対効果(TCO)を最小限に抑えながら、高いデータ防御レベルを維持する支援を提供することが、リセラーやSIerの共通課題となっています。
Webを狙う脅威のリアル:WAF運用の落とし穴とデータに基づく成功のポイント
年々巧妙化・多様化するサイバー攻撃に対抗するための有効な手段であるWAFですが、導入後の運用には専門知識や継続的なチューニング、そして膨大なログデータの監視・解析が不可欠です。
リセラーやSIerが顧客の要望に応えられる提案をするには、**WAF運用で起こりやすい落とし穴(例:過剰チューニングによる誤検知、監視ログの放置)**を理解し、データに基づいた運用効率化戦略を提示する必要があります。
主に中小・中堅企業層を顧客とするリセラーやSIerの方を対象に、Webを狙う最新の攻撃動向とWAF運用で起こりやすい落とし穴を解説し、**運用負荷を大幅に軽減する「Barracuda Managed WAF」**による実践的な対策を紹介します。
「Barracuda Managed WAF」は、エンタープライズグレードの保護性能を備えながら、中堅・中小企業にも導入しやすい価格体系で、限られたリソースでも高い防御レベルを実現します。運用担当者の負担を最小化する“任せて守る”セキュリティサービスの最適解を提供し、運用工数のデータドリブンな最適化を目指します。
現在のセキュリティ基盤と統合管理の必要性
現在、お客様が導入しているセキュリティ製品・サービスは、多岐にわたり、多層防御の実現を目指していることがわかります。
導入済みの主要セキュリティ製品・サービス
| 製品・サービス分類 | データコンサルタントの評価視点 |
| 防御と検知 | アンチウイルス/NGAV(マルウェアデータ防御)、EDR/XDR(エンドポイント/拡張検知・対応)、ファイアウォール、メールセキュリティ。 |
| 環境と監視 | クラウドセキュリティ(CASBなど)、SOC/外部監視サービス、セキュリティ診断/ペネトレーションテスト。 |
これらの基盤製品に加え、EDR, XDR, CSPM, SSPM, IAMといったソリューションが個別に導入されている状況は、セキュリティデータの断片化と、統合的な脅威インテリジェンスの活用不足という課題を抱えている可能性が高いことを示唆しています。
WAF運用支援を含むセキュリティ対策の成功は、個別の製品機能に依存するのではなく、ログデータやアラートを統合的に分析し、運用負荷を集中管理できる体制の構築にかかっています。
データコンサルタントとして、WAF運用を含むWebセキュリティ領域において、お客様の運用リソースを分析し、Barracuda Managed WAFのようなマネージドサービスを活用した、費用対効果の高いセキュリティ戦略を提案いたします。