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ハイブリッドクラウド・マルチクラウド(10)

HPE Cloud Volumes の特徴:エンタープライズ向けハイブリッドクラウドストレージソリューション

HPE Cloud Volumesは、HPE Nimble Storage テクノロジーを基盤としたパブリッククラウド向けのストレージサービスで、特にAmazon Web Services (AWS)およびMicrosoft Azureでの活用を前提に設計されています。このソリューションは、AWSやAzureのハイパースケールデータセンターに近接したHPEデータセンターでクラウドストレージインフラストラクチャを提供し、ユーザーがクラウドのコンピューティング資源を利用しながらも、HPE Cloud Volumesに容易にアクセスできる構成を実現します。

特長とメリット

エンタープライズアプリケーション対応

HPE Cloud Volumesは、Oracle、SQL、SAPなどのSANワークロードに適したエンタープライズ向けストレージソリューションです。一般的なパブリッククラウドストレージサービスとは異なり、HPEはAWSやAzureと直接統合しているため、サードパーティのゲートウェイや追加ツールが不要です。これにより、システムの複雑性が軽減され、IT部門の管理負担が減少します。

データ移動コストの削減

HPE Cloud Volumesは、他のクラウドストレージに依存しないサービスとして提供されているため、HPE Cloud Volumesとオンプレミスのデータセンター間でのデータ移動時にコストが発生しません。このため、IT組織はコスト削減だけでなく、アーキテクチャ選定やデータ配置における意思決定を柔軟に行うことができます。また、将来的にデータ量が増加するシナリオにおいても、クラウド利用を現実的かつコスト効率の高い選択肢とすることが可能です。

大容量への対応

一般的なパブリッククラウドストレージの制限(例:最大4TB)を超え、HPEはエンタープライズ向けに拡張性のある大容量対応を実現しています。これにより、大規模なアプリケーションやデータセットを運用する企業に対しても十分な対応力を提供します。

高度なエンタープライズ機能

HPE Cloud Volumesは、256ビットAES暗号化やインスタントスナップショットによるバックアップ/リカバリの迅速化機能に加え、開発・テスト、分析、クラウドバースティングに適したインスタントゼロコピークローン機能を備えています。この機能により、変更が生じた部分のデータ料金のみが発生し、フルコピーが不要となるため、コストを抑えつつ効率的に運用できます。
ビジネスへの効果

HPE Cloud Volumesは、エンタープライズレベルの機能性とスケーラビリティを提供しつつ、運用コストを最適化します。企業はこのサービスを通じて、パブリッククラウドの柔軟性を享受しながらも、アプリケーションやデータに求められる安全性とパフォーマンスを確保し、ビジネスの成長を支援する基盤を構築できます。

HPE のハイブリッドクラウドソリューションが注目される理由

HPE Cloud Volumes はクラウドサービスとしてエンタープライズストレージを提供し、特にデータ移動に伴うコストの排除を実現することで、ITアーキテクチャに関する意思決定を効率化しています。さらに、クラウド環境特有の課題を解消する取り組みとして、HPEは HPE Cloud Bank Storage を活用し、パブリッククラウドを利用したオフサイトデータ保護を簡素化することで、エンタープライズストレージにおける主要な課題を解決しています。

また、HPE OneSphere は、コストレポートを統合した一元的なハイブリッドクラウド管理プラットフォームを提供し、クラウドに関する意思決定をサポートしつつリスクを最小限に抑えます。

HPEの「as a Service」エクスペリエンス

ITの歴史的な傾向として、重点はインフラストラクチャの管理に置かれがちで、データの価値を最大化することが後回しにされていました。HPEの「as a Service」モデルは、この課題に対応し、必要なストレージインフラストラクチャや機能を柔軟に利用できる環境を提供します。これにより、企業はインフラ管理に費やすリソースを最小限に抑えつつ、ビジネス価値に直結するデータ活用に集中できます。

ハイブリッドクラウドのメリット:コスト削減と効率化

HPEの調査では、日本企業がクラウド投資において、運用コスト削減率が世界平均より46%高いことが示されています。従来のITシステムとクラウド環境が混在するエンタープライズ環境においても、ハイブリッドクラウドのアプローチにより、データとアプリケーションのクラウド移行が円滑化され、運用モデルの最適化が可能となっています。

ハイブリッドクラウドによる統合管理

ハイブリッドクラウドは、複数のITシステム間の相互運用性を確保することで、クラウド移行の柔軟性を提供します。HPEのクラウド管理プラットフォームによって、複雑なマルチクラウド環境が一元的な管理環境に統合され、ユーザーは複数のクラウド環境にわたるITサービスを包括的に管理・調整・制御できるようになります。この統合管理によって、企業は異なるクラウド環境の特性を活かしながらも、ITインフラ全体の運用効率を向上させ、ビジネスの変革を促進することが可能となります。

クラウド環境におけるコスト管理の課題

クライアントからは、クラウドにおけるデータ移動コストが問題視されています。オンプレミス環境では目立たなかったこの費用が、クラウド環境ではデータ・コスト全体を最大50%引き上げることもあり、事業のROIに大きな影響を及ぼす可能性があります。クラウド導入の際には、サービス費用を確実に予測できることが求められます。予測できないコスト構造は、新規投資やハイブリッドクラウドへの移行計画への信頼性を低下させ、経営層の79%がハイブリッドクラウド導入に関するビジネスケース作成の難しさを指摘しています。財務上の課題が放置されると、クラウド導入やビジネス変革の推進が阻害され、変革のモチベーションも失われてしまうでしょう。

ハイブリッドクラウドにおける財務管理機能の強化:FinOps

ハイブリッドクラウドの財務管理機能を高める手法として、FinOps(クラウド財務管理)が注目されています。FinOpsは、クラウドサービスの支出管理と最適化を行うための財務・調達手法であり、クラウド利用の透明性を高め、企業の支出最適化を支援します。FinOpsの導入により、クラウドの利用状況やサービスの需要予測が可能となり、クラウドコストをビジネス上の優先事項に基づいて調整できるようになります。また、エンジニアリング、財務、営業などの各部門が共同でハイブリッドクラウド資産の支出決定を行えるようになり、データに基づく意思決定の一貫性が強化されます。長期的には、FinOpsは既存の財務管理手法と統合できるため、エンドツーエンドの運用・財務管理が可能になります。

クラウド FinOps の効果と未来

FinOpsによって、IT経営層はクラウド運用と財務状況を包括的に把握できるため、戦略的な意思決定が強化されます。最近の調査によると、IT経営層の79%が、マルチクラウド・オーケストレーションを効果的に行うためには、複数のクラウドを跨いだ「可視性」「ガバナンス」「コントロール」が不可欠であると回答しています。こうした要素を備えることで、企業は変化するビジネスニーズに柔軟に対応しつつ、クラウドコストの効率化と管理を実現し、ハイブリッドクラウドの利点を最大限に引き出すことができるでしょう。

ハイブリッド・マルチクラウドの戦略的意義

近年、データの役割は劇的に変化し、ビジネスによって生成されるデータ量は世界的に急増しています。これを背景に、アジャイルかつ効率的にデータを活用し、最適化することが、組織の競争力を左右する重要な要素となっています。特に、ハイブリッド・マルチクラウド環境の構築は、今日のビジネスの優先事項として現実的な目標となり、インフラ戦略において欠かせないものとなっています。

ハイブリッド・マルチクラウド環境で考慮すべきポイント

企業がハイブリッド・マルチクラウド環境を成功させるためには、以下の観点からITインフラを最適化し、ビジネスの優先事項と整合性を図ることが必要です:

オンプレミスとオフプレミスの管理・理解度:ITインフラの統合管理をどの程度実現できているか。
ビジネスの俊敏性の向上:変化への対応力を高め、簡単かつ迅速な調整を実現する方法。
マルチクラウド・リソースの最適活用:クラウドリソースの最適化による確信度と実現方法。
ITコスト削減と効率化:削減したリソースをいかにしてイノベーション活動に再投資できるか。

このような視点でインフラの最適化を図ることで、企業はビジネスに直結した俊敏なIT環境を構築し、変化への対応力を高めることが可能です。

データ・ストレージの役割とマルチクラウド活用の理由

本資料では、ハイブリッド・マルチクラウド環境におけるデータ・ストレージの重要性に焦点を当てています。多くの組織がマルチクラウド・アーキテクチャを採用している理由や、それによって得られるメリットについて理解を深めていただけるでしょう。特に、最新のストレージ・ソリューションを活用することで、ITおよびビジネス上の課題をどのように解決できるかが重要なポイントです。

パブリッククラウドにおける改善領域

パブリッククラウドにおいて、以下の領域での改善が多くの企業にとって必要とされています:

パフォーマンス
可用性
セキュリティ
データ連携・統合
BCP/ディザスタリカバリー
運用管理
導入および運用コスト
消費電力とサステナビリティ

これらの領域で改善が実現することで、パブリッククラウドのITインフラとしての価値はさらに向上し、ビジネスの継続性や効率性も向上するでしょう。

クラウドとオンプレミスのITインフラ連携の目的

企業がDX推進やAI活用、クラウドネイティブ対応、データ連携・アプリケーション統合のために、パブリッククラウドとオンプレミスのITインフラを連携・統合する重要性も増しています。具体的な連携の用途は以下の通りです:

DXの推進
生成AIやAI技術の活用
次世代IT基盤のクラウドネイティブ対応
データ連携やアプリケーション統合
運用管理負担の軽減
アクセス権の一元化
人的リソースの効率化

このようなインフラの連携を強化することで、IT資産の最適な運用が可能となり、ビジネスの迅速な展開と競争力の強化に寄与します。

パフォーマンス最適化のポイント:ハイブリッドクラウドにおけるデータ処理の効率化

ハイブリッドクラウド環境においては、ビジネスユースケースごとにアプリケーションが異なるため、それぞれのパフォーマンス要件も多様です。特定のアプリケーションで大規模な企業データからデータレイクを構築する場合、ハイブリッドクラウドを効果的に活用することが求められます。例えば、データセットの格納場所に依存せず迅速なデータ移動ができる仕組みがあれば、必要な情報を高速に処理することが可能となり、ビジネスの意思決定を支える迅速なデータ活用が実現します。

最適なパフォーマンスを得るためには、ネットワーク遅延を最小限に抑え、データをアプリケーションの近くに配置することが重要です。特にデータ量の多いユースケースでは、これによりアクセス時間が短縮され、ネットワークの負荷も軽減されます。最新のハイブリッドクラウドソリューションでは、パフォーマンス向上のための自動化機能が組み込まれ、パブリックおよびプライベートクラウド、コンテナ化環境、Kubernetesなど、多様なプラットフォーム上のクラスターを統合管理することが可能です。これにより、必要な時に必要な場所でデータにアクセスできる環境が整い、効率性が大幅に向上します。

ビジネスの回復力強化:高可用性と障害復旧の役割

ハイブリッド・マルチクラウド・ストレージ戦略においては、高可用性と障害復旧(DR)が不可欠な要素です。企業はクラウドベースのレジリエンシーソリューションを活用し、コスト効率の良い、柔軟性のあるシステムを構築することが可能です。クラウドソリューションの主な利点の一つは、オンプレミスの設備投資を最小限に抑えられる点です。また、クラウドプロバイダーは様々な復旧サイトオプションを提供しており、RPO(復旧時点目標)とRTO(目標復旧時間)の計画において重要な役割を果たします。

システム可用性と障害復旧においては、データロスを完全に回避するために、ゼロダウンタイムでの災害対策ソリューションを導入することも可能です。しかし、このアプローチはコストが高く、またデータが同期的に複製されるため、アプリケーションパフォーマンスに影響を及ぼすこともあります。そこで多くの企業では、コストを抑えた異なる復旧オプションを選択し、必要な可用性とパフォーマンス要件のバランスを取ることで、効率的なビジネス運用を実現しています。

ハイブリッド・マルチクラウド向けストレージが選ばれる理由

ハイブリッド・マルチクラウド環境の概要

ハイブリッド・マルチクラウドは、従来のオンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドといったそれぞれの環境を組み合わせ、柔軟性とスケーラビリティを最大限に引き出すアーキテクチャです。従来のクラウドと異なり、複数のパブリッククラウドやプライベートクラウド、さらにはオンプレミスのリソースが一体となって連携し、データのサイロ化を防ぐ構成を実現します。

環境の種類と特性

ハイブリッド・マルチクラウド環境を理解するには、まず各クラウド環境が持つ特性を把握し、それがどのように企業にメリットをもたらすかを理解することが重要です。以下に各環境の特徴を示します。

オンプレミス:
自社所有地で管理されるインフラであり、データとアプリケーションの完全な制御が可能です。しかし、管理や保守にかかるリソース負担は高くなります。

プライベートクラウド:
自社や特定のパートナーのみがアクセスできるクラウド環境で、通常オンプレミスで運用されますが、パブリッククラウドプロバイダーのインフラ上で構築することも可能です。高いセキュリティと制御性を兼ね備えています。

パブリッククラウド:
従量課金制のリソースを利用し、柔軟性とコスト効率の良さが特徴です。しかし、共有インフラに依存するため、企業独自の要件にカスタマイズする際に制限が生じる場合があります。

ハイブリッドクラウド:
プライベートクラウドとパブリッククラウド、オンプレミスリソースを組み合わせ、各環境の利点を活かしながら柔軟にリソースを管理できます。ビジネスニーズに応じて適切なリソースの選択が可能で、迅速なアプリケーション展開やコスト最適化を実現します。

ハイブリッド・マルチクラウドのメリットとデータ管理

ハイブリッド・マルチクラウドがもたらす最大の利点は、複数のクラウドとオンプレミス環境のリソースを最適に配置することで、業務効率とコスト削減を両立できる点です。複数のパブリッククラウドおよびプライベートクラウドを統合することで、データのサイロ化を防ぎ、迅速なデータアクセスを可能にします。また、オンプレミスやクラウド上のあらゆるデータが統合され、アクセス性やデータの信頼性も向上します。

データ連携と迅速なアクセスの重要性

ハイブリッド・マルチクラウド環境が適切に設計・最適化されていれば、どの環境にデータが格納されているかに関係なく、必要なデータに迅速にアクセスできます。これにより、データの信頼性が確保され、ビジネスの意思決定が迅速かつ正確に行える体制を構築することが可能です。

[ハイブリッドクラウド] ベンダーごとに異なるアクセス管理ポリシーとその対応策

ハイブリッド・マルチクラウド環境では、ベンダーごとに異なるアクセス管理(IAM)ポリシーやセキュリティ設定が提供されています。こうした差異は、適切な対策を講じない場合、セキュリティリスクや運用上の課題となる恐れがあります。

たとえば、各事業部門がIT部門の承認を得ずにクラウドサービスを導入することで、異なるIAMポリシー間の不整合が生じるリスクがあります。これにより、セキュリティ設定が統一されず脆弱性が生まれ、不正アクセスのリスクが高まる可能性があります。

主要クラウドベンダーごとのIAM管理の違い

「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform(GCP)」などのクラウドサービスは、それぞれ異なるIAMの仕組みを持ち、ユーザーやアクセス権の設定も独自です。そのため、複数のクラウドサービスを利用する場合、各クラウドサービスの特性を理解し、最適なアクセス管理方法を学ぶことが必要不可欠です。また、ベンダーごとのIAMの違いを把握し、統合的な管理計画を立てることが求められます。

問題4:クラウドサービス間のバックアップと災害復旧(DR)計画

マルチクラウド環境では、特定のクラウドベンダーのサービスを他のベンダーのバックアップとして利用することで、ビジネスの継続性(BCP)を向上させることが可能です。しかし、各クラウドサービスでアクセス権限の設定方法が異なるため、IAMのアクセス権限を複製して異なるベンダー間で一貫性を持たせるのは困難です。特に、複数のベンダー間でDRを構築する際は、技術的な相違点が課題となり、複雑な計画と実行が必要です。

マルチクラウドを効果的に活用するための計画と管理

マルチクラウドのメリットを最大化するためには、事業部門や従業員が独自に導入したクラウドサービスの可視性を高め、管理体制を整えることが重要です。具体的には、以下の対策を行うことで、セキュリティと運用効率を向上できます。

クラウドサービスの統合的な可視化:各事業部門で利用されているクラウドサービスを可視化し、全社的な管理を行う。
コストとパフォーマンスの最適化:各クラウドサービスの利用状況とコストを継続的に評価し、最適化を図る。
統一的なセキュリティポリシー:IAMポリシーやセキュリティルールを統一し、クラウド全体で一貫性のある管理体制を構築する。

入念な計画と持続的な管理体制を整えることで、マルチクラウドの利点を最大限に活かし、ビジネスニーズに応じた柔軟なIT環境を実現することが可能となるでしょう。

[ハイブリッドクラウド] マルチクラウド環境におけるセキュリティ対策の重要性とベストプラクティス

複数のクラウドベンダーのサービスを利用する「マルチクラウド」環境では、シングルクラウドの場合に比べてセキュリティ管理がより複雑になります。利用する各クラウドベンダーが提供するセキュリティ機能を個別に導入するだけでは、全体的なセキュリティを一元的に確保することが難しい場合が多いからです。さらに、すべてのクラウドサービスごとに個別のセキュリティ機能を導入しようとすると、管理が煩雑化し、全体的なリスク管理の一貫性が欠如する恐れがあります。

マルチクラウドにおけるセキュリティ対策のアプローチ

サードパーティ製マルチクラウドセキュリティソリューションの活用
マルチクラウド環境において統合的なセキュリティを確保するためには、サードパーティが提供するマルチクラウド向けのセキュリティ製品の活用が有効です。これにより、複数のクラウドプラットフォームにわたって一貫したセキュリティ設定が適用され、クラウドサービス全体にわたるリスク管理が容易になります。特に、「マルチクラウド管理」ツールやクラウドサービス間でのデータのやりとりを監視・制御するCASB(Cloud Access Security Broker)は、全体のセキュリティを強化するために重要な役割を果たします。

リスク管理とリスクの可視化
各クラウドサービスにおけるリスクを明確化し、それに応じた適切な対策をとることもマルチクラウドのリスク管理において重要です。従来のオンプレミス環境であれば、情報セキュリティの認証制度を活用し、企業のセキュリティポリシーを遵守しやすかった一方で、複数のクラウドサービスを導入することで意図せずポリシー違反を招くことがあります。これを防ぐために、クラウド環境でのポリシー違反を洗い出すための専門的なコンサルティングサービスの活用も検討するとよいでしょう。

導入リスクの事前評価
マルチクラウド導入時には、これらのリスクを事前に評価し、統合的なセキュリティ計画を立てることが不可欠です。各クラウドサービスのセキュリティ特性を理解し、全体のポリシーとして一貫したセキュリティ対策を確立することが、リスク管理の基本です。

結論

マルチクラウド環境におけるセキュリティを確保するためには、クラウドごとの独自性を理解しつつ、統一された管理方針とサードパーティツールの活用により、複雑化したセキュリティを統合的に管理することが鍵となります。

ハイブリッドクラウドがもたらすITのパラダイムシフト

現代ビジネスにおいて、テクノロジーは競争力を左右する重要な要素です。特に「ビジネストランスフォーメーション(BT)」や「デジタルトランスフォーメーション(DX)」といった概念は頻繁に語られますが、それぞれが意味するものや共通する目標を明確に理解することが求められています。デジタルトランスフォーメーションの推進要因となっているのは、企業成長のエンジンであるアプリケーション群です。これらのアプリケーションは、収益拡大や顧客体験の向上、新市場への進出といった成長をサポートし、業務効率の向上や革新的な製品・サービスの提供にも寄与しています。結果として、アプリケーションのポートフォリオは組織の経営手法や市場戦略を左右する重要な役割を担っています。

ITの進化とハイブリッドクラウドの台頭

アプリケーションの構築、運用、管理方法が多様化する中で、クラウドコンピューティングは驚異的なイノベーションの場となっています。データセンターインフラの進化や開発者向けの生産性向上ツール、インテリジェントな自動化技術の進歩により、ITはかつてないほどの重要性を持ち、企業成長の中核となっています。この環境の中で多くのIT部門が注力しているのが「ハイブリッドクラウド」の採用です。

ハイブリッドクラウドは、各アプリケーションに最適なパフォーマンスを提供しつつ、運用コストの最適化を図れるモデルです。これにより、企業は革新的なクラウドサービスを幅広く活用し、柔軟にサポート体制を構築することができます。さらに、既存のシステムやツール、スキルを活かしながら運用できるため、過去のIT投資を無駄にすることなく、今後の拡張が可能です。

ハイブリッドクラウドの価値

ハイブリッドクラウドは、既存ビジネスを加速させるとともに、新たなテクノロジーを柔軟に取り入れるための基盤として注目されています。ビジネスに即した環境の選択と柔軟な拡張性を両立するハイブリッドクラウドは、ビジネスの持続的な成長を支える強力なパートナーであり、今後のIT戦略の中核となるでしょう。

ハイブリッドクラウドとデジタル変革の推進

多くの企業がデジタル変革の推進力としてクラウドコンピューティングを取り入れており、調査によると、78%の企業がクラウドインフラストラクチャやクラウドサービスの導入理由として「デジタル変革の支援」を挙げています。この動きは、業務の自動化や新しいサービスの導入により、地理的に分散したハイブリッド環境全体にわたるガバナンスの一貫性を確保し、アプリケーションとデータの可用性を高めることを目指しています。しかし、変革を進める上ではいくつかの大きな課題も存在します。

デジタル変革の課題とハイブリッドクラウドの対応策

専門性の不足 多くのITリーダーは、デジタル変革推進における課題として、必要な専門知識の不足を挙げています。57%のグローバル企業のITリーダーが「専門知識が不十分であること」が変革の制約要因と回答しており、適切なスキルやリソースの確保が鍵となっています。ハイブリッドクラウドの導入支援ツールやスキルギャップを埋めるトレーニングが、こうした制約を解消するための重要な要素となるでしょう。

データセキュリティのリスク ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃への懸念は高まり続けています。2020年には11秒ごとに企業が被害に遭うとされ、2021年までにその被害額は全世界で200億ドルに達すると見込まれています。ハイブリッドクラウド環境でのリスク管理には、徹底したセキュリティ対策と継続的な監視体制が必要です。また、サードパーティのセキュリティツールの活用やセキュリティガイドラインの策定も推進要因として重要です。

移行の複雑さ クラウド環境への移行は企業のIT戦略における重要課題です。52%のITリーダーが「クラウドへのアプリケーションやデータの移行」が阻害要因と回答しています。移行プロセスを円滑に進めるためには、最適なツールの選定やシームレスなデータ統合を実現する戦略的なアプローチが必要です。また、既存システムの互換性の確保や移行手順の最適化が、企業のクラウドシフトを成功させるためのカギとなります。

課題を克服するための戦略

デジタル変革は大きなメリットをもたらしますが、その実現には新しいツールやサービスの導入と戦略的なアプローチが必要です。クラウド管理の自動化やセキュリティ強化ツールの採用、継続的な社員のトレーニングを通じ、企業はハイブリッドクラウド環境において一貫したガバナンスと高い可用性を維持できます。また、ハイブリッドクラウドは、変革に伴う複雑な課題を克服しながらビジネスの成長を支えるための柔軟で強力な基盤を提供します。

ハイブリッド・マルチクラウド・ストレージが選ばれる理由

多くの企業が次世代クラウドへの移行を進める中で、プライベートクラウド、パブリッククラウド、そしてハイブリッドクラウドを横断するマルチクラウド環境が主要な選択肢として注目されています。最適化されたハイブリッド・マルチクラウド・ストレージソリューションは、クライアントのシステム環境の統合や拡張、自動化に必要なセキュリティ、オーケストレーション、管理をサポートします。では、なぜ多くの企業がこのハイブリッド・マルチクラウドに着目し、ストレージソリューションとして選択しているのでしょうか?

ハイブリッド・マルチクラウドが求められる背景

近年、IT部門が企業の全体戦略と連動してビジネスに貢献する重要性が増し、ビジネスプロセスの現代化が急務となっています。これに伴い、データの価値と利用方法も変化し続けており、基幹アプリケーションと新規ビジネスアプリケーションの格納、共有、開発の方法においても進化が求められています。ハイブリッド・マルチクラウド環境を導入することで、企業全体のデータやアプリケーションを横断的に活用し、ビジネスの各領域にわたるデータ移動とコラボレーションが可能になります。

企業がハイブリッド・マルチクラウドを採用する理由

多くの企業は、迅速な意思決定や運用効率の向上、コスト最適化のためにハイブリッド・マルチクラウドを選択しています。IBM Institute of Business Value (IBV) の調査によると、すでに85%の企業が何らかのワークロードをマルチクラウド環境で運用しており、2021年までには98%の企業がマルチクラウド・アーキテクチャを採用すると予測されています。

さらに、同調査では、複数のクラウドを活用し1つ以上のビジネス機能を提供している企業のほうが、収益性や成長率において競争優位性を発揮していることが明らかになりました。ハイブリッド・マルチクラウド・インフラは、こうした競争優位性を維持するための多くの機会を企業に提供します。

現代企業が直面するビジネス・IT課題とハイブリッド・マルチクラウドの役割

企業は、変化するビジネスニーズに迅速に対応するため、柔軟性の高いインフラを求めています。ハイブリッド・マルチクラウド・アーキテクチャは、既存システムの価値を維持しつつ、新たなデジタルサービスやアプリケーションの導入を可能にするため、企業の長期的なIT戦略に適合する選択肢といえます。このような背景から、ハイブリッド・マルチクラウドのストレージソリューションは、企業がデジタル変革を通じて競争力を維持するための重要な役割を果たしています。

ハイブリッド・マルチクラウド環境におけるレジリエンスの強化

ハイブリッド・マルチクラウド環境では、ビジネスニーズに応じてデータレプリケーションが柔軟に選択でき、同期・非同期レプリケーション、自動2サイト・3サイトレプリケーション、またはメトロ・グローバルのレプリケーション距離といったオプションを活用できます。これらの機能がストレージ基盤に標準装備されていることで、ビジネス目標と予算制約に適した高可用性かつレジリエントなソリューションの構築が可能です。

データ保護におけるハイブリッド・マルチクラウドのメリット

データ保護は、ハイブリッド・マルチクラウド環境が特に役立つ重要な領域の一つです。全方位型暗号化を提供するツールを使用することで、保存中や処理中のデータが常に暗号化され、セキュリティが強化されます。マルチクラウドソリューションにおけるデータ保護の基盤は、ソフトウェア・デファインド・ストレージ(SDS)技術に依存しており、このSDS層がストレージハードウェアとアプリケーションの間で柔軟な暗号化機能を提供します。SDSはハードウェアに依存せず簡単に更新・拡張できるため、長期的な運用の柔軟性が高まります。

集中管理によるデータ保護とコンプライアンス

ハイブリッド・マルチクラウド・ストレージが提供するもう一つのデータ保護メカニズムとして、ファイルアクセス権の集中管理があります。これにより、データのサイロ化や一元管理が可能となり、単一の信頼できる情報源としての役割を果たします。集中管理されたアクセス制御リストを用いることで、特定のユーザーやビジネスユニットに対して迅速にアクセス権を設定することができ、柔軟かつ安全なデータアクセスを確保します。

さらに、これらの機能は、GDPRなどのデータ保護規制やコンプライアンス基準にも対応しており、企業がデータセキュリティを確保しつつ、法規制の要件に適合する環境を維持するのに役立ちます。