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ITインフラ(9)

データコンサルタントおよびデータアナリストの視点から、ビッグデータ分析プラットフォームの構築における主要な要素と、データ駆動型組織の実現について考察します。

ビッグデータ分析プラットフォームのデータ的構成要素

データ駆動型ビジネスへの移行が不可欠となる中で、ビッグデータ分析プラットフォームの重要性は増しています。エンタープライズアーキテクチャには共通パターンが存在し、これらを理解することは、自社のデータ戦略に合わせたビッグデータ分析プラットフォームの戦略化に役立ちます。成功しているビッグデータ分析アーキテクチャに見られる、データに関する主要な構成要素は以下の通りです。

ストレージレイヤーとしてのデータレイク: 構造化、半構造化、非構造化といった多様な形式のデータを、その加工度に関わらず一元的に蓄積するデータレイクは、ビッグデータ分析プラットフォームの核となるストレージ基盤です。データ戦略においては、データの性質や活用目的に応じて、データレイクを含む複数のストレージ環境を組み合わせることが、データライフサイクル全体をサポートする上で必要となります。
データ処理・分析エンジン: ビッグデータ分析プラットフォームにおけるコンピューティングリソースは、データの準備、加工、分析、そしてクエリ実行といった様々なデータ処理ワークロードを担います。サーバーレスコンピューティングの採用は、処理ワークロードの変動に対し動的なリソース割り当てを可能にし、データ処理の柔軟性と伸縮性を高め、コスト効率の良いデータ処理を実現します。
データ特性および活用ニーズへの対応(量、速度、多様性): ビッグデータ分析プラットフォームは、データの3V(Volume, Velocity, Variety)に加えて、データソースやデータ形式の多様性、分析の使用事例の複雑性の高まりに対応できるデータ処理能力とデータパイプラインを備えている必要があります。
データ戦略とアーキテクチャの適応性: 個々のビジネスが持つ固有のデータ戦略や、変化し続けるビジネスニーズに合わせて、データアーキテクチャのコンポーネントやデータ分析ツールを柔軟に選択・適応させることは、アジャイルなデータ活用を実現する上で不可欠です。
データガバナンスとセキュリティ

エンタープライズレベルでのデータガバナンス(データの品質、定義、ライフサイクル管理)とデータセキュリティ(データの保護、アクセス制御、コンプライアンス)は、ビッグデータ分析プラットフォームが大規模なデータ量とユーザーに対応し、データの適切な使用を保証するための揺るぎない基盤です。信頼性の高いデータ分析とデータに基づく意思決定には、これらの要素が不可欠であり、スケーラビリティを確保するためにもデータガバナンスとセキュリティは設計段階から考慮される必要があります。

データ分析コストの考慮

ビッグデータ分析プラットフォームの構築・運用においては、コストを重要な要素として考慮する必要があります。データストレージ費用、データ処理費用、並列処理にかかるコスト、データ転送に伴うコスト(レイテンシー)、そして特定のデータ分析使用事例に必要なリソースコストなどをデータに基づき評価し、クラウド環境が提供する伸縮性を活用しつつ、コスト効率を最大化するアーキテクチャ設計が求められます。

モダン分析プラットフォームの必要性

進化を続けるビッグデータ環境において一貫しているテーマは、データの規模や保存場所といったデータソースの物理的な特性に関わらず、ビジネス部門がデータに容易にアクセスし分析できる共通のモダン分析プラットフォームが必要であるという点です。これにより、組織全体でデータに基づいた意思決定を推進するためのデータ民主化が可能となります。適切なデータプラットフォーム、データ処理・分析プロセス、そしてデータ活用に関するトレーニングプログラムなどが整備されることで、ユーザーはデータに基づいた意思決定を推進する力を得て、データそのものが組織にとって大きな資産となります。

多様な役割とデータ分析への関与

ビッグデータ分析プラットフォームは、ITインフラ(ネットワーク、サーバー、クラウドインフラ)、情報管理(データサイエンス、BI、データエンジニアリング)、ビジネスアプリケーション(ERP、SCM等からのデータ)、IoT/IIoT(センサーデータ等)、そしてデータ保護(バックアップ、リカバリ、アーカイブ)といった多様な領域からのデータ収集、統合、分析、そして管理を必要とします。これらの各領域における担当者やリーダーは、データ活用の推進においてそれぞれの役割を担います。特に情報管理部門はデータ分析の中核を担い、IoT/IIoTやビジネスアプリケーションは重要なデータソースを提供し、データ保護はデータ分析基盤のレジリエンスを保証します。

結論

成功するビッグデータ分析プラットフォームは、データ戦略に基づいたアーキテクチャ設計、多様なデータ特性への対応、堅牢なデータガバナンスとセキュリティ、そしてコスト効率の考慮といった複数の要素が不可欠です。組織全体でデータに基づいた意思決定を推進するためには、データにアクセスするための共通のモダン分析プラットフォームが必要であり、データコンサルタント/アナリストは、これらのプラットフォーム構築とデータ活用戦略の策定を支援する上で重要な役割を果たすと考えています。