クラウドシフトとリモートワーク拡大に伴う、ネットワークとセキュリティ環境の再設計が急務
近年、クラウドサービス利用とリモートワークの常態化により、企業ネットワークは従来型の境界型防御モデルから脱却を迫られています。
その結果、VPNへのアクセス集中によるパフォーマンス劣化、旧来型認証基盤に起因するサイバーリスクの増大といった新たな課題が顕在化し、多くの組織が既存VPN環境に限界を感じています。
また、従来のVPNではゼロトラストセキュリティ(ZTNA)の要件を満たすことが困難であり、クラウドサービス利用時のアクセスコントロールやエンドポイント保護にも構造的な弱点が残ります。
データドリブンなリスク評価の観点からも、次世代型セキュリティアーキテクチャへの移行が不可避な局面を迎えています。
サイロ化された運用によるTCO悪化と複雑性の課題
現在市場にある多くのSASE(Secure Access Service Edge)ソリューションでは、
エンドポイント保護
脆弱性管理
Digital Experience Monitoring(DEM)
Zero Trust Network Access(ZTNA)
Secure Service Edge(SSE)
これらの機能を実現するために、複数サードパーティクライアントの追加導入が前提となる場合が多く、結果として、
TCO(総所有コスト)の上昇
デプロイメントの複雑化
運用負荷の増大
が避けられません。
特に、大規模環境では、エンドポイントとクラウドセキュリティの管理が分断され、インシデント対応の初動遅延や可視性ギャップを引き起こすリスクも懸念されています。
統合型SASEソリューションによる運用効率化とリスク低減
ユニファイドSASEソリューションは、
クラウドとエンドポイント両方にわたるセキュリティ機能を一元管理
サードパーティクライアント依存を最小化
各機能(脆弱性管理、DEMサポート、ZTNAなど)をネイティブサポート
することで、TCOの最適化と運用簡素化を同時に実現します。
導入検討にあたっては、以下の観点で比較検証することが推奨されます。
エンドポイントセキュリティに対するネイティブ統合の有無
DEM機能の標準搭載可否
クライアント機能がライセンスに含まれる範囲
これにより、実装負荷・運用コスト・リスクのトレードオフをデータに基づき定量的に判断できる環境が整います。
導入障壁とそれに対する現実解
多くの企業では、ゼロトラストやSASEの必要性自体は理解していても、導入には慎重な姿勢を取っています。
その背景には、
既存VPN環境やオンプレミス資産との整合性への懸念
マルチベンダー環境における管理複雑性
限られたITリソースに対する運用負担の増大
など、実運用を見据えた課題が存在します。
特に、VPNを含む従来型セキュリティツール群はベンダーごとに仕様が異なり、可視性の断絶と運用オーバーヘッドが課題化しているのが現状です。
Ciscoの統合型SASEによる「段階的移行」と「運用最適化」の実現
Ciscoの統合型SASEソリューションを活用することで、
VPNに依存しないゼロトラストアクセスの実現
クラウドネイティブな一元管理プラットフォームによる可視性と制御の強化
24時間365日マネージドサービスによる運用負荷軽減
分散環境におけるリスク最小化
を可能にします。
これにより、リソース不足に悩む企業でも、段階的かつ無理のない形でゼロトラスト&SASE環境へ移行可能となり、セキュリティ強化と運用効率化を両立できます。
特に、データに基づくリスク評価と運用実績に裏打ちされた段階移行モデルを採用することで、失敗リスクを最小化しながら、確実に次世代環境へのシフトを実現できます。
COVID-19が加速させた、SASE導入ニーズとネットワーク・セキュリティ戦略の転換
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行を受けて、企業のIT・セキュリティ戦略は急速に変化しています。
特に、リモートワーク常態化によるアクセス経路の多様化、クラウドサービス利用比率の急増により、従来型境界防御モデルの限界が明確化しました。
このような背景から、**セキュアアクセスサービスエッジ(SASE)**の導入が急速に進んでいます。
SASEは、ネットワークとセキュリティ機能を統合し、場所を問わないデータ保護を実現する新しいアーキテクチャであり、次のような機能を包含します。
URLフィルタリング、マルウェア対策などによる統合Webセキュリティ
CASB(クラウドアクセスセキュリティブローカー)
ZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)
SASE市場動向と定着予測
調査会社Gartnerが2019年8月にSASEの概念を提唱した際、市場定着には2024年までかかると予想されていました。
しかし、COVID-19の影響によりこのスケジュールは大幅に前倒しされ、
**「2024年までに全企業の約40%がSASEを導入する」**との見通しも示されています。
特に2020年後半から2022年にかけて、企業は
コスト削減
運用複雑性の低減
を主な目的として、SASE導入を加速させる動きが強まったと分析されています。
SCAPEという新しい提案
一部ベンダーは、厳密な「SASE」という定義から一歩進め、
**「SCAPE(Secure Cloud Access Policy Enforcement)」**と呼ばれる独自の概念を提示しています。
SCAPEは、
クラウドサービスとオンプレミス双方への安全なアクセス提供
システム全体をカバーする統合的ポリシー適用
を実現するものであり、**「クラウドネイティブセキュリティ+オンプレ資産保護」**の両立を目指すアプローチです。
ネットワーク・セキュリティ戦略における「焦点」の変化
SASE・SCAPEといった新しい概念が求められる背景には、セキュリティとネットワークの管理対象が本質的にシフトしていることがあります。
従来:
物理データセンターを中心とした境界防御
現在:
ID管理(Identity)
エンドユーザー認証
データアクセス制御
場所ではなく「誰が・何に」アクセスするかを起点とした設計思想への転換が求められています。
これにより、ネットワークとセキュリティは切り離せない一体運用が前提となり、データドリブンな可視化・管理が不可欠になっています。
新型コロナ禍における「賢いSASE導入」のために
SASE導入を成功させるためには、単なる製品導入に留まらず、データに基づく段階的移行戦略とリスク分析が重要です。
既存インフラとクラウド利用実態の棚卸し
ID管理・認証基盤の現状評価
リモートアクセス時のリスクシナリオ想定
導入後の運用・可視化ポリシー設計
これらを体系的に進めることで、単なるコスト削減にとどまらず、持続可能なセキュリティ・ネットワーク運用基盤の構築が可能となります。
SASEへの関心急拡大とその背景
セキュリティとネットワーク機能を統合する新たな製品分野「SASE(Secure Access Service Edge)」は、マクドナルド氏により提唱されました。
氏によれば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴い、リモートワーク環境への急速な移行が求められた結果、SASEへの需要は急増し、2022年までに導入が大幅に拡大すると予測されています。
実際に、調査レポート「Nemertes 2019-2020 Cloud and Cybersecurity Research Study: Cybersecurity」では、2020年末までに62%の組織がSASEを導入済み、または導入予定であると報告されています。
なお、Nemertesでは厳密には「SASE」という用語ではなく、類似概念を「SCAPE(Secure Cloud Access and Policy Enforcement)」と定義しています。
なぜSASEが急速に普及するのか
COVID-19以前、データ通信はオフィスとデータセンター間(内部から内部)が中心でした。
しかし、パンデミック以降、データ通信の主な経路は**リモート環境からクラウドサービスへ(外部から外部)**と大きくシフトしました。
この変化により、従来の境界型セキュリティモデルでは保護が困難になり、
「オフィス外でも安全にデータアクセス・業務遂行が可能な仕組み」が急速に求められたことが、SASE導入拡大の主因となっています。
SASE移行を促進するためのポイント
SASE導入を検討する企業には、以下の戦略的な移行を推奨します。
セキュリティ製品・サービスの契約更新タイミングを活用する
└ 例:Secure Web Gateway(SWG)、CASB(Cloud Access Security Broker)、SD-WAN(Software-Defined WAN)等の更新プロジェクトと合わせて、セキュリティとネットワークアーキテクチャを同時に再設計する
ポリシー数の最適化
└ テレワーク環境下で多様化する端末(社用端末・私物端末)を一元管理し、ポリシー管理負荷を削減する
これにより、段階的な導入ではなく、体系的かつ効率的なSASE移行が実現可能となります。
「なんちゃってSASE」が招くリスク
現在、複数ベンダーによるSASE構成要素(CASBやSD-WANなど)単体提供の動きが活発化しています。
Oracle、Cisco Systems、NortonLifeLock(旧Symantec)、Palo Alto Networks、Microsoftなどは、CASB関連ベンダーを相次いで買収。
VMware、Oracle、Palo Alto Networksも、SD-WAN分野のベンダーを買収し、SASE機能の強化を図っています。
しかし、複数ベンダー製品を寄せ集めた“なんちゃってSASE”には重大なリスクが存在します。
具体的には、
ある製品で暗号化を解除(復号)しセッション検査後、別製品に引き渡す際、都度復号・再暗号化が発生。
復号のたびに、情報漏洩リスクが増加。
パフォーマンスの低下や運用複雑化も引き起こす可能性。
これに対し、マクドナルド氏は
「一度だけ復号し、必要な処理を一括して行う」アーキテクチャの重要性を強調しています。
総括:データに基づくSASE導入戦略の必要性
パンデミック以降の業務環境変化、クラウド活用の急速な拡大、セキュリティリスクの複雑化といった複合的な要素を踏まえると、
単なる部分的なツール導入ではなく、統合的なSASEアーキテクチャ設計と段階的移行プランニングが必須です。
データコンサルタントとしては、
利用端末・通信経路・アクセス先データのログ分析
セキュリティ脅威の可視化
現行インフラとの整合性評価
を通じ、客観的データに基づいたSASE導入戦略の立案・推進を強く推奨します。
地理的カバレッジとレイテンシ評価におけるSASEの選定基準
企業がSASE(Secure Access Service Edge)ソリューションを選定するにあたり、地理的POP(Point of Presence)展開とレイテンシ特性の精緻な評価が不可欠です。以下の観点で定量的・定性的な分析が求められます。
1. POPリストと機能カバレッジ
ベンダーが全POP拠点リストを開示しているか確認する。
各POPにおいて、SSE(Security Service Edge)機能(ZTNA、SWG、FWaaS、CASB、DLP)がフルスタックで提供されているかを検証する。
2. レイテンシとサービス品質保証(SLA)
各SSE POPのレイテンシデータ(実測値と目標値)に基づき、セキュリティインスペクションに対する**サービス品質保証(SLA)**が明確に定義されているか確認する。
アプリケーションレベルで低レイテンシパスを自動選択できるSD-WAN制御機能がPOPに統合されているかを評価する。
3. 顧客データの分離性
複数顧客のデータがPOP内部で完全に論理的・物理的に分離されているかをチェックし、情報漏洩リスクを最小化する設計になっているかを検証する。
SASEアーキテクチャ選定における比較軸:デュアルベンダー vs シングルベンダー
1. デュアルベンダーSASEの特徴とリスク
構成:SD-WAN機能とSSE機能を別々のベンダーから導入。
メリット:
ネットワークチームとセキュリティチームがそれぞれ最適な製品を選択可能(柔軟性の向上)
デメリット:
運用の複雑化(異なる管理コンソール、ポリシー同期の課題)
コスト増大(契約・管理・連携コスト)
トラブル時の責任分散リスク(ベンダー間の切り分け困難)
2. シングルベンダーSASEの特徴と利点
構成:SWG、CASB、ZTNA、FWaaSなどのSSE機能とSD-WAN機能を単一ベンダーが提供。
メリット:
一元管理が可能(共通の管理コンソール)
コスト効率が高い(統合契約・運用一元化)
デプロイが容易(セットアップ・更新作業の一貫性)
注意点:
すべてのシングルベンダーが統一プラットフォームまたはOSを採用しているわけではない。
OEM製品統合型や複数エージェント導入を必要とする場合、期待された簡素化効果が得られない可能性がある。
ユニファイドSASE選定ガイドライン
特にハイブリッドワーク(オフィス・リモート混在)が常態化する企業において、
シングルベンダーSASEソリューションを選定する際には、以下の要素を重点的に評価すべきです。
評価項目 | 推奨される観点 |
---|---|
POPカバレッジとレイテンシ | 各リージョンでSSEフルスタック提供+低遅延保証 |
データ分離性 | 顧客間の論理的・物理的分離設計 |
統一プラットフォーム利用可否 | シングルOS/単一管理コンソール対応 |
クライアントエージェント数 | 必要最小限のエージェントで運用可能か |
コスト・運用負荷 | 長期視点でのTCO(Total Cost of Ownership)最適化 |
総括
SASEソリューション選定においては、
**「単なる機能の有無」ではなく、「統合度」「運用容易性」「セキュリティリスク最小化」「実効性能(レイテンシ・SLA)」**を定量データに基づいて比較評価し、
自社業務・データフローに最適化されたアーキテクチャを選定することが、長期的な成功の鍵となります。
ハイブリッドワーク拡大に伴うネットワーク・セキュリティ課題と対応策
ハイブリッドワーク(WFA: Work From Anywhere)モデルの普及により、
従業員がオンサイト・オフサイトを問わずネットワークやアプリケーションにアクセスする機会が飛躍的に増加しました。
これに伴い、攻撃対象領域(Attack Surface)が拡大し、従来型のセキュリティアーキテクチャでは対応が困難になっています。
1. 既存VPNモデルの限界とリスク
過剰権限リスク
VPN接続はネットワーク全体へのアクセスを許可するため、必要以上の権限が付与され、
盗用クレデンシャルによる侵入リスクが増大。
可視性欠如とラテラルムーブメントリスク
VPNは接続トラフィックを検査しないため、侵害されたエンドポイント経由での内部横移動(ラテラルムーブメント)を許容しやすい。
パフォーマンス低下
中央拠点への集約型VPN設計により、遠隔地からのアクセスではレイテンシが増大、ユーザビリティが低下。
2. SaaS普及とシャドーIT問題の拡大
SaaSアクセスの増加
企業ユーザーのクラウドアプリケーション利用が急増しており、従来型ネットワーク境界では管理が困難に。
シャドーITリスク
未承認のSaaSアプリケーション使用(シャドーIT)が拡大し、データ漏洩リスクやコンプライアンス違反リスクを増大させている。
データ可視化・制御の必要性
セキュリティチームは利用SaaSの可視化と、保存・アクセスされるデータの分類・制御が必須。
3. セキュリティ環境の断片化リスク
非計画的な導入
ハイブリッドワーク対応は、有機的・部分的に進んだケースが多く、統合的な戦略なしに複数製品が導入された結果、
ネットワークエッジの複雑化と脆弱性増大を招いている。
脆弱性の温床
各製品が独立して運用されることで、隙間を突いたサイバー攻撃(サプライチェーンリスク、権限横断リスク等)が発生する可能性が高まる。
FortiSASEによる包括的なセキュアアクセス戦略
FortiSASEは、これらの課題に対して以下のソリューションを提供します。
1. セキュアプライベートアクセスの最適化
SD-WANとの統合制御
FortiSASEはSD-WANとシームレスに連携し、ユーザーから企業アプリケーションへの最短・最適なアクセスパスをリアルタイムに判断。
インテリジェントステアリング+動的ルーティング
ネットワーク状態を常時モニタリングし、パフォーマンスとセキュリティの両立を実現。
2. セキュアSaaSアクセスとシャドーIT対策
デュアルモードCASB(インライン+API)
FortiSASEは次世代CASBにより、
使用されているSaaSアプリケーションの可視化
高リスクアプリケーションの検出・制御
保存・送信されるデータの分類・ポリシー適用
をリアルタイムに実施。
シャドーITの抑制
非承認SaaSの利用を抑止し、情報漏洩・コンプライアンス違反リスクを大幅に低減。
総括
ハイブリッドワーク環境下におけるセキュリティ戦略は、
VPN中心のアプローチから脱却し、SASEモデルへの移行が不可欠です。
データ可視化・統合管理・リアルタイム制御を前提としたFortiSASEのようなソリューションを導入することで、
ハイブリッドワーク時代に求められる「セキュアかつ快適なアクセス環境」を実現できます。
SASEソリューションにおける課題整理とベンダー選定時の重要ポイント
1. 現状課題:多くのSASEソリューションの限界
一部機能のみに対応
多くのSASEソリューションは、WFA(Work From Anywhere)ユーザー向けの一貫したエンタープライズレベルのサイバーセキュリティを十分に提供できていません。
ネットワークエッジとの非連携
物理/仮想ネットワーク、既存セキュリティツールとのシームレスな統合ができないケースが多発しています。
結果として発生するリスク
サイバーセキュリティギャップの発生
ユーザーエクスペリエンスの劣化
運用負荷・オーバーヘッドの増大
拡張性・セキュリティ・オーケストレーションのばらつき
全てのSASEソリューションが同等レベルの機能を提供できるわけではなく、慎重なベンダー選定が求められます。
2. 理想的なSASEソリューションの要件
シームレスな統合
既存のネットワーク、セキュリティインフラとスムーズに連携できること。
IT運用負荷の最小化
技術実装や運用管理における人的リソース負荷を増大させない設計。
拡張性と一貫性の確保
成長するWFAニーズに応じて、柔軟かつ一貫したセキュリティ・アクセス管理を提供できること。
3. セキュアリモートアクセスとZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)の必要性
従来VPNの課題
ネットワークやロケーションに依存して暗黙の信頼を付与するため、セキュリティリスクが高まる。
ZTNAモデルの効果
アプリケーション単位でアクセスを制御し、無制限リモートアクセスを排除。
各セッションごとにユーザーIDとリアルタイムのデバイスポスチャを検証。
継続的なモニタリングにより、動的なリスク対応を実現。
4. 効果的なZTNAソリューションのコア要件
要件 | 内容 |
---|---|
ユーザーIDとデバイスポスチャに基づくアプリケーションアクセス | アプリ単位でアクセス制御、明示的許可が必須 |
アプリケーショントラフィックのインスペクション | 悪意ある通信を検知・ブロック |
全企業アプリケーションへのセキュアアクセス | オンプレ・クラウド問わず保護対象 |
ユニファイドZTNAポリシー | オンネット・オフネット関係なく同一ポリシー適用 |
場所を問わないゼロトラスト適用 | どこからでも同じセキュリティレベルを確保 |
5. SASEベンダー選定時に確認すべき主要質問例
自社のWFAユーザーに対し、エンタープライズレベルの一貫したセキュリティを提供できますか?
既存ネットワーク・セキュリティツールとネイティブ統合が可能ですか?
ZTNAはセッション単位のリアルタイム検証をサポートしていますか?
アプリケーショントラフィックのインラインインスペクション機能を有していますか?
シャドーITの可視化と制御が可能なCASB機能を備えていますか?
運用に必要なITリソース(人員、スキル、オーバーヘッド)は最小化されていますか?
総括
データに基づくリスク分析と可視化を通じて、
SASE・ZTNAソリューションの導入に際しては「拡張性」「統合性」「一貫性」「運用最適化」という4軸で評価することが不可欠です。
適切なベンダー選定により、ハイブリッドワーク時代のサイバーリスクを可視化・最小化し、
ユーザーエクスペリエンスとセキュリティレベルの両立が実現できます。
ブランチ刷新とユーザーエクスペリエンス最適化に向けたアプローチ
1. SD-WANによるアプリケーションパフォーマンス向上
目的:ユーザーエクスペリエンスの最大化
SD-WANを活用することで、アプリケーションパフォーマンス、接続品質、ネットワーク運用性を大幅に改善。これにより、ユーザー体感速度と業務効率を向上させることが可能となります。
2. 柔軟なセキュリティ構成とクラウド拡張性
オンプレミス強化:フォーティネットのセキュアSD-WAN
物理拠点のWANを改良・保護し、リスクを低減。
クラウドセキュリティ強化:FortiSASE
クラウド上の通信・アプリケーションアクセスを保護し、グローバルスケールでのセキュリティ強化を実現。
クラウドベースUIによる統合可視化
エンドポイント、ユーザー、POP(Point-of-Presence)ごとのリアルタイム情報、脅威分析データを即座に一元表示し、運用負荷を軽減。
3. フォーティネットの実績と強み
導入実績の裏付け
世界最多のネットワークセキュリティソリューション導入件数
NGFW(次世代ファイアウォール)全世界出荷台数の約50%を占有(2023年春時点)
技術力の裏付け
全世界で取得済み特許数:1,280件超(同業他社平均の約3倍)
推進実績
20年以上にわたり、ネットワークとセキュリティのコンバージェンス(融合)を推進
統合性・自動化対応
統合・自動化を前提とした広範なソリューションポートフォリオにより、自己修復型のネットワーク運用と脅威への迅速対応を実現。
4. FortiSASEの特徴とビジネス貢献
シングルベンダーSASE戦略
SD-WANとSSE(Security Service Edge)をクラウドで統合し、拠点からリモートワーカーまで一貫したネットワーキング&セキュリティを提供。
ユーザー体感向上
場所を問わず、均一で信頼性の高いユーザーエクスペリエンスを維持。
セキュリティオペレーションの統一
1つのクライアントとOSで複雑性を解消し、統一されたセキュリティポリシーをオーケストレーション・適用。
デジタルアクセラレーション支援
組織のDX(デジタルトランスフォーメーション)段階に関わらず、拡張性と運用効率性を両立。
5. SASE導入時の注意点
“寄せ集め型SASE”のリスク
個別機能を単純に組み合わせただけの「なんちゃってSASE」では、
ポリシー不整合
運用負荷増大
セキュリティギャップ発生
が生じるリスクが高まります。
ベンダー選定における重要視点
ネットワークとセキュリティのネイティブ統合ができているか?
セキュリティポリシーの一貫適用が可能か?
統合管理基盤により、運用負荷軽減と可視化が実現できるか?
まとめ
データに基づく運用改善とリスク最小化の視点からは、
ネットワーキングとセキュリティのネイティブ統合、
一元管理基盤による運用効率化、
拡張性とセキュリティレベルの両立
を満たすソリューション選定が重要です。
フォーティネットのSASEソリューションは、これら要件を高水準で満たし、
デジタル化の加速に伴う企業成長を支援できるポテンシャルを備えています。
SASEアーキテクチャによるセキュリティとパフォーマンス最適化
1. 現代のWFA環境に求められる課題解決
課題:場所を問わないセキュアなアクセスと高速接続の確保
ワーク・フロム・エニウェア(WFA)ユーザーに対して、大小拠点およびオフサイト環境でも、一貫したセキュリティと高パフォーマンスを実現する必要があります。
解決策:SASEアーキテクチャの導入
SD-WANとクラウドベースのセキュリティサービスエッジ(SSE)を統合したSASEは、あらゆる場所からインターネット、SaaS、プライベートアプリケーションへの安全かつ高速なアクセスを実現します。
2. SASEの技術要素とセキュリティ強化
SSE機能(クラウドサービスとして提供)
ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)
Firewall as a Service(FWaaS)
セキュアウェブゲートウェイ(SWG)
クラウドアクセスセキュリティブローカー(CASB)
これら機能により、リアルタイムのコンテキスト、IDベース認証、コンプライアンスポリシー管理を通じて一貫したセキュリティ監視とポリシー適用を実施します。
3. ユニファイドSASE:統合型アプローチ
シングルベンダーによる完全統合型SASE
共通のOSエンジン上に、SD-WAN、無線AP(Thin Edge)、クライアントエージェント、エージェントレス接続(Chromebook等)を統合
すべてを単一管理基盤と統合ポリシーで運用可能
導入効果
柔軟なデプロイメント(オンプレミス〜クラウド)
総所有コスト(TCO)削減
インフラ刷新コスト抑制と一貫したセキュリティ提供
4. SASE導入に向けた検討ステップ
長期的な視点が必要 多くの組織にとって、SASEは段階的にスケールし適応していく「長期プロジェクト」となります。
評価開始前に整理すべきポイント
主要な推進要因の明確化
(例)レガシーVPNの置き換え、シャドウIT可視化、ハイブリッドワーク支援
ターゲットユースケースの特定
セキュアなリモートアクセス(ZTNA)
SaaSアプリケーションの保護とシャドウIT対策(CASB)
セキュアなインターネットアクセスの統一(SWG/FWaaS)
要件定義とインフラ統合 ユースケース特定後、機能要件とインフラ要件(ネットワーク・セキュリティの統合運用)を定義し、既存環境とシームレスに連携可能なソリューションを選定することが重要です。
5. ソリューション選定の重要ポイント
統合設計されたSASEかどうか
バラバラなツールの寄せ集めではなく、単一プラットフォームで設計されたSASEを選ぶことで、導入・運用の複雑さとコストを削減できます。
運用負荷とデプロイコスト最小化
ネットワークとセキュリティ双方の統合管理が可能なことは、デプロイメントの迅速化、運用負荷軽減、予算適合に直結します。
まとめ
SASEは単なるセキュリティ強化策ではなく、
「ネットワーク運用コスト最適化」と「柔軟なビジネス推進基盤構築」
を同時に実現する戦略投資です。
データドリブンな視点からは、
主要推進要因とユースケースの明確化
機能要件とインフラ要件の整合性確保
統合設計されたソリューション選択
が、成功に向けた重要なカギとなります。