データ駆動型セキュリティ運用:ログ集約とリスク定量化が鍵
本セッションでは、独立行政法人における導入事例(各拠点のログデータを一元管理し、インシデント対応のデータ分析基盤を強化した事例)を交え、セキュリティ運用(SecOps)におけるデータ活用の実践的なアプローチをご紹介します。
以下のような「データの課題」をお持ちの担当者にとって、有益な内容となります。
インシデントの特定が困難: サイバー攻撃の疑いがあるものの、ログが分散し、データが不足しているため原因の特定や追跡(フォレンジック)ができていない。
データがサイロ化している: 各種セキュリティ機器やサーバーのログが個別に存在し、相関分析ができず、インシデントの全体像を把握できない。
データ基盤(SIEM)の形骸化: SIEM(セキュリティ情報イベント管理)を導入したが、収集するデータや分析ルールが最適化されておらず、価値あるインテリジェンスを生み出せていない。
課題の背景:セキュリティ「リスクデータ」の把握と優先順位付けの失敗
サイバー攻撃の件数増加は、もはや前提です。重要なのは、その攻撃対象領域(アタックサーフェス)が、クラウド利用の拡大やVPN機器といった外部公開資産の増加に伴い、データとして把握しきれないほど複雑化しているという事実です。
この状況下で最も避けるべきは、闇雲な「対策の導入」です。データ分析の観点から見れば、それはROI(投資対効果)の算出根拠がない投資に他なりません。
真に重要なのは、以下のプロセスです。
データ収集: 自組織のシステム環境に存在する「脆弱性データ」「構成ミスデータ」を網羅的に収集・可視化すること。
データ分析と優先順位付け: 収集したリスクデータを、「ビジネス上のインパクト」と「攻撃成立の可能性」の2軸で評価し、リスクスコアリング(優先順位付け)を行うこと。
専門家による評価(アセスメント)は、この「データ収集」と「分析(スコアリング)」のプロセスを実行し、対策計画の立案に必要な客観的データを提供するための現実的なアプローチです。
陥りがちな罠:リスクの「定量化」ができず、対策が実行できない
セキュリティ運用の現場が直面する最も深刻な課題は、「リスクの所在や優先度がデータとして可視化できず、どこから手をつけるべきかという意思決定ができない」状態です。
オンプレミス、マルチクラウド、外部公開資産と、データが分散・サイロ化している環境では、リスクの全体像を把握すること自体が困難です。
「どの領域の対策が急務であるか」を客観的なデータ(例:リスクスコア、想定被害額)で示せなければ、セキュリティ対策強化のための予算申請や経営層の合意形成は進みません。
したがって、対策実行の前に、まず現状の対策状況を「スコアリング」し、リスクの所在と影響度を「マッピング」することが不可欠です。この「現状のデータ化(ベースライン設定)」こそが、限られたリソース(人、予算)で最大の効果を生むための最短経路となります。
リスクを「測定」し「管理」可能にするための診断サービス群
本セ-“では、こうした「セキュリティリスクのデータ化と優先順位付け」という課題に対し、キヤノンITソリューションズが提供する「セキュリティ対策診断サービス」群を、具体的なデータ活用シナリオと共に紹介します。
これらのサービスは、単なる「診断」に留まらず、セキュリティ対策を「データに基づく継続的な改善プロセス」へと変革するためのデータ基盤を提供します。
セキュリティ対策診断サービス(全体アセスメント) 専門家がクラウドからオンプレミスまでを横断的に評価し、現状のセキュリティ・パフォーマンスを定量化・スコアリングします。可視化されたレポートは、経営層への報告や予算申請のための客観的エビデンスとして活用できます。
さらに、診断で特定されたリスク領域に対しては、より詳細な「リスクデータ」を取得するための下記サービス群をご紹介します。
CNAPPサービス(クラウド環境のデータ化) クラウド環境特有の設定ミスや脆弱性といった「構成データ」を継続的に監視・分析し、リスクを管理します。
ASMサービス(外部資産のデータ化) 攻撃者視点で外部公開資産(Attack Surface)に関連するリスクデータを可視化します。
ペネトレーションテスト(脆弱性の実証データ) 実攻撃シナリオに基づき、スコア上の脆弱性が「実際に侵入可能か」という実証データを取得します。
「リスクの優先順位付けをデータに基づいて行いたい」「対策の妥当性を客観的なスコアで証明したい」といった課題を持つご担当者は、ぜひご相談ください。