パブリッククラウドにおけるWebアプリケーションのセキュリティ最適化: AWS WAFの活用と次世代WAFの展望
1. パブリッククラウドの導入メリットとセキュリティ課題
パブリッククラウドの活用は、従来のオンプレミス環境と比較して導入の迅速性、スケーラビリティ、コスト最適化の面で大きなメリットを提供します。しかし、多くの企業がクラウド移行を進める中で、特にWebアプリケーションのセキュリティ対策が重要な課題として浮上しています。
近年、サイバー攻撃の高度化と多様化が進み、従来のセキュリティ対策だけでは不十分なケースが増加しています。特に、Webアプリケーションを標的としたSQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング(XSS)、悪質なボット攻撃、APIの悪用などの脅威に対処するためには、クラウド環境に最適化されたWAF(Web Application Firewall)の活用が不可欠です。
そこで今回は、AWSのエッジサービスを活用したWebアプリケーションの保護強化と、AWS WAFの自動運用を支援する**「WafCharm」**による運用最適化について解説します。
2. AWS WAFの適切な運用とその重要性
AWS環境において、Webアプリケーションの防御にはAWS WAFの活用が不可欠です。WAFは、不正アクセスのブロックやDDoS攻撃の緩和を目的とした重要なセキュリティレイヤーであり、AWS環境に最適化されたソリューションです。
しかし、Webアプリケーションへの攻撃は日々進化しており、適切なAWS WAFの運用には以下の対応が求められます。
最新の脅威情報に基づいたルール設定の最適化
誤検知・過検知を抑えたチューニングの実施
新たな攻撃手法への迅速な対応
これらの運用を社内の限られたリソースで行うことは困難であり、多くの企業が運用負担の増大に直面しています。
3. AWS WAF運用における課題と解決策
AWS WAFの運用には、以下のような課題があります。
専門知識を持つ人材の不足 → 適切なルール設定・チューニングが難しい
運用コストの増大 → 脅威情報の収集やルール更新の負担が増加
誤検知・過検知のリスク → 正常なアクセスのブロックや攻撃の見逃し
これらの課題を解決するために、AWS WAFの運用負担を軽減するマネージド型WAFの活用が有効です。
4. マネージド型WAFでAWS WAF運用を効率化
AWS WAFの運用を最適化するために、プロフェッショナルなマネージド型WAFサービスの活用が推奨されます。
おすすめのマネージドWAFサービス:
「Cloudbric WMS for AWS WAF」: 24時間365日の監視と専門的なセキュリティ対応
「マモル マネージドプラス」: 柔軟なエンジニアリソース活用による運用負担軽減
これらのサービスを活用することで、AWS WAFの誤検知対応や脆弱性への迅速な対応が可能となり、運用コストの削減とリソース最適化を同時に実現できます。
5. 従来型WAFの限界と次世代WAFの必要性
一般的なWAFは、シグネチャ(攻撃パターン)ベースの防御を提供しますが、次のような限界があります。
未知の攻撃への対応が困難 → 新たな攻撃手法を見逃す可能性
過検知・誤検知の発生 → 重要アラートの対応が遅れるリスク
チューニング負担の増加 → 手動設定が必要で運用工数が増加
さらに、オンプレミス・クラウド・ハイブリッド環境を統合的に管理することも難しく、運用負荷の増大がビジネスの継続性に影響を与えるリスクがあります。
こうした課題に対応するため、最新のAI・機械学習を活用した次世代WAFの導入が求められています。
6. 次世代WAF「Fastly Next-Gen WAF」の導入メリット
次世代WAFは、従来型WAFの課題を克服し、より高度なセキュリティ対策を提供します。
🔹 Fastly Next-Gen WAF の特長:
独自の攻撃検知メカニズムによる誤検知の排除
リアルタイムな脅威の可視化と迅速な対応
オンプレミス・クラウド・ハイブリッド環境での統合管理
このソリューションにより、企業はWebアプリケーションの保護を強化しながら、運用負担を最小限に抑えることが可能となります。
7. まとめ: AWS WAFの最適運用と次世代WAFの活用が鍵
クラウド環境のセキュリティ強化には、AWS WAFの適切な運用と、高度な攻撃に対応できる次世代WAFの導入が重要です。
AWS WAFの活用で、基本的なセキュリティ対策を強化
マネージド型WAFで運用負担を軽減し、迅速な対応を実現
次世代WAFで、未知の攻撃に対する防御力を強化
貴社のWebアプリケーションをより安全に保護し、効率的なセキュリティ運用を実現するために、最適なWAFソリューションの導入をご検討ください。
次のステップ:
AWS WAFの現在の運用状況を診断
マネージド型WAFの適用可能性を検討
次世代WAFの導入計画を策定
データ整理の観点からWebアプリケーションのセキュリティ強化に関するご相談を承っております。
お気軽にお問い合わせください。
エンタープライズ環境におけるChromeブラウザのデータ活用とセキュリティ戦略
1. ブラウザの進化と企業IT環境の変化
現代の企業IT環境では、従業員がさまざまなデバイスやプラットフォームを利用し、ウェブを通じて業務を遂行することが一般的になっています。その中心にあるのがブラウザです。かつては単なるインターネットの入り口と見なされていたブラウザですが、現在では業務プラットフォームとしての役割を担い、企業の生産性向上とセキュリティ強化の両面で重要な機能を提供しています。
Google Chromeは、Windows、Mac、Linux、ChromeOSといった多様なオペレーティングシステム(OS)で動作し、企業のITインフラに統合しやすい設計がされています。特に、**「サイト分離」**のような高度なセキュリティ機能を備え、エンタープライズ環境においてデータ保護を強化することが可能です。
2. Chromeブラウザの「サイト分離」によるデータ保護
企業のIT管理者にとって、ブラウザのセキュリティはエンドポイント戦略の一環として重要な要素です。Google Chromeの「サイト分離」機能は、各ウェブサイトのコンテンツを独立したプロセスで実行することで、クロスサイト攻撃を防ぎます。
サイト分離のメリット
クロスサイトスクリプティング(XSS)やSQLインジェクション対策の強化
Spectre や Meltdown のような投機的実行攻撃の影響を最小限に抑制
Webアプリケーションごとのプロセス分離によるセッション管理の向上
この技術により、悪意のあるサイトがユーザーの機密情報を盗むリスクを低減し、安全な業務環境を提供します。
3. エンタープライズ環境におけるChromeの戦略的活用
(1) ブラウザをエンドポイントの防御壁に
ITセキュリティ担当者は、ブラウザをエンドポイント防御の最前線と位置づけ、リアルタイムでユーザーの行動を監視・制御する必要があります。Chromeブラウザは、以下のようなセキュリティ対策を実装することで、企業のセキュリティ強化に貢献します。
🔹 リアルタイムのセキュリティアラート(セーフブラウジング機能)🔹 URLのブロックリスト/許可リストの設定🔹 アプリや拡張機能の権限管理と自動インストール制御🔹 2要素認証の強制適用による認証強化🔹 異なるデバイス間でのポリシー一貫性の確保(Chromeブラウザクラウド管理)
(2) データ活用の最適化と統合管理
Chromeブラウザは、エンタープライズ環境においてデータの収集・分析基盤としても活用できます。IT管理者は、
デバイスごとのアクティビティログの収集
ユーザー行動分析によるポリシー最適化
一貫したセキュリティ設定の適用と管理
といったデータドリブンなアプローチを採用し、セキュリティポリシーと業務効率の両立を図ることが可能です。
4. まとめ:ブラウザを戦略的セキュリティツールとして活用する
企業にとって、ブラウザはもはや単なるインターネットアクセスの手段ではなく、データ管理とセキュリティ対策の中心的な要素です。Chromeブラウザの高度な機能を活用することで、
🔹 安全なWebアプリケーション利用の確保🔹 企業データの漏洩リスクの軽減🔹 エンドポイントセキュリティの統合管理
を実現できます。
次のステップとして
Chromeブラウザの現行設定を評価し、セキュリティ最適化を実施
クラウド管理ツールを活用し、ポリシー適用の一貫性を確保
従業員の業務効率とセキュリティ強化のバランスを検討
企業のIT管理者・セキュリティ担当者の皆様には、Chromeブラウザを戦略的セキュリティツールとして活用し、より安全で効率的な業務環境を構築することを推奨します。
Webサービス運営に求められるシングルサインオン(SSO)基盤の最適解
従来のIDaaS(EIAM)の課題とコストの問題
大規模Webサービスの運営において、認証基盤の選定は重要な要素の一つです。従来のIDaaS(Identity as a Service)は主に企業向け(EIAM: Enterprise Identity and Access Management)として提供され、ユーザー課金モデルが一般的です。しかし、ユーザー数が数万を超えるような大規模なBtoCサービスにおいて、この課金モデルは運用コストを高騰させる要因となります。
CIAM(Customer Identity and Access Management)とは?
こうした背景の中、注目を集めているのが「CIAM(Customer Identity and Access Management)」です。CIAMは、BtoC向けに特化した認証基盤であり、ユーザー数の増加に伴うコスト課題を解決するために最適化されています。本セミナーでは、CIAMの概要やEIAMとの違いを解説し、選定のポイントをデータ活用の視点から紐解きます。
また、ユーザー数無制限のCIAMソリューション「KAMOME SSO」をご紹介します。「KAMOME SSO」は、数万~百万ユーザー規模のWebサービスや通信キャリアに導入されており、実際の案件事例を交えてその特長を解説します。
金融業界におけるデジタル変革とWebサービスの重要性
Webビジネスの拡大と認証の役割
デジタル化の進展に伴い、企業のWebサービス・Webサイトの運営は、ブランド認知の向上や顧客リーチの拡大において欠かせない要素となっています。特に金融業界では、フィンテック企業の台頭により競争が激化し、デジタル戦略の強化が求められています。
その中で、ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上が成功の鍵を握っています。例えば、ログイン認証の利便性が低い場合、ユーザーの離脱やサービス継続率の低下につながりかねません。特に「ID/パスワード認証」の課題として、
パスワード忘れによるログイン失敗
コールセンターへの問い合わせ増加
顧客満足度の低下
などが挙げられます。これらの課題をデータ分析の視点で捉え、より効果的な解決策を検討することが重要です。
次世代認証方式「パスキー認証」による課題解決
パスキー認証のメリットと導入事例
サイバー攻撃の増加に伴い、フィッシング詐欺や不正アクセスを防ぐためのセキュリティ強化が求められています。その一方で、UI/UXを向上させる認証方式の導入も同時に進める必要があります。近年、これらの課題を解決する技術として「パスキー認証」が注目されています。
パスキー認証は、従来のID/パスワード認証を不要とし、生体認証(顔・指紋)を活用する方式です。GoogleやApple、NTTドコモなどの大手企業でも導入が進んでおり、
ログイン成功率99%の向上
ログイン関連問い合わせの削減(コールセンターのコスト削減)
といった具体的な効果が報告されています。
FIDO認証とデータ活用による低コスト導入
本セミナーでは、金融機関および関連事業者向けに、パスワードレス認証のトレンドとパスキー認証(FIDO認証)の特長を解説します。また、データ活用を踏まえた低コスト導入の方法や、実際の導入事例をもとにした成功要因についてもご紹介します。
企業のWebサービス運営において、認証基盤の選定はビジネスの成長と直結する重要な要素です。最新の認証技術を活用し、セキュリティとUXを両立するための戦略を共に考えましょう。
セーフブラウジング: データ駆動型のリアルタイム保護
1. セーフブラウジングの概要
Google Chromeのセーフブラウジング機能は、ユーザーをフィッシングやマルウェアなどの脅威からリアルタイムで保護します。Googleは数十億ものウェブページを分析し、安全でないサイトを特定するリストを作成。これにより、ハッカーが作成した悪意のあるサイトや、侵害された正当なサイトへのアクセスを防ぎます。
2. データ分析に基づくセキュリティ対策
Googleの分析手法では、以下の要素をもとに安全でないサイトを判定します。
マルウェアの有無
過去のフィッシングやソーシャルエンジニアリング攻撃の履歴
不正なリダイレクトやスクリプトの存在
ユーザーを騙してパスワード入力やソフトウェアダウンロードを促す手法
現在、セーフブラウジングのデータベースには21,000件以上のマルウェアサイトと180万件のフィッシングサイトが登録されており、毎日300万件以上の警告がユーザーに発信されています。
3. リアルタイム更新と強化保護機能
セーフブラウジングのリストは30分ごとに更新され、新たに発見された脅威が即座に追加されます。
さらに、セーフブラウジングの強化保護機能を有効にすると、Chromeブラウザは個々のウェブページをリアルタイムで分析し、動的に変化する攻撃手法にも対応します。
この機能を使用することで、Googleの分析によるとフィッシング対策の効果が30%~50%向上することが確認されています。
4. 拡張機能とファイルのセキュリティ管理
セーフブラウジングでは、悪意のある拡張機能や不正なダウンロードファイルからの保護も実施。
拡張機能のスキャン: Chromeの起動時やリスト更新時に、不正な拡張機能がインストールされていないかをチェック。一致した場合は無効化し、ユーザーへ通知。
ダウンロードファイルの検査: 危険な形式のファイルと照合し、安全性が不明な場合はGoogleサーバーに情報を送信して検証。安全でないと判断された場合は、警告を表示。
5. 組織向けのセキュリティ管理
IT管理者は、組織全体のセーフブラウジングポリシーを一元管理可能。ポリシー設定により、
強化保護機能の強制適用
特定の拡張機能の許可・禁止
ダウンロードリスクの管理
が行えます。
6. Googleアカウントとの連携による包括的な保護
Chromeにログインしている場合、セーフブラウジング機能はGmailやGoogleドライブとも連携し、アカウント全体のセキュリティを強化。これにより、
フィッシング詐欺の検出と警告
アカウント乗っ取りの防止
ウェブ上の脅威の総合監視
が可能になります。
7. まとめ
Googleのセーフブラウジングは、データ駆動型のリアルタイム保護を提供し、30分ごとのデータ更新、機械学習によるリスク分析、クロスプラットフォームでのセキュリティ強化を実現。個人ユーザーだけでなく、企業・組織のITインフラを守る重要なツールとなっています。
ユーザーの安全行動を促すデータ駆動型アプローチ
1. 企業のセキュリティ投資と課題
企業は、マルウェア検出やシステム・ネットワーク保護のために数十億ドル規模の投資を行っています。しかし、攻撃者は従業員・請負業者・顧客・サプライヤーなどのユーザーの脆弱性を狙い、企業のセキュリティ対策を回避する手法を進化させています。
2. フィッシングとソーシャルエンジニアリングのリスク
近年のフィッシング攻撃は巧妙化しており、悪意のあるウェブサイトへ誘導し、
マルウェアのダウンロード
認証情報の入力
不正送金
を行わせる手法が一般化しています。
優れたセキュリティ意識向上プログラムでもリスクをゼロにすることは難しく、ユーザーの行動をリアルタイムでガイドする対策が不可欠です。
3. Chromeのセーフブラウジングによる行動誘導
Chromeブラウザには、ユーザーの誤操作を防ぎ、適切な行動を促すための機能が搭載されています。
高度なパスワード保護機能
攻撃者にとって、パスワードはネットワーク・アプリ・データへの鍵となります。しかし、多くのユーザーがパスワードの使い回しや漏洩後の未変更を続けており、
52%のユーザーが2つ以上のアカウントで同じパスワードを使用
70%以上のユーザーがデータ侵害後も1年以上パスワードを変更せず
40%のユーザーが3年以上不正利用されたパスワードを保持
という実態があります。
Chromeのパスワード保護機能
Chromeには、これらのリスクを軽減するための複数の対策が組み込まれています。
予測型フィッシング対策: Chromeパスワードマネージャーに保存されたパスワードがフィッシングサイトで入力されようとした場合、警告を表示
パスワードアラート: 組織が設定可能なポリシーにより、企業のパスワードを未承認のサイトで使用している場合に検出・警告
パスワードチェックアップ: データ侵害で漏洩したパスワードの使用を検知し、変更を促す
ユーザーはいつでもパスワードチェックアップを実行し、パスワードの安全性を確認可能です。
4. デジタルサービスの導入とセキュリティ向上
デジタルサービスの導入により、顧客満足度向上や業務効率化が期待されます。その中で競争力を高め、持続可能な成長を実現するための重要な要素がパスキー/FIDO認証です。
主な導入目的:
UIを改善し、ログイン成功率を向上
認証にかかるコストを削減
サイバー攻撃対策を強化しつつ、UXを維持
5. シングルサインオン(SSO)とID管理の課題
大規模サービスや企業向けのID管理には、シングルサインオン(SSO)基盤が不可欠です。しかし、
IDaaSはユーザー課金制であり、長期運用コストが高騰
数万ユーザー規模では導入ハードルが高い
といった課題もあります。
企業は、セキュリティとコストのバランスを考慮し、最適な認証システムを選択する必要があります。
6. まとめ
Chromeのパスワード保護機能やSSO導入は、データに基づいたセキュリティ強化の手段となります。企業が適切な認証戦略を採用することで、ユーザーの安全行動を促し、攻撃リスクを軽減しながら、利便性を維持することが可能です。
データドリブンで見直すべきWebセキュリティ戦略
増加するDDoS攻撃と情報漏えいに、可視化と運用最適化による対策を
2024年末以降、金融・交通インフラを狙った大規模なDDoS攻撃やECサイトの改ざんが相次ぎ、Webセキュリティの脆弱性が改めて浮き彫りとなりました。IPAが2025年1月に発表した「情報セキュリティ10大脅威」では、DDoS攻撃が5年ぶりに組織向け脅威として再ランクインしており、従来の境界防御型の対策では不十分であることを示唆しています。
さらに、クレジットカード情報漏えいの発覚が3年以上経過後という事例もあり、ログ管理や異常検知の欠如が情報リスクを長期化させる原因になっています。
こうした背景から、IPAおよび経済産業省は、WAF(Web Application Firewall)導入の必要性を明示した「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」や「クレジットカード・セキュリティガイドライン」を公開し、API経由の攻撃やBot対策も含めた“多層防御”の強化を求めています。
「導入すれば安心」ではないWAF、運用面での実態と課題
多くの企業がWAFを導入している一方で、運用の難しさと誤検知リスクに直面しています。特に、以下のような課題がWAF導入効果を減衰させています。
チューニング不足による正常通信の遮断
アプリケーション個別仕様への対応難易度
攻撃パターンの進化に追随できない静的ルール
人材不足・属人化による運用負荷
導入コストやパフォーマンス低下への懸念
このような背景のもと、WAFログの可視化・運用分析の自動化や、機械学習ベースのフィルタリングが求められる時代に突入しています。
次世代型WAF「WaaS」で実現する、セキュリティ×運用コスト最適化
従来のWAF課題を解消するアプローチとして、「WAF-as-a-Service(WaaS)」が注目されています。たとえば、Barracudaが提供する*「Barracuda WAF」および「WAF-as-a-Service」**は、以下のような特徴を備え、セキュリティ対策の定量的な改善効果をもたらします。
AIによるシグネチャ更新と自動チューニング
高精度なSSLインスペクションとSWG(Secure Web Gateway)の統合
リアルタイムログ分析による異常検知
専門人材不要の運用設計とサポート体制
高パフォーマンスを維持する構成とスケーラビリティ
📊自社に最適なWAFをどう選ぶか?戦略的視点でのチェックポイント
WAFやWaaSの導入は、単なるセキュリティ対策ではなく、「業務継続性と投資対効果」を両立させる経営判断です。そのためには、以下の3つの観点で製品選定を進める必要があります。
可視化・分析機能の有無:ログやトラフィックの統計的な傾向を把握できるか
運用コストとスキル依存性:属人化せず、スムーズに社内展開できるか
最新脅威への自動対応力:自動アップデート・AI対応の有無
まとめ:「守る」だけでなく「可視化して改善する」セキュリティへ
Webセキュリティは今や「守る」だけでなく、「可視化し、継続的に改善する運用戦略」が不可欠です。本セッションでは、最新のWAF/WaaSソリューションの比較を通じて、自社に最適な選定ポイントを明らかにし、経営インパクトを最小化するセキュリティ戦略の構築を支援します。
データ主導で選ぶべきSWG/SASE:セキュリティ投資効果を最大化するために
現代のビジネス環境は、リモートワークの普及、クラウドサービスの利用拡大、そしてサイバー脅威の高度化・巧妙化により、大きな変化に直面しています。この状況下で、安全なインターネットアクセスを確保するSWG(Secure Web Gateway)や、より広範なネットワークセキュリティを統合するSASE(Secure Access Service Edge)の重要性は増すばかりです。しかし、最適なソリューションを導入し、投資対効果を最大化するためには、機能の有無だけでなく、その有効性を客観的なデータに基づいて評価し、自社のビジネスリスクと照らし合わせて判断することが不可欠です。
以下に、データコンサルタントの視点から、SWG/SASEソリューションを評価・選定する上で重視すべき要点と、検証に必要なデータを示します。
1. 基本的なWebセキュリティ統制:リスク低減と生産性の確保
機能要件: Webフィルタリング(URL/コンテンツ)、アンチウイルス、ファイルフィルタリング。管理対象/非管理対象デバイス(エージェント/エージェントレス)への対応。
ビジネス価値: マルウェア感染、フィッシング詐欺による情報漏洩リスクの低減。不適切サイトへのアクセス制限によるコンプライアンス遵守と生産性維持。ハイブリッドワーク環境における一貫したセキュリティポリシー適用。
評価に必要なデータ:
Webフィルタリングのカテゴリ分類精度(%)と既知の悪性サイトブロック率(%)。
既知マルウェアの検知率(%)(第三者評価機関のデータ推奨)。
サポートするOS、デバイスの種類、ポリシー適用の柔軟性(ユーザー/グループ/デバイス単位など)。
2. 高度な脅威(ATP)への対抗力:未知のリスクへの備え
機能要件: インライン(リアルタイム)アンチウイルス(未知・変異型対応、自動更新)、AI/MLを活用したサンドボックス(ファイル/URL/トラフィック分析)。
ビジネス価値: ゼロデイ攻撃や未知のランサムウェアなど、従来の対策では防ぎきれない高度な脅威による甚大な被害(事業停止、復旧コスト、ブランドイメージ毀損)を未然に防止。データ侵害コスト(例:2021年平均$4.24M、リモートワーク起因で+$1.07M)を考慮すると、ATPへの投資は極めて重要。
評価に必要なデータ:
未知の脅威(ゼロデイ攻撃含む)の検知率(%)(第三者評価機関のATPテスト結果推奨)。
サンドボックス分析にかかる平均時間(秒/分)と誤検知率(%)。
脅威定義ファイルの更新頻度と自動化レベル。
AI/MLが検知精度向上に具体的にどう貢献しているかの技術的説明と実績データ。
3. AI/MLと脅威インテリジェンス:防御の高度化と運用効率の向上
機能要件: FWaaS、Webフィルタリング、DNSセキュリティ、AV/AM、サンドボックス、IPS等の機能を横断的に強化するAI/ML活用。独自の脅威インテリジェンス。
ビジネス価値: 複数の脅威情報を相関分析し、潜在的な攻撃キャンペーンを早期に特定。脅威検知精度の向上と誤検知の削減によるセキュリティ運用負荷の軽減。最新の脅威動向に即したプロアクティブな防御体制の構築。
評価に必要なデータ:
AI/MLの具体的な適用範囲(例:異常検知、リスクスコアリング)と定量的な効果(例:検知率向上X%、誤検知削減Y%)。
脅威インテリジェンスの情報源、独自性(内部リサーチチームの有無)、更新頻度、カバー範囲(地域/業種)。
主要機能(IPS等)に関する第三者機関による有効性認定(例:NSS Labs, ICSA Labs)とその評価スコア。
4. ベンダー選定:データに基づいた厳格な評価が不可欠
提示されたベンダーへの質問は、単なる機能確認ではなく、ベンダーの実力を具体的なデータで検証するための重要な出発点です。以下の観点で深掘りし、客観的な比較評価を行うべきです。
SSL/TLSインスペクション能力:
確認すべきデータ: インスペクション有効時の具体的なパフォーマンス影響(レイテンシ増加率%, スループット低下率%)の実測データ。処理可能な最大セッション数。
評価ポイント: 公称値だけでなく、自社のトラフィック量や利用アプリケーションを考慮した実環境での性能が許容範囲内か。
セキュリティ有効性の証明:
確認すべきデータ: 各機能(FWaaS, IPS, AV等)に関する第三者評価レポート(テスト機関、テスト時期、評価結果の具体的な数値)。
評価ポイント: 認定の有無だけでなく、テスト内容と評価スコアを比較し、客観的な有効性を判断する。
技術基盤(OEM利用状況):
確認すべきデータ: SWG/FWaaS等のコア技術コンポーネントにおけるOEM利用の有無とその詳細。
評価ポイント: OEM利用は、技術の独自性、将来の機能拡張、サポート対応速度、脆弱性対応などに影響を与える可能性があるため、そのリスクを評価する。
脅威インテリジェンス体制:
確認すべきデータ: 内部の脅威リサーチチームの規模、専門性、活動内容。サードパーティ情報への依存度。
評価ポイント: 独自のインテリジェンスを持つベンダーは、新たな脅威への迅速な対応や、より深い分析が期待できるか。
AI/ML活用の実態:
確認すべきデータ: AI/MLの具体的な適用技術とアーキテクチャ。それによる検知精度向上や運用効率改善を示す定量的な導入事例や実績データ。
評価ポイント: 「AI搭載」という言葉だけでなく、具体的な成果が伴っているかを見極める。
ATP機能の性能:
確認すべきデータ: インラインAVとサンドボックス機能の具体的な性能データ(検知率、対応可能な脅威タイプ、分析速度)。
評価ポイント: 提供されるATP機能が、自社の防御目標レベルを満たしているか。
結論:
SWG/SASEソリューションの選定は、将来のビジネス基盤を支える重要な投資判断です。機能リストの比較に留まらず、各機能の有効性、パフォーマンス、そしてベンダーの技術力を、客観的なデータと第三者評価に基づいて徹底的に検証することが求められます。必要であれば**実環境を模した概念実証(PoC)**を実施し、データに基づいた最適なソリューションを選定することが、セキュリティリスクを効果的に低減し、投資対効果を最大化する鍵となります。
次世代SIEM:AIと自動化によるセキュリティ運用高度化
現代の複雑化するサイバー脅威に対抗するためには、あらゆるスキルレベルのアナリストの能力をAIによって向上させ、迅速なコンテキスト収集を可能にするSIEMの導入が不可欠です。
AIによるアナリストの能力向上と調査効率の飛躍的向上
次世代SIEMは、生成AIを活用することで、自然言語による質問を高度なクエリに変換し、アナリストが直感的に必要な情報を引き出せるようにします。これにより、専門知識を持たないアナリストでも、高度な調査を迅速かつ効率的に実行できるようになります。
さらに、グラフテクノロジーは、インシデント間の複雑な関連性を瞬時に可視化し、根本原因分析(Root Cause Analysis)を支援します。影響を受けるアセットやエンティティを明確に把握することで、より効果的な対応策を導き出すことが可能になります。
イベントのタイムライン自動生成機能は、インシデント発生の経緯を視覚的に把握することを容易にし、「いつ、どこで、何が起こったのか」という重要な情報を迅速にアナリストに提供します。
また、アラートの一元管理とコラボレーション機能も重要です。ネイティブおよびサードパーティからのアラートを単一のコンソールで表示し、チーム内での共同作業やケース管理を効率的に行うことで、対応の迅速化と品質向上が期待できます。
脅威ハンティングの進化:柔軟かつ高度なクエリによるノイズ削減
脅威ハンターは、膨大なデータの中から目的の情報を迅速に特定する必要があります。そのためには、無関係なデータを除外するための複雑なクエリ構築が求められます。
次世代SIEMは、大量のデータ収集能力に加え、高度なクエリ言語を提供する必要があります。豊富な構文、集計・統計関数、データ操作、データセット結合などの機能をサポートすることで、複雑な分析を可能にします。また、高度なフィルタリングと効率的なパターンマッチングのための正規表現サポートも不可欠です。
あらゆる経験レベルのアナリストがデータを迅速にスキャンし、特定の値を見つけられるように、フリーテキスト検索機能も提供されるべきです。さらに、チーム内でのクエリ作成、スケジュール設定、保存を可能にするだけでなく、マーケットプレイスを通じて幅広い事前定義済みクエリを提供することで、脅威ハンティングの効率を高めます。
ソリューション選定においては、クエリの実行速度だけでなく、クエリ関数の豊富さとクエリ言語の柔軟性を評価することが重要です。
加えて、プラットフォーム全体に統合された自然言語および対話型AIを活用することで、アナリストはより直感的な調査とハンティングを行うことができます。例えば、「特定のホストにおけるラテラルムーブメントの検出」や「環境内の他の侵害されたホストの特定」といった複雑なタスクを、迅速かつ容易に開始することが可能になります。
自動化によるインシデント対応時間の短縮
SIEMの進化は、SOAR(Security Orchestration, Automation and Response)ツールの統合へと進んでいます。これにより、アナリストは機械的な速度で脅威に対応できるようになります。一部のSIEMソリューションでは、AIを活用して過去の類似インシデントに基づいた推奨対応アクションを提示する機能も搭載されています。
次世代SIEMには、アナリストが手動の反復タスクを容易に自動化できる、使いやすいSOAR機能が不可欠です。対応を自動化することで、ワークフローが標準化され、チームの知識が形式知化されます。
多くのSOARソリューションが即効性のある時間短縮を謳っていますが、どの機能がネイティブに搭載されており、どの機能がPythonなどのスクリプト記述を必要とするのかを慎重に評価する必要があります。ノーコードツールを活用してワークフロー構築を大幅に簡素化するグラフィカルインターフェイスと、一般的なユースケースにすぐに対応できるプレイブックテンプレートが提供されていることが望ましいと言えます。