目次
- 1 AI時代のWebパフォーマンス分析:セキュリティ対策とCX(顧客体験)の相関性
- 2 セキュリティインシデント分析の基盤:「ログデータ」の品質と管理体制の再点検
- 3 攻撃対象領域(Attack Surface)の定量的把握:Webアプリの潜在的脆弱性データとリスク分析
- 4 外部脅威インテリジェンス(IPA 10大脅威)から見る、DDoS攻撃の再評価
- 5 データで読み解く:メール起点のサイバー攻撃リスク
- 6 データから見るWebアプリリスク:潜在的脆弱性の定量化と対策の最適化
- 7 【セクション1】 サプライチェーン・リスクデータの管理と分析
- 8 分析対象データの爆発的増加と「暗号化」が招く分析の限界
- 9 「アラート無し=未侵害」ではない時代のデータ分析要件
AI時代のWebパフォーマンス分析:セキュリティ対策とCX(顧客体験)の相関性
多くの企業ではWAF(Web Application Firewall)等のセキュリティログを監視し、既知の脅威を防御できていると判断しています。 しかし、それと同時に、Webサイトのパフォーマンスデータ(例:ページ表示速度、コンバージョンレート(CVR))が低下傾向を示すケースが観測されています。
この「セキュリティ指標」と「ビジネスKPI」の乖離こそが、AI時代特有の課題です。
要因として、従来のWAFでは検知・分類が困難な、AIを活用した高度なBOTトラフィックが影響している可能性が指摘されています。例えば、転売BOTによる在庫の自動買い占めや、高頻度アクセスによるサーバーリソースの逼迫は、直接的な機会損失や顧客体験(CX)の低下、ひいては顧客離脱率の上昇という経営指標の悪化に直結します。
これらの現象は、一見すると「セキュリティインシデント」として顕在化しにくいため、CX劣化の根本原因が見過ごされがちです。データに基づき、この”検知できていないリスク”を特定・定量化することが急務となっています。
データが示す「異常」:パフォーマンス低下とBOTトラフィックの関連性
キャンペーンや新商品リリース時に観測される、突発的なページ表示遅延や、コンバージョン(例:購入)プロセスにおける異常なトラフィックパターン(例:短時間での完売)は、データ分析上の重要なシグナルです。
その背後には、WAFのシグネチャを回避するよう設計されたBOTや、サービスを意図的に遅延させる高負荷アクセスが潜んでいる可能性があります。これらは、従来のアクセスログ分析だけでは「正常な高負荷」なのか「悪意あるトラフィック」なのかを識別することが困難です。
この識別を怠ると、Web体験の質の低下が放置され、結果としてCVRの低下やブランドロイヤルティの毀損といった、測定可能なビジネスダメージにつながります。顧客からのフィードバック(不満)は、単なる定性データではなく、特定の攻撃パターンを示す定量的なシグナルとして捉え直す必要があります。
トラフィックの可視化とデータ駆動型セキュリティ対策
本セミナーでは、Fastlyが提供するCDNおよびWAFのデータを活用し、トラフィックの振る舞いを詳細に分析・可視化するアプローチを解説します。
巧妙化・自動化されたAI/BOTによるトラフィックが、Webパフォーマンス(応答速度、可用性)やビジネスKPI(CVR、売上)に与える影響を定量的に把握します。
従来の「脅威シグネチャに基づく防御」という視点に加え、「トラフィックの振る舞いと顧客体験の相関」というデータ分析の視点から、パフォーマンスとセキュリティを両立させる具体的な対策と、その評価方法について最新の実例を交えてご紹介します。
データで見るIT資産・脆弱性管理:WSUS廃止に伴う運用プロセスの再設計
サイバー攻撃、特にランサムウェアによる事業影響は、依然として高いリスクとして観測されています。AI技術の悪用は、攻撃パターンの予測をさらに困難にしています。
同時に、DX推進やクラウド移行は、管理対象となるIT資産(エンドポイント、アプリケーション)の棚卸しと、その構成情報の維持を複雑化させています。この資産管理データの不備が、セキュリティ対策の基盤を揺るがしています。
こうした状況下で、「WSUS」の段階的廃止が発表され、パッチ管理プロセスの見直しが迫られています。「Microsoft Intune」等への移行が推奨されていますが、特にオンプレミス環境や多拠点にまたがる複雑なネットワーク構成下では、パッチの配布状況や適用率を正確に把握・集計することが困難な場合があります。
数千台規模の端末において、パッチ適用状況の可視化(データ化)が遅れることは、「脆弱性発見から修正までの時間(Time to Remediate)」の長期化を意味し、これはランサムウェア感染リスクと直接的な相関があります。IT資産データとパッチ適用データを統合し、管理プロセスを再設計することが不可欠です。
運用KPIとセキュリティKPIのジレンマをデータで解決する
多くの企業において、IT運用リソースの不足は継続的な課題です。その結果、サポート終了(EOL)ソフトウェアの資産台帳からの削除漏れや、パッチ適用率の低い端末の放置といった「データギャップ」が発生しがちです。これらのデータ不備が、インシデント対応の遅延を引き起こします。
現場では、「セキュリティKPI(例:脆弱性修正率)の向上」と「運用工数(OpEx)の削減」という、相反するように見える指標の同時達成が求められています。
エンドポイント防御(EDR等)の多層化はリスク低減に寄与しますが、管理ツールがサイロ化(分断)すると、運用負荷は増大します。特に数千台規模の環境で、異なるベンダーのソフトウェア・パッチ適用状況を一元的に可視化し、レポーティングすることは極めて困難です。
WSUSからの移行計画がデータに基づいて策定されない場合、脆弱性対応の遅延が常態化し、ランサムウェア感染の潜在的リスクが定量的に高まることになります。
データ統合による「予防型セキュリティ」と「資産管理の効率化」
WSUSの代替プロセスを検討する上で、IT資産管理ツールは、パッチ管理の基盤となる正確な「資産インベントリデータ」を提供する有力な選択肢です。
しかし、IT資産管理データだけでは、ランサムウェアのような高度な脅威の「検知・防御」はできません。そのため、エンドポイントセキュリティ(EPP/EDR)のデータと連携させ、統合的に分析する仕組みが不可欠です。
WSUS廃止後の運用モデルとして、IT資産・パッチ管理のデータを一元化するツールと、脅威を”実行前”に予防するデータを組み合わせたアプローチがあります。
これらのツールを組み合わせることで、どの脆弱性が最もリスクが高いかを即座に特定し、優先順位付けが可能になります。
これにより、「予防的セキュリティの強化」と「資産管理の運用効率化」という2つの指標を、データに基づいて両立させる具体的な方法を解説します。
セキュリティインシデント分析の基盤:「ログデータ」の品質と管理体制の再点検
デジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、サイバー攻撃のリスクは増大しています。現在、企業や組織に求められるセキュリティ対策は、「100%の防御」から「インシデントの早期検知と影響の極小化(MTTD/MTTRの短縮)」へとシフトしています。
この「検知」と「事後分析(フォレンジック)」のプロセスにおいて、唯一無二の根拠となるのが「ログデータ」です。
ログは、システム障害の原因特定や情報漏えいの追跡、内部統制の証跡として不可欠なデータ資産であり、その管理体制の堅牢性がセキュリティレベルに直結します。
多くの組織では、既にSIEM(Security Information Event Management)などの統合ログ管理製品が導入されています。しかし、データ分析の観点からは、その運用に大きな課題が存在します。
例えば、SIEMに取り込まれる全セキュリティイベントデータのうち、実際にインシデント分析に寄与する(=価値のある)データは3割程度という試算もあります。これは、残りの7割の「ノイズデータ」がストレージコストやライセンス費用を不必要に圧迫し、分析パフォーマンス(検索速度)と運用ROIを著しく低下させていることを示唆しています。
分析の前提を覆す「ログ欠損(取りこぼし)」というデータ品質問題
大規模組織や多拠点(顧客環境含む)のログ管理において、分析の精度を根本から揺るがす深刻な課題が、「データ品質(Data Quality)」、特に「ログの欠損(取りこぼし)」です。
ログ収集基盤の設定不備や、高負荷による処理遅延、ログサーバ自体の障害(SPOF:単一障害点)により、分析に不可欠なデータがサイレントに欠落しているケースは少なくありません。
インシデント発生時に必要なデータが欠損していれば、正確な原因究明や影響範囲の特定は不可能となり、結果としてMTTR(平均修復時間)の長期化に直結します。
また、「ログデータが各システムに分散・サイロ化している」「多様なログフォーマットを扱いきれない」といったデータガバナンスの問題も、横断的な相関分析を阻害する要因です。
これらのデータ品質と管理体制の不備が、原因究明の遅延や、非効率なデータ運用コスト(ストレージ、SIEMライセンス)を招いています。
データアーキテクチャの最適化:高スループット処理とコスト効率化を実現するログ基盤
サイバー攻撃分析の高度化に対応するためには、ログ管理基盤そのもののデータアーキテクチャを見直す必要があります。
課題は明確です。
データ網羅性: ネットワーク機器や認証サーバから出力される膨大なログ(高EPS)の取りこぼし防止。
データ可用性: 収集基盤自体の障害による二次的なデータ欠損リスクの排除。
データ効率性: SIEMへ転送するデータの「ノイズ除去(フィルタリング)」によるコスト最適化。
これらのデータ管理課題に対する解決策を解説します。 まず、ログが分散・欠損するメカニズムや、SIEMのコストが増大するデータ構造上の問題を整理します。
その上で、「収集・保全」と「分析」のレイヤーを分離するアーキテクチャをご提案します。 具体的には、最大10万EPSという高スループットなデータ処理性能と暗号化によるデータの保全性を備えた「syslog-ng Store Box(SSB)」をSIEMの前段に配置する構成です。
これにより、分析に必要なデータを確実に保全しつつ、SIEMへの転送データを最適化(例:必要なデータのみ転送)することが可能になります。 「データ品質の担保」と「分析コストの最適化」を両立させる、実践的なデータ管理手法を解説します。
攻撃対象領域(Attack Surface)の定量的把握:Webアプリの潜在的脆弱性データとリスク分析
Webアプリケーションは、常時インターネットに接続されており、攻撃者にとって最もアクセスしやすいエントリーポイントです。これは、サイバー攻撃の主要なターゲットであることを示す統計データからも明らかです。
DX推進やクラウドシフトを背景に、社内外からのアクセスポイント(Webアプリ、スマホアプリ)の数は定量的に増加しています。一方で、開発の迅速化(ローコード、AIコーディング等)に伴い、リリースされるアプリケーションのセキュリティ品質を測定・担保するプロセスが追いついていないケースが散見されます。
これは、開発プロセス(CI/CD)において、脆弱性密度(例:コード行数あたりの脆弱性件数)や修正状況といったセキュリティKPIが組み込まれていないことを示唆しています。 結果として、潜在的な脆弱性が「技術的負債」として蓄積され、攻撃リスクの高い状態が放置されがちです。
経済産業省やIPAのガイドラインは、このリスクをデータとして可視化する手段(脆弱性診断)の実施を推奨しており、サプライチェーン全体でのセキュリティレベルの定量的な証明(エビデンス)を求める傾向も強まっています。
脆弱性管理におけるデータ活用の課題:診断データの品質と優先順位付け
Webアプリケーションの脆弱性診断を外部ベンダーに委託している場合でも、その「診断データの品質」に課題が残ることがあります。
診断スコープ(対象資産の網羅性)や診断深度(分析の粒度)がデータとして定義されていなければ、重要なリスク指標を見落とす可能性があります。また、限られたリソースの中でどの脆弱性から対処すべきか、客観的なデータ(例:CVSSスコア、悪用可能性、ビジネスインパクト)に基づいた優先順位付けができず、対策が非効率になるケースが目立ちます。
「ツールによるスキャンデータのみで分析が不十分」「最新の診断データ(鮮度)が1年以上古い」といった状態は、ECサイトや決済機能を持つサービスにおいて、不正利用や情報漏えいのリスク確率を正しく測定できていないことを意味します。
現在求められているのは、単なる脆弱性のリスト(生データ)ではなく、リスクを定量的に可視化し、明確な優先順位(Actionable Insight)を導き出す、高品質な脆弱性診断データです。
「攻撃者視点」によるリスクの定量化:診断データを「実用的なインサイト」に変えるアプローチ
本セミナーは、「収集した脆弱性データをどう分析し、どこから対策に着手すべきか」というデータ分析と優先順位付けに課題を持つ部門(情報システム、開発、セキュリティ、DX推進)の担当者に向けて開催します。
脆弱性診断において重要なのは、チェックリストを消化することではなく、「攻撃者の視点」でリスクを定量化することです。
その実践的ソリューションとして、Webアプリケーション診断があります。 このサービスの特徴は、自動化ツールでは検出が困難な「論理的脆弱性」(ビジネスロジックの欠陥など)を、世界レベルの専門家(ホワイトハッカー)が手動で分析・評価し、データの精度を高める点にあります。
診断実績(過去データ)に基づき、「単なる脆弱性の指摘」に留まらない「実行可能な対策」を提示します。 これは、第三者の専門家による客観的なリスク評価データを取得し、自社のセキュリティリスクを定量的に可視化・棚卸しするプロセスです。 どの領域の対策が急務であるかをデータドリブンで判断し、セキュリティレベルを体系的に見直すためのインプットとしてご活用いただけます。
Eメール攻撃ベクトルの多様化と、訓練効果測定のデータ的課題
近年、標的型攻撃やビジネスメール詐欺(BEC)に関連するインシデント観測データは増加傾向にあります。IPAが公表した「情報セキュリティ10大脅威 2025」のような外部統計データも、Eメールが依然として主要な攻撃ベクトルであることを裏付けています。
攻撃手法は多様化しており、特に「ClickFix」(ユーザー操作を誘導し悪意あるコマンドを実行)や「クイッシング」(QRコードを悪用)といった新しい攻撃パターンの特徴量が観測されています。 これにより、従業員一人ひとりのインシデント報告(=人間センサーとしてのデータ収集)の重要性が高まっています。
Eメール訓練のROI計測を阻む「データ運用コスト」という壁
多くの企業・組織では、従業員向けの「Eメール訓練」が実施されています。これは、従業員のセキュリティ意識や識別スキルを定量的に測定・改善するための有効な手法です。
しかし、その運用プロセスとデータ分析において大きな課題があります。
訓練の実施(シナリオ作成、配信設定)から結果のデータ収集(受信状況、クリック率、報告率の集計)、そして分析(レポート作成)に至るまで、手動による運用工数が膨大にかかっているケースが少なくありません。
また、収集したデータが分析に適した形式で管理されていなかったり、サービス機能の制約により対象者別のセグメンテーション(例:部署別、役職別)が困難であったりします。 これでは、「どの層がどのような攻撃に脆弱か」といった詳細な分析や、訓練による行動変容(例:クリック率の時系列変化)を測定することが困難です。
この「データ収集・集計コスト」「分析の困難性」「カスタマイズ性の欠如」が、訓練のPDCAサイクルを停滞させ、データに基づいた効果的なセキュリティ教育の継続を阻害する要因となっています。
外部脅威インテリジェンス(IPA 10大脅威)から見る、DDoS攻撃の再評価
2024年末に観測された一連の大規模DDoS攻撃は、サービス提供の可用性(Availability)に深刻な影響を与え、多くの機会損失と顧客満足度の低下という測定可能なビジネスダメージを発生させました。
この事実は、IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2025」にDDoS攻撃が5年ぶりに再ランクインしたという外部脅威データによっても裏付けられています。
データ分析の観点から、DDoS攻撃は単なる「通信の妨害」ではなく、以下の2点で再評価が必要です。
ビジネスKPIへの直接的インパクト: サービスの可用性を直接脅かし、収益性やブランドロYルティといった経営指標を毀損させます。
他の攻撃の隠蔽(Smokescreen): 高トラフィックを発生させ、セキュリティ監視リソース(人・システム)を意図的に飽和状態にします。この混乱に乗じて、より深刻な不正侵入やデータ窃取が行われる可能性があり、DDoS関連のトラフィックデータと、他のインシデントデータとの相関分析が不可欠です。
分析の最大の障壁:「暗号化」によるネットワークデータの”ブラックボックス”化
「10大脅威」の上位を占める「ランサムウェア」や「サプライチェーン攻撃」が継続的な課題である背景には、深刻な「データ可視性(Visibility)」の問題が存在します。
IoTデバイスの増加やリモートワークの普及に伴い、分析対象とすべきネットワークトラフィックの総量(Volume)は増大し続けています。しかし、そのトラフィックの大部分はTLS等で暗号化されており、データの中身を分析できない”ブラックボックス”状態となっています。
従来のセキュリティ分析基盤(SIEM, NDR等)は、トラフィックの”中身”(ペイロード)を検査することを前提に設計されているモデルも多く、暗号化されたデータの前では機能不全に陥ります。
結果として、ランサムウェアの侵入や内部不正の検知が遅れ、MTTD(平均検知時間)が著しく悪化します。 また、生データをすべて可視化しようとすると、復号処理の負荷、過検知による「アラート疲れ」(分析効率の低下)、ストレージコストの増大、ROIの悪化といった、データ分析基盤の運用課題に直結します。
DDoS攻撃の多様化と、SSL/TLS暗号化通信のデータ分析課題
DDoS攻撃の攻撃パターン(データ特性)は多岐にわたります。 「SYNフラッド」のようなVolumetric(帯域消費型)攻撃から、「HTTPレイヤー7攻撃」のようなApplication-Layer(リソース枯渇型)攻撃まで、その特性は異なります。これらを正確に検知・防御するには、トラフィックデータの多角的な分析(ベースライン分析、シグネチャ、振る舞い検知)が必要です。
さらに深刻なのは、SSL/TLSで暗号化されたDDoS攻撃です。
暗号化されたトラフィックを分析(復号)するには、高い処理能力を持つ専用のアーキテクチャが必要です。 また、「どこで(監視ポイント)」「どのデータを(重複排除)」取得するかというデータ収集設計が最適化されていない場合、脅威データの見逃し(偽陰性)や、過剰なデータ収集による分析基盤全体のパフォーマンス低下を招きます。
セキュリティデータ分析基盤の最適化:効率的な多層防御アーキテクチャの解説
重要インフラを標的とする高度なサイバー攻撃に対抗するには、個別のソリューション導入を超えた、「セキュリティデータ分析パイプライン」の設計が求められます。
本セッションは、ネットワークやセキュリティのデータアーキテクチャ設計を担当される方を対象とします。 最新のDDoS攻撃のデータパターンや、SSL/TLSを悪用する攻撃の分析手法を解説します。
その上で、効率的な多層防御を実現する具体的なデータ処理アーキテクチャとして、A10ネットワークスのソリューション(DDoS防御・SSL可視化)と、キーサイト・テクノロジーのソリューション(ネットワーク可視化・データブローカー)の連携をご提案します。
この構成は、分析基盤(SIEM等)にデータを渡す「前段」で、DDoSトラフィックを「フィルタリング(除去)」、暗号化通信を「復号(可視化)」、必要なデータを各分析ツールへ「最適に分配」する役割を担います。これにより、後段の分析ツールの負荷を劇的に下げ、分析データのS/N比(信号対雑音比)を高め、セキュリティ運用全体のROIを最大化する方法を解説します。
「DDoS攻撃のリスクを定量化したい」「暗号化トラフィックの分析ボトルネックを解消したい」「多層防御のデータフローを効率化したい」といった課題を持つ方に向けた内容です。
データで読み解く:メール起点のサイバー攻撃リスク
メールを起点としたサイバー攻撃は、依然として組織の事業継続性を脅かす重大なインシデント要因です。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2025[組織]」において、「標的型攻撃」(4位)や「ビジネスメール詐欺」(9位)が継続して上位にランクインしている事実は、この脅威が一過性のものではなく、構造的な課題であることを示しています。
近年の攻撃データ分析からは、単なる増加傾向だけでなく、手口の質的な変化が読み取れます。特定のターゲット情報を収集・分析し、極めて巧妙に作成されたメールは、従来のセキュリティ教育やフィルタリング技術の有効性を低下させています。
さらに、「ClickFix」(悪意あるコマンド実行誘導)や「クイッシング」(QRコード悪用)といった新種の手法は、従業員の行動データを分析する上で新たな監視・教育の必要性を示唆しています。これらの攻撃は、従来の「添付ファイル開封」や「URLクリック」といった典型的な訓練シナリオだけではリスクを網羅できず、セキュリティ意識の定量的評価と継続的なアップデートが不可欠であることを示しています。
従来のメール訓練データが「活用」されない理由
多くの組織で標的型攻撃メール訓練が実施されていますが、その運用データや結果データが、必ずしも効果的なリスク低減に結びついていないケースが散見されます。
データ分析の観点から、従来の訓練が直面する主要な課題は以下の3点に集約されます。
運用工数によるデータ収集の遅延: 事前準備、環境設定、シナリオ作成、そして訓練後の受信・クリック状況の集計といった一連のプロセスが手作業に依存している場合、膨大な工数がかかります。これは、リアルタイムなリスク分析と迅速なフィードバックを阻害する大きな要因です。
画一的な訓練による分析精度の限界: 対象者(従業員)の属性や過去の訓練結果データに基づいた柔軟なカスタマイズが困難な場合、得られるデータは組織全体の平均的な傾向を示すにとどまります。これでは、高リスク群や特定の部署が持つ脆弱性を特定し、ターゲットを絞った改善策を講じることができません。
訓練結果の「見える化」とROIの欠如: 訓練結果が単純な「クリック率」の集計に留まり、「どの従業員が」「どのような手口に」「なぜ」騙されたのかというインサイトを抽出できていないサービスも少なくありません。また、訓練の高度化や対象者拡大に伴う追加コストが、リスク低減効果(ROI)として定量的に示せないため、継続的なセキュリティ投資の判断を難しくしています。
これらの課題は、訓練の継続実施を妨げるだけでなく、収集したデータを「死蔵」させ、有効なセキュリティインテリジェンスとして活用できないという根本的な問題を示しています。
訓練データを「生きたインテリジェンス」に変えるアプローチ
前述の課題、すなわち「運用工数の増大」「分析精度の限界」「ROIの不明瞭さ」を解決するためには、訓練プロセス自体のデータドリブン化が必要です。
ここで紹介する「KIS MailMon」は、単なる訓練ツールではなく、継続的なリスク測定と改善サイクルを支援するプラットフォームとして設計されています。リリースから3年で550社、特にデータガバナンスに厳格な金融機関100社への導入実績は、その実効性を示す客観的なデータと言えます。
データアナリストの視点から評価する主な強みは以下の通りです。
豊富なシナリオ(300種以上、日英対応): ClickFixやクイッシング等の最新脅威を含む多様な攻撃パターンデータを網羅。これにより、組織の脆弱性プロファイルを多角的に分析し、対策の優先順位付けが可能になります。
柔軟なカスタマイズ性と低コスト運用: 対象者セグメントや過去の訓練データに基づき、リスクスコアに応じた訓練の最適化を実現します。これは、画一的な訓練にかかる無駄なコストを削減し、限られたリソースを高リスク領域に集中させる上で不可欠です。
データ活用を前提としたサポート体制: 訓練の実施(Do)だけでなく、結果データの分析(Check)と改善策の立案(Action)までをサポート。これにより、担当者の工数を削減し、セキュリティレベルの継続的な定量的改善(PDCAサイクル)を促進します。
当講演では、類似サービスとの機能・コスト・分析能力の比較データを基に、自組織のセキュリティ投資対効果を最大化するためのソリューション選定基準について、具体的なデータと共に解説します。
「訓練の実施」自体が目的化している状態から脱却し、「従業員のリスクデータを分析し、継続的にセキュリティ体制を強化したい」とお考えの担当者にとって、有益な情報を提供します。
トラフィックデータ分析によるサービス安定化とCX向上
サービスの安定稼働は、トラフィックデータのリアルタイム分析にかかっています。本セッションでは、「仮想待合室」ソリューションが、どのようにしてアクセス集中時のトラフィックをデータに基づいて制御し、サービス停止を回避するかを解説します。
従来のアクセス制限が引き起こす「離脱率の上昇」や「顧客体験の悪化」といったマイナスのビジネスデータを最小限に抑えることが目的です。
さらに、DDoSやBotなどの異常トラフィックの検知・排除データを分析し、これをセキュリティ機能と連携させるアプローチを紹介します。正常なユーザーリクエストのデータを保護し、機会損失を防ぎつつ、安定稼働とブランド価値(顧客満足度データ)を維持するための、コストメリット分析を含めた具体的な導入アプローチを提示します。
データに基づく効率的な脆弱性管理とコスト最適化
攻撃者の行動分析データからは、彼らが常に最も管理の薄い、脆弱なIT資産を狙う傾向が読み取れます。しかし、限られた予算内で全ての脆弱性に対処することは非現実的です。
このセッションでは、特に「管理対象のIT資産(ドメイン、サイト)がデータとして一元管理できていない」「外部公開資産のリスク評価データが不足している」といった課題を持つ組織向けに、効率的な脆弱性管理のデータモデルを提案します。
脆弱性データ(CVSSスコアなど)と資産の重要度データを掛け合わせ、対処すべきリスクを定量的に優先順位付け(トリアージ)する手法を解説します。これにより、診断コストを最適化し、限られたリソースで最大のリスク低減効果を得るためのポイントを具体的にご紹介します。
データから見るWebアプリリスク:潜在的脆弱性の定量化と対策の最適化
Webアプリケーションは、その公開性ゆえに、サイバー攻撃者にとって最もアクセスしやすい侵入経路であり続けています。これは、観測される攻撃インシデントデータの統計からも明らかです。
近年、DX推進やクラウドシフトを背景に、社内外からアクセス可能なWebアプリケーションやスマートフォンアプリの数は指数関数的に増加しています。一方で、開発プロセスは自社開発、ローコード/ノーコード、さらにはAIコーディングによる内製化へとシフトしています。
この変化は、開発速度を向上させる反面、「セキュリティ品質に関するデータの取得・管理」を著しく困難にしています。セキュリティレビューや品質管理のプロセスが開発速度に追随できず、結果として「測定されていないリスク(=潜在的脆弱性)」がシステムに組み込まれたままリリースされる事例がデータ上でも散見されます。
データに基づく「説明責任」と「リソース配分」の課題
経済産業省やIPAのガイドライン、特定業界(製造、医療、金融など)での事実上の義務化、そして取引先からのサプライチェーンセキュリティへの要求は、単に対策を実施すること以上に、「自組織のセキュリティ体制の妥当性をデータで説明する責任(アカウンタビリティ)」を求めています。
しかし、多くの組織が脆弱性診断で得られる「データ」の活用において、大きな壁に直面しています。
診断データのブラックボックス化: 従来の脆弱性診断を外部ベンダーに任せきりにすることで、「なぜその診断範囲(スコープ)が妥当なのか」「どのような基準で評価されたのか」という根拠データが不明確になりがちです。
生データ(脆弱性リスト)の氾濫: 診断結果として膨大な「脆弱性リスト(生データ)」が提出されても、それを自社の「ビジネスインパクトデータ(顧客情報、決済機能など)」と関連付けて分析できなければ、対策は進みません。
非効率なリソース配分: 結果として、「どの脆弱性データから対処すべきか」という客観的な優先順位付けができず、対策が場当たり的になったり、重要なリスクが後回しになったりするケースが目立ちます。
リスクデータの定点観測の欠如: ツールによる簡易診断のみ、あるいは1年以上の未実施という状態は、リスクデータの定点観測と時系列分析を放棄しているに等しく、特にECサイトや決済機能を持つサービスにおいては、インシデント発生時の想定損失額を把握できていないことを意味します。
現在求められているのは、単なる網羅的な「検査」ではなく、リスクを定量的に可視化し、対策の優先順位を明確に示す「リスク分析」です。
「攻撃者視点」によるリスクデータ分析と投資対効果の最大化
「脆弱性データを収集しているが、どう活用・分析すべきか分からない」という課題を抱える情報システム、開発、セキュリティ、DX推進の各部門担当者に向け、本セミナーでは「データドリブンな脆弱性管理」への移行を提案します。
ここで紹介するGMOサイバーセキュリティ byイエラエの「Webアプリケーション診断」は、単なる検査サービスではなく、高度な「リスク分析サービス」として機能します。
データアナリストの視点から見た同サービスの強みは、以下の点にあります。
高度なリスクデータ収集能力: 世界No.1ホワイトハッカーも所属する専門家チームが、「攻撃者視点」に立ち、自動化ツールでは決して検出できない「ビジネスロジックの脆弱性データ」まで手動で収集・評価します。
豊富なベンチマークデータに基づく実効性: 1万2600件を超える診断実績データに基づき、検出された脆弱性データが実際にどのような攻撃シナリオで悪用され得るかを分析し、実効性の高い具体的な対策(ネクストアクション)を提示します。
客観的なリスクの可視化と優先順位付け: 第三者の専門家による客観的な評価は、自社システムのリスクを「深刻度」「影響範囲」「対策難易度」といった複数の軸で定量的に可視化します。
これにより、「どこに」「どれだけ」セキュリティ投資(リソース)を集中すべきかという、データに基づいた合理的な意思決定が可能になります。
自組織のセキュリティレベルを、感覚的な不安ではなく客観的なデータに基づいて見直す機会としてご活用ください。
【セクション1】 サプライチェーン・リスクデータの管理と分析
2025年の課題:取引先リスクの「データ化」の遅れ
サプライチェーンを標的としたサイバー攻撃は、もはや「可能性」ではなく、発生頻度と影響範囲を示す具体的な「インシデントデータ」として観測されています。ある調査で、従業員1,000名以上の企業の約6割が「取引先起因のリスク」をデータとして認識している事実は、セキュリティ対策が自社内で完結しないことを示しています。
金融庁や経済産業省のガイドラインが重視しているのは、まさにこの「サードパーティ(取引先)のリスクを、データに基づき定量的に評価・管理すること」です。自社の対策が堅牢であっても、取引先のセキュリティレベルという「外部データ」を管理下に置かなければ、サプライチェーン全体のリスクは把握できません。これは喫緊の経営課題です。
従来の評価手法が「分析不能なデータ」を生む理由
多くの組織では、委託先評価を従来のチェックシートで実施していますが、これはデータ分析の観点から大きな課題を抱えています。
非効率なデータ収集プロセス: 年間数百件に及ぶ調査票の作成、更新、回収、確認作業は、膨大な工数を要する「データ収集」プロセスです。
低品質なデータ(属人化): 限られた人員で対応するため、評価プロセスが属人化し、「評価基準のばらつき」というノイズ(データの不整合)が発生します。
分析困難なデータ構造: 収集されるデータ(回答)の妥当性検証が難しく、品質の低い、非構造化データが蓄積されます。
結果として、膨大なリソースを投下しながら、リスクの実態を正確に反映しない、分析に耐えられないデータが積み上がり、リスクの見落としや対応遅延に直結しています。これは持続可能性も拡張性もない、限界を迎えたデータ管理手法です。
解決策:リスク評価プロセスの「データドリブン化」
この課題を解決するには、属人的な運用を排除し、データに基づいた評価プロセスを構築する必要があります。
アシュアードが提供する「企業評価サービス」は、このアプローチを具体化します。
高品質なデータ収集: ISOやNISTなどの国際標準に準拠した「標準化された評価基準(データモデル)」に基づき、専門家が評価を代行。これにより、客観性と網羅性が担保された高品質なリスクデータが収集されます。
データの一元管理と可視化: 評価結果は単なる報告書ではなく、「プラットフォーム上で一元管理」されます。これにより、取引先全体のリスク分布の可視化、リスクスコアの時系列分析、虚偽回答の防止などが可能になります。
これは、従来の「チェックシート運用」の工数を削減する(コスト削減)だけでなく、サプライチェーン全体のリスクを定量的に把握し、継続的に改善(PDCA)するための「データ活用基盤」を構築することを意味します。
【セクション2】 ネットワーク・リスクデータの収集と相関分析
攻撃対象の拡大がもたらす「分析データ」の爆発
サイバー攻撃は、ランサムウェアや標的型攻撃(APT)といった従来の手法に加え、ソーシャルエンジニアリングを駆使したフィッシングなど、その攻撃ベクトルのデータ(種類)を増やしています。
同時に、クラウド環境の利用拡大やIoTデバイスの普及は、「監視・分析すべきデータソース」の爆発的な増加を意味します。攻撃者は、クラウドの設定ミス(構成データ)やIoT機器の脆弱性(資産データ)など、複数の異なるデータを組み合わせて侵入を試みます。
「データ」の死角:ブラインドスポットとEDRの限界
組織が直面する最大の課題は、この増大するデータを網羅的に収集・分析できていないことです。
ブラインドスポット(データの欠損): ネットワーク監視が届かない領域は、「分析すべきデータが欠損している(ミッシングデータ)」状態を意味します。これはサイバー攻撃や内部不正の検知(MTTD)を致命的に遅らせる要因です。
データ収集の非効率性: レガシーOSの対応やサーバーへのエージェント管理負担は、「データ収集プロセスの高コスト化・非効率化」を示しています。
分析レイヤーの限界(EDR): 「EDR(Endpoint Detection and Response)」は、「エンドポイント(点)」のデータ分析には優れています。しかし、ゼロデイ攻撃やサプライチェーン攻撃など、高度な脅威の多くは「ネットワーク(線)」上の通信データにこそ、その異常な「振る舞いデータ」として現れます。
EDRが収集する「点のデータ」だけでは、ネットワーク全体の脅威を把握するには不十分であり、異なるデータソースを組み合わせた「相関分析」が不可欠です。
求められるアプローチ:全方位的なデータ収集と相関分析
したがって、現在求められている防御策は、個別のソリューション導入に留まりません。ネットワーク、エンドポイント、クラウド、IoTといった異なる環境からデータを包括的に収集・可視化し、それらを横断的に相関分析できるデータ基盤の構築が求められています。これにより初めて、個別のログデータからは見えない「攻撃の予兆」をデータとして捉え、高度な防御策を実行することが可能になります。
分析対象データの爆発的増加と「暗号化」が招く分析の限界
ネットワーク監視において、分析すべきデータソース(監視ポイント)は指数関数的に増加しています。IoTデバイスの普及やリモートワークの常態化は、分析対象となるデータボリューム(トラフィック)を増大させ続けています。
しかし、多くの組織では、この増大するデータを網羅的に収集・分析できておらず、それが脅威検知やインシデント対応の遅延(MTTD/MTTRの悪化)という形で、ビジネスリスクとして顕在化しています。
特に深刻なのは、トラフィックの大部分がTLSによって暗号化されているという事実です。これは、データアナリストの視点から見れば、「分析に必要なデータがブラックボックス化している」状態を意味します。従来のセキュリティツール(分析モデル)は、暗号化されたデータの内容を解析できず、その分析精度(検知能力)を著しく低下させています。
データ分析プロセスの課題:非効率な収集、ノイズ、そしてROIの低下
データ収集と分析のプロセスにおける技術的な課題に加え、以下の運用上の課題がデータ活用のボトルネックとなっています。
非効率なデータ収集と運用負荷: 監視範囲の拡大は、そのままデータ収集・処理コストの増大に直結します。専門スキルを持つ人材の不足やリソース不足が、この非効率性に拍車をかけています。
分析ノイズ(False Positive)の増大: 分析モデルの精度が低い場合、「過検知(False Positive)」という分析ノイズが大量に発生します。これは、本当に対応すべき「真の脅威(True Positive)」をノイズの海に埋もれさせ、セキュリティ担当者の「アラート疲れ」を引き起こします。
投資対効果(ROI)の測定困難: 結果として、ネットワーク可視化ツールへの「データ投資(導入コスト)」が、「リスク低減効果(ROI)」として定量的に測定できず、継続的なセキュリティ投資の判断を困難にしています。
既存分析モデル(IPS/NDR)のデータ依存性
「IPS(Intrusion Prevention System)」は、「既知の脅威パターン(シグネチャ)データ」との照合に基づき脅威を防御します。一方、「NDR(Network Detection and Response)」は、「異常な振る舞いデータ(アノマリー)」を分析し、未知の脅威を検知します。
これらの分析モデルは強力ですが、その性能は「入力されるデータの品質と網羅性」に完全に依存します。
データ収集設計の不備: 適切な監視ポイント(データ収集点)が確保されていなければ、分析に必要な「生データ」自体が欠損し、脅威の見逃しや誤検知(分析エラー)が多発します。
非効率なデータパイプライン: 重複データなどを前処理せずに分析エンジン(IPS/NDR)に投入することは、分析リソースの無駄遣いです。これはIPS/NDR自体の負荷を増大させ、パフォーマンス低下と運用コストの増大を招きます。
データパイプラインの最適化による、高度な脅威分析の実現
特に高度なサイバー攻撃の標的となりやすい政府機関、金融、製造業など、「暗号化トラフィックデータの分析」が急務となっている組織のIT・セキュリティ担当者には、「データ収集」と「データ分析」のプロセスを分離し、最適化するアプローチが必要です。
この課題に対する具体的な解決策として、以下の連携ソリューションを提案します。
高品質なデータ収集・前処理基盤: キーサイト・テクノロジーの「ネットワーク可視化ソリューション」が、暗号化トラフィックを復号し、重複データを排除。「分析に最適な、高品質なデータ」を生成します。
高度なデータ分析エンジン: Trend MicroのIPSソリューション「Trend Micro TippingPoint」が、提供された高品質なデータを分析し、脅威を検知・防御します。
期待されるデータ上の効果
このアプローチは、単なるツールの組み合わせではありません。「データパイプラインの最適化」により、以下の効果を実現します。
分析対象データの網羅性向上: 従来は分析不可能だった暗号化トラフィックを可視化し、キルチェーン(攻撃プロセス)の初期段階での検知率を向上させます。
分析パフォーマンスの最大化とコスト削減: 必要なデータのみをIPS/NDRに供給することで、分析エンジンの負荷を大幅に軽減します。これは、セキュリティツールの投資対効果(ROI)を最大化し、運用負担を削減する実践的なアプローチです。
セキュリティ・インシデント対応に必要な「データの質と鮮度」を高め、運用効率を向上させたいネットワークおよびセキュリティ担当者の参加をお勧めします。
「アラート無し=未侵害」ではない時代のデータ分析要件
近年のサイバー攻撃は、既知のパターン(シグネチャ)に基づく従来型の防御を回避するように巧妙化しています。もはや「検知アラート(顕在データ)がない」ことと「侵害の痕跡(潜在データ)がない」ことは同義ではありません。
さらに、委託先や子会社など、データが分散・複雑化する環境下では、単一のセキュリティ製品(サイロ化されたデータソース)から得られる情報だけでは、侵害の早期把握は極めて困難です。
業務継続性を守る鍵は、「広範なデータ収集」「迅速な異常検知」「深掘りした原因分析」という、データ分析の質と速度にかかっています。
これは医療におけるデータ分析プロセスに似ています。
平時(定期健診): 継続的にログデータを収集・分析し、組織の「正常な状態(ベースライン)」をデータモデルとして確立します。
異常検知時(迅速検査): ベースラインから逸脱した異常データを迅速にスクリーニングし、影響範囲を特定します。
インシデント時(精密検査): 異常が確実視される箇所(端末やアカウント)に限り、詳細なフォレンジック(データ痕跡の精密分析)を実施します。
このように、データに基づいた合理的な分析プロセスが求められています。
データ分析の遅延が招く「判断の遅れ」という現実
インシデント対応(IR)とは、時間との戦いであるデータ分析プロセスそのものです。発覚直後からの迅速なデータ収集と分析が、被害拡大防止の成否を分けます。
しかし現実には、データ分析官(アナリスト)や分析基盤(ツール)のリソース不足により、インシデントの痕跡データ収集や、影響範囲の切り分け(異常データの特定)に時間がかかるケースが後を絶ちません。
さらに、
ログが取得・保管されていない(=分析対象データの欠損)
管理外の端末が接続されている(=収集対象から漏れたデータソースの存在)
といった要因が、インシデントの全体像(データ)の把握を著しく困難にします。
この「データ分析の遅れ」は、封じ込めという経営判断の遅延に直結し、結果として情報漏洩や業務停止といった最悪の事態を招きます。
ThreatSonar:インテリジェンス駆動型のデータ分析による判断支援
TeamT5が提供する「ThreatSonar」は、前述した医療の「定期健診 × 迅速検査」というデータ分析アプローチを、セキュリティ運用に導入するソリューションです。
1. 有事の「迅速スクリーニング(データ収集・分析)」 軽量な実行形式で、環境を横断した広範なデータ収集が可能です。インシデント発生時には“迅速スクリーニングキット”として機能し、「どの端末のデータを優先的に精密分析すべきか」をリスクスコアリングし、迅速なトリアージ(優先順位付け)を可能にします。
2. 平時の「継続的モニタリング(ベースライン分析)」 “定期健診”として、平常時のシステム状態をデータとしてベースライン化し、その差分(逸脱)を継続的に監視します。これにより、潜伏する脅威や再侵入の兆候といった「微細な異常データ」を早期に検知します。
これにより、「データの可視化」→「データに基づく判断(切り分け)」→「アクション(封じ込め)」というインシデント対応プロセスを最短化し、データドリブンな意思決定を支援します。
「データに基づかない」対策運用が最大の弱点となる
サイバー攻撃の手口が高度化し、あらゆる組織が攻撃対象となる現代において、「セキュリティ対策を導入している」という事実だけでは不十分です。
最も危険なのは、「自社の対策がデータ上、本当に機能しているのか」「防御データや設定データに基づくと、どこに弱点があるのか」を定量的に把握できていない、”つもり”の運用状態です。
対策を講じていても、データ(ログや設定)の収集・分析に抜け漏れがあれば、それが致命的なリスクに直結します。まずは現状のセキュリティ態勢に関する各種データを収集し、客観的かつ定量的に可視化すること、そしてリスクを正しく認識することが不可欠です。
「見えないリスク」がデータドリブンな優先順位付けを阻害する
多くの組織が直面するのは、「何から着手すべきか分からない」という課題です。これは、セキュリティリスクがデータとして可視化・定量化されていないために発生します。
対策の選択肢は無数にありますが、リスクを比較評価するためのデータ(メトリクス)がなければ、適切な判断や優先順位付けは困難です。
結果として、データに基づかない場当たり的な対策や、判断の「先送り」が常態化し、限られたリソース(予算・人材)が有効活用されません。ROI(投資対効果)を最大化するには、自社のリスクデータを正確に把握し、その分析結果に基づいた優先順位付けが不可欠です。
「データ収集(アセスメント)」から始める、対策の優先順位付け
セキュリティ対策の第一歩は、「セキュリティアセスメント」という名の「網羅的なデータ収集・分析」から始まります。
アセスメントを通じて、自社の対策状況に関するデータを収集・分析し、弱点や未対策領域をレポートとして可視化します。これにより、「現状の客観的な評価」が可能となり、「どのリスクデータに優先的に対処すべきか」が明確になります。
本セミナーでは、NISTサイバーセキュリティフレームワーク(CSF)のような確立された評価軸を用い、収集したデータを体系的に分析する方法を解説します。 さらに、そのデータ分析の結果に基づき、CSIRT(インシデント対応体制)の整備や人材育成、MSS(マネージドセキュリティサービス)の活用など、持続可能なセキュリティ体制に向けたデータドリブンな中長期計画の立案・推進をどう実現するかを、包括的に解説します。