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仮想化(サーバー・デスクトップVDI)(4)

オンプレミスVDI vs DaaS:在宅勤務に最適な選択はどちらか?

はじめに

テレワークを支援する技術の一つとして「VDI(仮想デスクトップインフラ)」がある。VDIの導入や最適化において、IT管理者はさまざまな課題に直面する。特に、全社的な在宅勤務を前提としたVDI環境を構築する際には、適切な製品やサービスの選定が成功の鍵となる。本稿では、VDI導入の際に考慮すべき「オンプレミスVDI」と「DaaS(Desktop as a Service)」の違いや、それぞれのメリット・デメリットを整理し、最適な選択肢を見つけるためのポイントを解説する。

オンプレミスVDIとDaaSの比較

オンプレミスVDIとは?

オンプレミスVDIは、自社のデータセンター内のサーバーで仮想デスクトップや仮想アプリケーションをホストする仕組みである。この方式では、ハードウェア、ネットワーク、ストレージの調達および管理を企業が自ら行う必要がある。

メリット:

カスタマイズ性:ハードウェア構成、OS、セキュリティポリシーなどを細かく制御できる。

パフォーマンスの最適化:業務に最適化した環境を構築し、リソース配分を自由に調整可能。

データ管理の厳格化:企業内部のデータを完全にコントロールでき、セキュリティ要件に厳格に対応可能。

デメリット:

初期投資が高い:サーバー、ストレージ、ネットワーク機器の調達や設定に多額のコストが発生。

管理負荷が大きい:システムの運用・保守が必要で、IT部門の負担が増大。

スケーラビリティの制限:需要の増減に柔軟に対応しにくい。

DaaSとは?

DaaSは、仮想デスクトップ環境をクラウドベンダーが提供するサービスであり、企業はインフラ管理の手間を省くことができる。

メリット:

導入の迅速化:クラウドベースのため、短期間での導入が可能。

運用負担の軽減:インフラの保守や更新はベンダーが管理。

コストの最適化:使用した分だけ課金されるため、柔軟なコスト管理が可能。

デメリット:

カスタマイズ性の制限:ハードウェアやOSの設定変更が制限されることが多い。

データ管理の課題:データの保管場所やアクセス制御に関して、厳格なセキュリティ対策が求められる。

ネットワーク依存度が高い:インターネット環境の影響を受けやすく、遅延や帯域不足が発生する可能性がある。

VDI製品の選定ポイント

VDIの導入方法を決めた後は、適切なVDI製品を選定する必要がある。以下の要素を考慮することで、最適な製品を見極めることが可能だ。

既存インフラとの適合性

既存のIT環境(仮想化基盤、ストレージ、ネットワーク)と統合しやすいかを確認。

例:VMware環境ならば、VMware Horizonを選択するのが合理的。

導入・運用の容易さ

IT部門の負担を最小限にするため、管理ツールやサポート体制を考慮。

迅速な導入を求める場合は、既存のベンダー製品との親和性を重視。

仮想デスクトップの方式(パーシステント vs ノンパーシステント)

パーシステント(永続)方式

各ユーザーごとに専用の仮想デスクトップ環境を持つ。

カスタマイズやデータ保存が可能。

ディスク容量を多く消費し、運用負荷が増大。

ノンパーシステント(非永続)方式

セッションごとにリセットされ、毎回標準イメージが提供される。

導入・管理が容易で、ストレージ消費量が少ない。

ユーザーのカスタマイズが制限されるため、不満につながる可能性も。

まとめ

全社的なテレワークの導入において、VDIは重要な選択肢となる。オンプレミスVDIはカスタマイズ性やパフォーマンスに優れるが、コストと管理負担が大きい。一方、DaaSは導入・運用の負担を軽減し、スケーラビリティに優れるが、カスタマイズ性やデータ管理の面で課題がある。

VDI製品の選定にあたっては、自社の既存インフラとの適合性、運用の容易さ、仮想デスクトップの方式を考慮し、最適なソリューションを選択することが重要だ。

VDI(仮想デスクトップインフラ)が敬遠される理由とは?

VDI(仮想デスクトップインフラ)は、サーバ上で仮想デスクトップを運用する仕組みである。企業がVDIを導入する際には、そのメリットとデメリットを十分に理解し、評価することが重要だ。本稿では、VDIの主な課題と導入時の注意点を整理する。

VDIの主なデメリット

1. 導入が複雑で構成要素が多い

VDIの最大の課題は、その導入の複雑さである。物理PCとは異なり、VDIを利用するにはハイパーバイザー、ロードバランサー、セキュリティソフトウェア、ストレージ、ネットワーク機器など、複数の要素が必要になる。そのため、トラブル発生時の原因特定や運用管理が難しくなる。

対応策: 事前にPoC(概念実証)を実施し、VDIに必要なリソースや運用体制を確認することが推奨される。

2. ライセンスコストの負担が大きい

VDI環境では、OSライセンスのコストが物理PCと比較して割高になる。クライアント端末と仮想デスクトップの両方にライセンスが必要なため、特にWindows環境ではコストが二重に発生する。

対応策: DaaS(Desktop as a Service)などのクラウド型VDIを検討し、コスト構造を最適化する。

3. 一部のアプリケーションが動作しない

すべての業務アプリケーションがVDI環境で動作するとは限らない。特に、高度なグラフィック処理を必要とするソフトウェアや、特定のハードウェアに依存するアプリケーションは、仮想デスクトップ環境での運用が困難になる場合がある。

対応策: 事前にVDI環境での動作検証を行い、必要に応じて代替アプリケーションの検討や設定変更を実施する。

4. セキュリティリスクの増加

VDI環境では、仮想マシンを一元管理するESXiサーバなどが攻撃の標的になる可能性がある。特にランサムウェア攻撃では、ハイパーバイザーが狙われるケースが増加している。

対応策: 強固なパスワードの使用、多要素認証(MFA)の導入、ESXiのセキュリティガイドラインの遵守などを徹底する。

まとめ

VDIは柔軟なリモートワーク環境を実現する一方で、導入・運用の複雑さやコスト負担、セキュリティリスクなどの課題が存在する。導入を検討する企業は、PoCの実施やクラウド型VDIの活用、適切なセキュリティ対策などを講じることで、VDIのメリットを最大限に引き出すことが可能となる。

企業のデータセキュリティと業務効率を両立する新たな選択肢

PCのローカルデータ保存リスクとその影響

近年、出張や外出先での業務が増加し、企業の従業員がPCを外部に持ち出す機会が増えています。しかし、PCにデータをローカル保存することにより、紛失や盗難時に不正アクセスを受けるリスクが高まっています。特に、社員がPCを紛失し、個人情報が流出する事件が頻発しており、企業の信用を損なう要因となっています。

企業においては、顧客情報や知的財産を含む重要データが外部に流出した場合、多額の損害賠償が発生する可能性があり、取引先からの信頼を失うことによる業績悪化のリスクも存在します。データ管理の観点からも、PCにデータを保存しない対策を講じることは、企業経営において不可欠な要素となっています。

仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)の役割と課題

VDIは、データをクラウド上またはデータセンター内で一元管理することで、ローカル保存のリスクを排除し、企業のセキュリティ対策を強化する手段として広く採用されています。しかし、ビジネス環境においてVDIが直面する課題も少なくありません。

ネットワーク依存による生産性の低下VDIはアクセスが集中する時間帯に接続が不安定になったり、ネットワークがない環境では業務ができなかったりするため、ユーザーの満足度を損なう要因となっています。

柔軟性の欠如企業の急速な成長や統合に伴い、大幅な人員増加が発生した場合、新たなVDI環境の整備には大規模な設備投資が必要となり、迅速な対応が難しいケースがあります。

ローカルデータを保存しないPCの導入と新たな選択肢

従来のVDIに依存せず、PCにデータを保存しない環境を実現するためには、より柔軟なアプローチが求められます。その一例として、以下のような技術が注目されています。

クラウドストレージの活用企業がクラウドストレージを導入し、データをクラウド上で管理することで、ローカル保存の必要性を排除できます。これにより、PC紛失時の情報漏洩リスクを低減できます。

ゼロトラストアーキテクチャの適用アクセス制御を厳格化し、デバイスごとの認証・監視を徹底することで、ネットワークの有無にかかわらず安全なデータ利用環境を提供できます。

シンクライアント端末の活用クラウド環境でのアプリケーション実行を前提としたシンクライアント端末を活用することで、ローカルにデータを残さずに業務を遂行できます。

これらのアプローチにより、企業は従来のVDIに依存することなく、よりユーザビリティを担保したセキュアな業務環境を構築することが可能になります。

変化するVDI市場と企業の選択肢

かつてのVDIは、ハイパーバイザーや負荷調整機能など、多数のコンポーネントの組み合わせによって構成されていました。このため、どれか1つのコンポーネントに障害が発生した場合、その影響が広範囲に及ぶという課題がありました。

現在では、クラウドホスト型VDIや**DaaS(Desktop as a Service)**といった新しい形態が登場し、企業がハードウェアの複雑性から解放される選択肢が増えています。しかし、クラウドを利用するVDI環境でも、ネットワーク遅延やコスト管理の問題が依然として課題となっています。

「VDI」や「VPN」が敬遠される理由とは?

VDIやVPNは、場所を問わず業務を遂行するための有力な手段として普及してきました。しかし、これらのツールに依存することのデメリットも無視できません。

VDIの制約

ネットワーク環境に依存するため、オフラインでは作業ができない。

ユーザーのカスタマイズが制限され、利便性が低下する。

高額な初期投資と運用コストが発生する。

VPNの課題

遅延が発生し、接続が不安定になりやすい。

セキュリティリスクがあり、不正アクセスの標的になりやすい。

企業のデータ戦略における次世代アプローチ

企業が直面するデータ管理の課題を解決するためには、VDIやVPNだけに依存するのではなく、クラウドやゼロトラストの概念を取り入れた新たなデータ戦略を採用することが重要です。

業務効率とセキュリティのバランスを取るハイブリッドアプローチVDIとローカル環境を組み合わせた柔軟なデータ管理が求められます。

AIを活用したアクセス監視とデータ保護機械学習を活用し、異常なデータアクセスをリアルタイムで検出し、迅速な対応を可能にする仕組みの導入が有効です。

エンドポイントセキュリティの強化ローカル端末のデータを暗号化し、万が一の紛失時にも情報が漏洩しない仕組みを構築することが不可欠です。

まとめ

企業のデータセキュリティと業務効率を両立するためには、従来のVDIやVPNに依存しない新しいアプローチが求められています。クラウド、ゼロトラスト、シンクライアントなどの技術を活用し、企業のデータ管理戦略を再構築することが、セキュリティリスクを軽減し、ビジネスの柔軟性を高める鍵となります。

VDIの課題と新たなソリューション

1. VDI(仮想デスクトップインフラ)の現状と課題

仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)は、データセキュリティを強化しつつ、柔軟な働き方を実現するための手段として広く利用されてきました。しかし、クラウドの普及とSaaSの台頭により、従来型のVDIは多くの課題を抱えています。

(1) コストの増大

VDI環境の構築・運用には、サーバー、ストレージ、ネットワーク、仮想化ソフトウェアなど、多額の設備投資が必要。

大規模な環境ほど、ライセンスコストや管理コストが膨れ上がる。

(2) 利便性の低下

通信環境によっては遅延が発生し、ユーザーエクスペリエンスが低下。

一部のアプリケーションがVDI環境で適切に動作しないケースがある。

ネットワークがない環境では業務ができない。

(3) セキュリティリスク

フィッシングやランサムウェア攻撃によるデータ漏洩のリスクが増大。

VDIのアクセス集中により、システムがダウンする可能性がある。

2. PCのローカルデータ保存リスク

出張や外出業務の増加に伴い、PCを持ち出す機会が増えています。これにより、ローカルに保存されたデータが紛失・盗難された際の不正アクセスリスクが高まっています。

社員のPC紛失による個人情報の流出が相次ぐ。

重要な顧客情報や機密データの漏洩が発生し、信用失墜や多額の損害賠償リスクにつながる。

企業の知財データが流出すると、競争力の低下を招く。

3. 新たな選択肢:「Enterprise Browser」の可能性

従来のVDIに依存せず、セキュリティを維持しつつ生産性を向上させる手段として「Enterprise Browser(企業向けブラウザ)」が注目されています。

(1) コスト削減

VDIのインフラを大幅に削減し、ハードウェア・ライセンスコストを最適化。

例:大手金融業で400台以上のVDIサーバー削減に成功。

例:大手製薬会社で94%の外部委託業者向けシステムコストを削減。

(2) ユーザーエクスペリエンスの向上

Chromiumベースのブラウザにより、直感的で使いやすい操作性を提供。

ローカルにデータを保存しないため、紛失・盗難リスクを低減。

起動時間の短縮(例:大手小売業で営業端末の起動時間を80%削減)。

(3) セキュリティ強化

フィッシングやランサムウェアの脅威を軽減。

データの流出を防ぐため、ブラウザ上でのアクセスを厳格に管理。

企業独自のセキュリティポリシーを柔軟に適用可能。

4. まとめ:脱VDIの流れと今後の選択肢

現在、企業のITインフラはクラウドベースへと移行しており、従来のVDIに頼らない新たな選択肢が求められています。

VDIのコスト・運用負担の削減が急務

従業員の利便性を損なわずに、データのセキュリティを確保する必要性

「Enterprise Browser」の活用により、低コストかつ高セキュリティな業務環境を実現

本資料では、VDIを利用する企業・組織のシステム管理者やセキュリティ運用担当者に向けて、Enterprise Browserの活用事例とその具体的なメリットを詳しく解説します。脱VDIの流れが加速する中で、コスト最適化と生産性向上を両立させる新たなIT環境を検討する時期に来ています。

現在のリモートアクセス環境(VDI・VPN等)が従業員生産性に与える影響 — 課題の可視化と整理
リモートワーク環境に関する現状データから、次の主要課題が浮かび上がっています。

アクセス速度の遅延
→ 作業効率低下に直結。リモート作業完了までの時間が平均15〜30%延伸するケースも観測。

接続の不安定さ
→ 業務中断の発生率が上昇し、SLA(Service Level Agreement)未達成リスクが増大。

過度なセキュリティ制約
→ 必要リソースへのアクセス困難により、業務プロセスの遅滞・ボトルネック発生。

ITサポート依頼件数の増加
→ IT部門リソース圧迫。サポートチケット処理件数が従来比で20〜30%増加している事例もあり。

一部では影響を感じない層も存在
→ 業務内容・使用システム依存の可能性あり。業務特性別の詳細分析が必要。

影響を把握していない層
→ リテラシーや可視化ツール不足による問題把握遅延が懸念される。

これらは従業員体験(Employee Experience, EX)に直接影響し、生産性、離職率、エンゲージメントにも波及するリスク要素となります。

クラウド型セキュリティソリューション(例:ゼロトラストネットワークアクセス)への関心理由(複数回答)
調査結果から、クラウド型セキュリティへの関心が高まる背景は次のとおりです。

コスト削減効果の期待

アクセス遅延・接続不安定性の解消期待

セキュリティ対策強化ニーズ

IT管理部門の負荷軽減

従業員リモートワーク体験の向上志向

これらの関心理由は、コストセンター(IT管理部門)視点と、ビジネスドライバー(従業員生産性)視点の両面からの要請に基づいています。

職場変革の必要性 — データドリブンな視点からの提言
私たちが直面している環境変化は、従来型オペレーション(物理オフィス中心)を前提とする企業にとって、取り返しのつかない競争力低下リスクをもたらしています。

デジタルシフトに失敗した企業は、市場競争力を急速に喪失

顧客接点のデジタル化に対応できない組織は、事業縮小・淘汰の対象に

このため、リモートワーク前提の職場戦略へ再構築し、
高可用性(High Availability)、ゼロダウンタイム(Zero Downtime)、常時アクセス可能なアプリケーション環境を確保することが、事業継続性(Business Continuity)と競争力維持の鍵となります。

仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)の役割とリスク管理
VDIは、こうした職場トランスフォーメーションを支える中核技術です。

デスクトップとアプリケーションをリモートサーバーでホスティング

場所・デバイス・時間を問わないアクセス

データは端末保存されず、暗号化ストリーミングのみ

エンドポイント端末喪失・盗難時のデータ漏洩リスク排除

さらに、IT部門は、外部ストレージ接続制御や、機密情報持ち出し防止施策を強化でき、
ガバナンス遵守とコンプライアンス維持が可能となります。

一方で、アクセス性能・ユーザー体験の最適化を怠れば、リモートワーカーの生産性低下という副作用も招きかねません。
そのため、データに基づく利用状況の可視化とチューニング施策を並行して進めることが不可欠です。

VDI実装モデル — 選択肢とデータに基づく最適化検討

リモートワーク・ハイブリッドワークの推進に伴い、仮想デスクトップインフラ(VDI)導入における実装モデル選定は、事業継続性・生産性に直結する重要課題です。
データドリブンな視点で、主な選択肢を整理します。

1. オンプレミス型VDI構築
メリット

セキュリティ、コンプライアンス、パフォーマンスが自社管理下で確保可能

社内データ主権(Data Sovereignty)の完全維持

デメリット

初期投資コスト(CapEx)が高額

管理・運用負担の増大 → ITリソースがコア業務から逸脱

スケーラビリティ(拡張性)の制約 → 需要変動に柔軟対応できない

2. パブリッククラウド型VDI利用
メリット

初期投資不要(OpExモデル)

豊富なオプション(スケールアウト、バースト対応)

グローバル展開が容易

デメリット

イーグレスコスト(外部転送費用)増大リスク

レイテンシ(遅延)問題によるパフォーマンス劣化

セキュリティ・コンプライアンス遵守に不安

高負荷アプリケーション(グラフィックス・データクエリ)の性能低下リスク

3. ハイブリッド型 — HPE GreenLake for VDI
ヒューレット・パッカードエンタープライズ(HPE)は、上記二者のメリットを組み合わせ、
デメリットを回避するハイブリッドモデルを提供しています。

それが HPE GreenLake for VDI です。

HPE GreenLake for VDI — ソリューション概要とデータ観点でのメリット
主な特徴

オンプレミス環境にクラウドの柔軟性を組み込んだ「as a Service」型

データ主権、プライバシー、セキュリティ、パフォーマンスの各要件を満たしながら、クラウドのスピードと拡張性を実現

HPEによる運用・サポート → 顧客はITリソースをコア業務に集中可能

月額従量課金(Pay-Per-Use) → 投資リスク最小化

ワークロード変動に応じた迅速な拡張性確保

データから見た優位性

レイテンシ最適化(自社施設設置)

イーグレスコスト不要(社外転送最小化)

SLA達成率向上(パフォーマンス一元管理)

コンプライアンス違反リスク低減(データローカライゼーション)

HPE GreenLake for VDIの具体的提供内容
ユーザープロファイル別最適化
タスクワーカー(共有リソース)からパワーユーザー(専用GPU/CPUノード)までカバーする仮想デスクトップ設計。

インフラ提供形態
顧客拠点またはコロケーション施設にHPEが専用ハードウェアをインストール。リモート運用管理もHPEが実施。

仮想デスクトッププラットフォーム選択肢

Citrix Virtual Apps and Desktops / Citrix DaaS

VMware Horizon

契約形態

ワンストップ(1契約・1請求・単一窓口)

月額払い(OpEx型)

需要変動に合わせたスケールアップ・ダウンが容易

まとめ — データコンサルタント視点での推奨アプローチ
現状分析 → 導入モデル選定 → PoC(概念実証) → 本格展開

① 現状可視化

現行VDI利用状況、リソース消費量、パフォーマンスボトルネックをデータ収集

② 要件定義

セキュリティ要件、パフォーマンス要件、コスト要件を定量化

③ 最適モデル選定

オンプレ・クラウド・ハイブリッドから適合度を数値評価

④ PoC実施

小規模環境でHPE GreenLake for VDI検証(パフォーマンス・運用負荷・コスト比較)

⑤ 本格展開・運用最適化

利用実績データを基にスケーリング・最適化を継続

HPE GreenLake for VDI — データ主導の最適設計と導入支援

VDI導入において、パフォーマンス最適化とコスト最適化を同時に達成するためには、ユーザープロファイルの精緻な分析と、それに基づく環境設計が不可欠です。
HPE GreenLake for VDIは、これをデータドリブンに実現するための包括的なアプローチを提供します。

1. グラフィックスアクセラレータ(NVIDIA GPU) — 必要に応じた導入
高度なグラフィック処理(例:CAD、金融マルチスクリーン対応)を必要とするユーザー向けに、NVIDIA GPU搭載オプションを提供。

利用状況に応じ、永続型または非永続型VDIモデルを選択可能。

GPUリソースは必要なユーザープロファイルに限定して割り当て、コスト最適化を図ります。

2. サービスパッケージ構成 — 標準+オプションの柔軟選択モデル
HPEでは、VDIユースケースに特化したサービス群を定義しています。

必須サービス:ソリューション整合性を担保するために標準付帯。

オプションサービス:顧客ニーズに応じて、HPE委託、自社実施、またはサードパーティ活用を選択可能。

これにより、TCO(Total Cost of Ownership)最適化と運用効率性を両立します。

3. アセスメント&プランニング — データに基づく最適化提案
HPEは、VDI導入初期段階でアセスメントワークショップを提供。
顧客環境を多面的に評価し、データに基づく最適プランを策定します。

主な評価ポイント

現行運用モデルとユースケース

アプリケーションおよびイメージのライフサイクル管理状況

インフラアーキテクチャとパフォーマンス分析

パフォーマンス要件、セキュリティ要件、コスト要件の抽出

推奨アーキテクチャ、リソーススケーリング方針策定

結果 → VDI導入リスクの低減、投資効果の最大化を支援

4. 設計・インストール・構成 — プロファイル最適化に基づく環境構築
HPEは、お客様拠点またはコロケーション施設において、GreenLake for VDIの設計・導入を実施します。

提供内容

CitrixまたはVMware Horizonコントロールプレーンのセットアップ

ユーザープロファイルごとのゴールドイメージ作成サポート

顧客固有のユースケースに合わせたアーキテクチャ設計

このプロセスにより、初期展開後すぐに安定稼働が可能なVDI環境を構築します。

5. ユーザープロファイル分類 — データに基づくリソース最適割り当て
HPEは、ユーザーの業務内容・リソース要件に基づき、以下のようにプロファイル分類を行い、環境設計に反映します。

ユーザープロファイル特徴要求リソース備考
タスクユーザー軽量なアプリ使用、低負荷最小限のCPU/メモリ 
ナレッジワーカーオフィスアプリ+Webブラウジング中心標準的なリソース 
パワーユーザー中負荷アプリ、開発用途、ミドルグラフィックスCPU強化、GPUオプション永続/非永続VDI対応
エンジニアリングプロフェッショナルCAD、3Dアプリ、金融向けマルチスクリーン高性能GPU必須NVIDIA GPU搭載

このプロファイリングに基づき、リソース割当・コスト・パフォーマンスを最適化します。

データコンサルタント視点でのまとめ
導入リスク低減
→ データに基づく現状把握と要件整理

TCO最適化
→ 必要最小限リソース構成+従量制課金

パフォーマンス保証
→ ユーザープロファイル単位の設計・GPU適用最適化

スケール容易性
→ ワークロード変動に応じた柔軟拡張性

HPE SimpliVityとGreenLakeによるデータドリブンなVDI基盤最適化

1. HPE SimpliVityをVDI基盤に選択すべき理由
HPE SimpliVityは、従来のHCI(ハイパーコンバージドインフラ)の課題であった
「拡張性」と「堅牢性」をデータ設計レベルから解決する次世代HCI製品です。
特に、テレワーク・リモートワークの急速な普及に対応した柔軟かつ堅牢なVDI基盤構築に最適です。

ストレージ最適化 — ハードウェアアクセラレーションとインメモリ重複排除
ストレージ専用ハードウェアアクセラレータを搭載し、ソフトウェア制御のみに依存しない高速処理を実現。

インメモリ技術によるリアルタイム重複排除・圧縮により、ストレージ使用量を劇的に削減。

結果として、「フルクローンVDI」でも「リンククローンVDI」とほぼ同等のストレージ効率で運用可能。

→ データ量増加を前提とした将来拡張にも耐えうる設計。

拡張性 — 必要なリソースだけを柔軟に追加可能
VDI利用者急増時に、ストレージはそのまま、CPU・メモリのみを汎用サーバーで増強可能。

HCI特有の「リソース一体型拡張」に縛られず、コスト効率よくスケールアウトできる。

→ ROI(投資対効果)最大化とスモールスタートを両立。

高堅牢性 — 専用バックアップ機能で迅速復旧・コスト削減
専用バックアップソフトにより、大容量データの瞬間バックアップ/リストアを実現。

高価な外部バックアップソフト不要。TCO(総所有コスト)削減に貢献。

NFS共有によるファイル単位リストアもサポートし、柔軟な運用が可能。

→ ダウンタイムリスク低減と運用負荷軽減を同時に実現。

2. オンプレミス必要性とHPE GreenLakeによる「クラウドライク」導入
オンプレミスが求められる理由
機密データ管理
パブリッククラウドに置けない重要データを安全に保持。

セキュリティポリシー遵守
自社基準に適合した高度なセキュリティ施策が可能。

サービス品質(SLA)管理
運用・メンテナンススケジュールを自社主導で調整できる。

→ 今後のITインフラは、クラウドとオンプレミスのハイブリッド構成が標準に。

オンプレミスの強み(高い制御性、セキュリティ、カスタマイズ性)を活かしつつ、
クラウドの柔軟性・迅速性も取り込むことが重要です。

3. HPE GreenLake — 従量課金型オンプレミスモデル
HPE GreenLakeは、オンプレミス環境を「利用型課金」で提供する革新的ファイナンスモデルです。

GreenLakeの主な特徴
オンデマンド拡張:必要なリソースを事前計画なく即時利用可能。

セキュリティ・コンプライアンス強化:社内設置型ながらパブリッククラウド同様の迅速性。

財務メリット:CAPEX(資産購入)からOPEX(運用費支払い)への移行で資金流動性を向上。

DX推進基盤:自社要件に即したシステム構築と俊敏な拡張性を両立。

→ オンプレミス×クラウドのベストミックスを実現し、データドリブン経営を支援。

データコンサルタント視点まとめ

観点SimpliVityGreenLake
コスト最適化ストレージ削減+段階的拡張OPEX移行で財務メリット
パフォーマンス高速重複排除+堅牢なバックアップリソース即時拡張
リスク管理迅速なリストア+セキュリティ制御データ主権・コンプライアンス維持
DX推進支援柔軟スケール&高可用性ハイブリッドクラウド最適化

ハイブリッドワークへの本格転換とVDI環境整備の重要性

データとリスク管理から見るテレワーク基盤の最適化

日本企業の働き方は「ハイブリッドワーク」が前提に
近年、COVID-19パンデミックを契機に、働き方改革や事業継続計画(BCP)への意識が急速に高まりました。これにより、時間や場所に依存しない柔軟な働き方=テレワークの普及が進み、現在では「在宅勤務とオフィスワークを組み合わせたハイブリッドワーク」が新たな標準となりつつあります。
内閣府の調査データによれば、全国のテレワーク実施率はパンデミック前の2019年12月時点で10.3%だったものが、2021年10月時点で32.2%まで上昇しており、今後も安定的に高い水準で推移すると予測されます。

この転換期において、企業ICT環境に求められるのは以下の2点です。

オフィス同様の生産性の確保

高いユーザビリティとセキュリティの両立

これらを満たす有力なアプローチが、**VDI(仮想デスクトップインフラ)**を活用したリモート環境の整備です。

テレワーク導入拡大に伴うICT環境の課題と要件
これまで、テレワークは一部社員に限定されたオプション施策でした。しかし、BCP対策や多様な働き方対応を目的に、今後は「全社員対象」が前提となるケースが増えます。
この背景を踏まえ、ICT環境に必要とされる要件は次の通りです。

社外からの安全なアクセス

業務用端末の一元的な管理・統制

基幹システムを含むネットワーク設計の再構築

特に大企業では、短期間で数千~数万人規模のリモートワーカーが誕生するケースもあり、これまで想定していなかったシステム負荷やアクセス障害、セキュリティインシデントが発生するリスクが顕在化します。

テレワーク最大のリスクは「IT端末セキュリティ」にあり
テレワーク推進に伴い、最も重大なリスクとなるのはIT端末の管理・セキュリティです。
社内管理下にあった端末は、ネットワーク接続状況を前提にガバナンスが効いていました。しかしテレワーク端末は以下のような特性を持ち、リスクが増大します。

社外持ち出しにより、常時社内ネットワークと接続されない

セキュリティパッチの適用遅延

紛失・盗難によるデータ漏洩リスク

マルウェア感染による社内ネットワーク侵害リスク

これらを防ぐには、データを端末に残さないVDI環境の活用や、ゼロトラストセキュリティ設計への移行が必須です。

特に、VDI上でのフルクローン運用(ユーザーごとに独立した環境を保持)は、ユーザー固有環境を維持しながらセキュリティリスクを最小化できることから、ハイブリッドワーク時代における有力な選択肢となります。

データドリブンに見る今後の展望
ハイブリッドワークへの対応は、単なるICT投資ではなく、企業競争力向上とリスク耐性向上の両面から必須の取り組みとなっています。
企業は、リモート勤務の実態データ(接続状況、トラフィック傾向、障害発生率など)を継続的に収集・分析し、業務継続性とセキュリティ耐性の双方を高める施策をデータドリブンで実行していくことが求められます。

HPE GreenLake for VDI:データドリブンな運用最適化とリソース戦略化の実現

VDI運用における柔軟な関与レベル選択
HPE GreenLake for VDIソリューションでは、VDI環境のサポート、運用、管理に対するIT部門の関与レベルを、お客様側で柔軟に選択可能です。
HPEが提供する関与モデルは、

基本サポートレベルから

完全マネージドソリューションまで多段階に設計されています。

特にフルマネージドソリューションを選択した場合、お客様のITリソースはVDIインフラ管理から解放され、より戦略的・高付加価値な業務領域への再配置が可能になります。

なお、HPEの運用支援は基本的にリモート対応ですが、特定の要件に応じてオンサイト支援も組み合わせる柔軟な運用設計が可能です。

HPE GreenLake for VDIにおける顧客体験設計
HPE GreenLake for VDIは、単なる運用代行ではなく、顧客体験の最適化を目指して設計されています。
そのために、以下の2つの柱で支えられています。

① 効果的なサポート体制
専任のアカウントチームが単一窓口として、運用・技術両面を支援。

ASM(アカウントサポートマネージャー)

TAM(テクニカルアカウントマネージャー)

ACE(担当カスタマーエンジニア)

など、専門性の高いリソースを最適配置し、HPE Pointnext Complete Careの各種サービスを統合的に提供します。

② データに基づくガバナンスプロセスの体系化
優れたサービスエクスペリエンスの実現には、運用活動の可視化と計画的進行管理が不可欠です。
HPEは以下を体系的に設計し、データドリブンな運用監視・改善を行います。

運用サービス計画

アカウントサポート計画

運用サービス定例会議

サービスプランニング・レビュー

ITSM(ITサービスマネジメント)レポート

システム運用・管理レポート

これにより、運用品質を可視化・定量化し、継続的改善を推進します。

HPE GreenLakeプラットフォームによるデータ統合管理
HPE GreenLakeプラットフォームは、HPE GreenLakeのエクスペリエンスを一元管理する基盤です。
このプラットフォームにより、CIO、CFO、IT部門、事業部門責任者、DevOpsチーム、HPEパートナーがリアルタイムでデータに基づく意思決定と運用管理を行うことが可能となります。

主な機能は以下の通りです。

インフラ管理の効率化
 コンピュート、ストレージ、ネットワーク資源をインテントベースでプロビジョニング。自動オンボーディングにより時間短縮。

ワークロードセルフサービス
 仮想リソース、コンテナ、ベアメタルリソースをユーザー自身がオンデマンドで管理可能。

運用タスクの自動化
 API/CLIによる自動化で、IT人材の高付加価値業務へのシフトを促進。

コスト・容量のリアルタイム分析
 使用量、キャパシティ、コストデータを可視化し、データに基づく迅速な意思決定を支援。

総括:データ主導のIT運用最適化戦略へ
HPE GreenLake for VDIは、単なるVDI環境の提供に留まらず、IT運用のデータドリブン最適化とリソースの戦略的活用を実現するためのソリューションです。
これにより企業は、運用効率を高めつつ、競争力を支える戦略的DX施策に注力する環境を整えることが可能になります。