検索
ホーム エンドポイントセキュリティ(3)

エンドポイントセキュリティ(3)

エンドポイントセキュリティにおける重要な要素である「データ保護」、「AI活用」、「一元管理」を、データコンサルタントの視点からより戦略的に整理し、強化するためのポイントを以下に示しました。

1. データ保護の高度化と統合的アプローチ

エンドポイントセキュリティにおいてデータ保護は核心的な要素です。効率的な保護を実現するためには、以下のような多層的なセキュリティ機能の統合が必須です:

ディスクやトラフィックの暗号化:データの保存や転送中における暗号化技術は、内部外部を問わず脅威に対する重要な防護策です。特に、重要なデータがインターネット経由で移動する際には、トラフィック暗号化が情報流出のリスクを大幅に軽減します。
ブラックリスト/ホワイトリストによるアクセス制御:脅威のあるファイルやアプリケーションを特定し、アクセスを制限することで、不正なファイルの実行やデータの改ざんを防ぎます。これにより、攻撃が発生しても被害を最小限に抑えることができます。
サンドボックス分析:不審なファイルやコードを本番環境から隔離し、安全な環境で動作させて分析するサンドボックス機能により、迅速な対応と脅威の全体像の把握が可能です。この機能は、侵入を未然に防ぎつつ、攻撃のメカニズムを理解するために不可欠です。
2. AI技術の活用によるセキュリティの高度化

AI技術はエンドポイントセキュリティの効率と精度を大幅に向上させる要素です。以下の点に重点を置いてAI技術の導入を検討します:

異常検知と挙動監視:AIによる機械学習モデルは、正常なシステムの挙動を学習し、それに基づいて異常なアクティビティをリアルタイムで検出します。これにより、未知の脅威やゼロデイ攻撃も早期に察知することが可能です。
マルウェアとランサムウェア対策:AIは、既知の脅威のみならず、未知の脅威やパターンから外れた攻撃も検知できるため、特にランサムウェアなどの急速に進化する攻撃への対策に有効です。動作分析に基づいて攻撃を予測し、迅速に対応できます。
フォレンジック分析と根本原因の特定:攻撃が発生した場合、AIを活用したフォレンジック分析により、攻撃の経路や原因を詳細に解析し、再発防止策を構築します。このデータは次の攻撃への対応やセキュリティ改善に役立ちます。
3. 一元管理による運用効率の向上

IT管理者がエンドポイントセキュリティを効率的に管理できるよう、一元管理機能を導入することは重要です。以下の機能を重視して設計することが推奨されます:

中央集中型管理ツール:全エンドポイントを一つのプラットフォームで管理できるシステムは、セキュリティ体制の一元化を実現します。これにより、デバイスの検出、設定変更、パッチ管理、脅威の可視化など、さまざまな業務をスムーズに実行できます。
自動アラートとインシデント優先順位付け:AIや自動化技術を活用したアラートシステムは、インシデントの緊急度を事前に評価し、重要な脅威に対して優先的に対処できます。これにより、ITチームの作業負荷を軽減し、迅速な対応を可能にします。
リモートデバイス管理と登録:無線LANやVPN経由でデバイスを遠隔から検出・登録し、エンドユーザーに対して必要なセキュリティ設定やインストールリンクを提供することで、管理の手間を大幅に削減します。これにより、リモートワークが普及する現代のビジネス環境にも適応できます。

エンドポイントセキュリティの選定において、データ保護の強化、AI技術による予測と防御、そして一元管理による効率的な運用が重要なポイントとなります。特に、これら3つの要素が統合された製品を導入することで、企業のセキュリティ体制は大幅に強化され、リスクの低減と運用コストの削減が実現できます。

統合エンドポイント管理(UEM): 基本から製品選定までのガイド

統合エンドポイント管理(UEM)製品は、デバイスとその機能を一元的に管理するために欠かせないツールですが、製品選びには多くのポイントがあります。この記事では、主要ベンダーの特徴や選定時に考慮すべき点、さらに「MDM」(モバイルデバイス管理)や「EMM」(エンタープライズモビリティ管理)との違いを解説し、最適なUEM製品の選び方をサポートします。

UEM市場の概観と注目ベンダー

UEM市場は近年急速に成長しており、数多くのベンダーが競争を繰り広げています。主要なUEM製品を活用すれば、IT担当者はWindows 10デバイスに加え、Appleの「macOS」「iOS 11」、Googleの「Android」「Chrome OS」、さらにBlackBerry OSデバイスまでも一括管理できます。Windows 10のモバイルデバイス管理(MDM)向けAPIの強化が、この市場の拡大を加速させました。

主要なベンダーを知り、市場を正しく把握するためには、調査会社Gartnerの「Magic Quadrant for UEM」のレポートを活用するのが有効です。このレポートは、ベンダーの「ビジョンの完全性」と「実行能力」を評価し、「リーダー」とされるベンダーを特定しています。現在、UEM分野でリーダーとされている主要ベンダーには以下の5社があります。これらの企業は、革新と安定性を兼ね備え、企業のデバイス管理を強力に支援しています。

適切なUEM製品を選ぶためのポイント

UEM製品を選定する際は、以下のポイントに着目しましょう:

デバイス対応範囲:自社のデバイス環境に合ったプラットフォームと互換性があるかを確認しましょう。
機能の拡張性:将来的に必要となるであろう新しいデバイスやOSに対応可能か、機能のアップデートが柔軟かどうかを見極めます。
セキュリティ機能:特にCISOおよびガバナンス部門にとって重要となるセキュリティレベルも、製品選定の基準です。
総合的な管理性能:管理ポリシーのカスタマイズやデバイス設定の自動化、レポート機能の有無も考慮に入れましょう。
Gartnerの評価によるUEM分野のリーダー

Gartnerレポートでリーダーと評価されており、UEM導入において選択肢となり得るベンダーです。具体的な製品機能の強みや導入実績なども含め、導入前に比較検討することをお勧めします。

適切なUEMツールの導入により、エンドポイント管理の効率を上げ、企業のセキュリティと生産性の向上を図ることが可能です。

主要UEMベンダーの比較:VMware、Microsoft、IBM、MobileIron、BlackBerry

企業のエンドポイント管理ニーズが多様化する中、各ベンダーは特色あるUEM製品を提供し、さまざまな管理要件に対応しています。以下は、主要なUEMベンダーとその製品の概要です。これらの製品の特徴を理解し、自社に合ったソリューションを選定する際の参考にしてください。

VMware

VMwareはUEM市場において豊富な実績を持つ強力なベンダーで、特にエンタープライズモビリティー管理(EMM)の分野で評価が高いです。同社の「AirWatch」は、VMwareのデジタルワークスペース製品群「VMware Workspace ONE」の一部であり、エンドユーザーが業務アプリケーションに安全かつ簡単にアクセスできる環境を提供します。Workspace ONEにより、統合された管理とセキュリティ機能を享受できるのが特徴です。

Microsoft

MicrosoftのUEMサービス「Microsoft Intune」は、デバイス管理とセキュリティを包括する「Enterprise Mobility Security(EMS)」スイートの一部です。EMSには、ID管理やディレクトリサーバである「Azure Active Directory」や、CASB(Cloud Access Security Broker)機能を持つ「Microsoft Cloud App Security」などが含まれ、包括的なエンドポイント管理とセキュリティが提供されます。Intuneは、Microsoft 365の統合にも優れており、特にMicrosoft環境を採用している企業にとって有力な選択肢です。

IBM

IBMの「IBM MaaS360 with Watson」は、AIによる強化が特徴のUEM製品です。EMM分野で蓄積された豊富な実績を基に、セキュリティや管理機能をAIで強化し、エンドポイント管理の効率化を図ります。また、MaaS360は30日間の無料トライアルも提供しており、導入前に製品の機能を十分に試すことが可能です。

MobileIron

MobileIronは、UEM市場での評価も歴史も堅実な製品を提供しています。同社のUEM製品は幅広いOSとデバイスを管理でき、IT担当者は多様なデバイスに対応しやすいです。特に、iOS、Android、Windows、macOSの管理に強みを持っており、エンドポイントの種類が多い環境に適しています。

BlackBerry

BlackBerryの「BlackBerry Unified Endpoint Management」は、同社の「BlackBerry Enterprise Mobility Suite」の一部として提供され、セキュリティに重点を置いたデバイス管理が可能です。この製品は、iOS、macOS、Android、Windows 10、BlackBerry OSなど、さまざまなOSの管理に対応しており、セキュリティが最重要視される環境での利用に適しています。

各ベンダーの製品はそれぞれ異なる強みを持ち、自社のデバイス環境やセキュリティ要件に応じて最適な選択肢が異なります。導入に際しては、評価レポートやトライアル版の活用を通じ、製品が持つ管理機能、セキュリティ機能、エンドユーザーの使いやすさを慎重に比較検討しましょう。

UEMベンダーの拡張リスト

主要UEMベンダー以外にも、検討に値する企業が多数あります。以下の企業とその主要なUEM製品を参考に、UEMソリューションの比較検討を行ってみてください。

Sophos:「Sophos Mobile」
Citrix Systems:「Citrix Endpoint Management」
SOTI:「SOTI ONE」
42Gears Mobility Systems:「SureMDM」
Ivanti Software:「Unified Endpoint Manager」
Zoho(Manage Engine 部門):「Desktop Central」
UEMとMDM、EMMとの違い:選定の要点

UEM(統合エンドポイント管理)製品は、クライアント管理製品やモバイルデバイス管理(MDM)製品、エンタープライズモビリティ管理(EMM)製品など、関連する複数の製品分野から機能を統合して進化してきました。以下に、各製品分野の特徴を簡潔に整理し、UEMの選定におけるポイントを明確化します。

クライアント管理製品

クライアント管理製品は、PCのライフサイクルを一元管理するためのツールであり、Windows 7など、古いバージョンのPC管理に長く使用されてきました。代表的な製品としては、Microsoftの「System Center Configuration Manager」が挙げられます。こうした製品では、特定のデバイスやOSに対応するため、複数の管理製品を組み合わせる必要があるケースが多く見られます。

MDM(モバイルデバイス管理)製品

MDM製品は、タブレットやスマートフォンなどのモバイルデバイスに対するポリシー管理を重点的にサポートします。最近では、IoTデバイスも管理対象に含む製品も増えており、モバイルデバイスの管理に留まらない進化を遂げています。

EMM(エンタープライズモビリティ管理)製品

EMMは、MDMのポリシー管理に加え、アプリケーション管理(MAM)、コンテンツ管理(MCM)、デバイス管理の統合管理を提供します。これにより、企業内のデバイスを効率的かつ安全に運用するためのエンドツーエンドのソリューションとなります。

UEM(統合エンドポイント管理)製品

UEMは、PC、モバイル、IoTデバイスなど、幅広いデバイス管理を1つのプラットフォームで実現することを目指しています。クライアント管理、MDM、EMMそれぞれの機能を包含し、複数のデバイスやOSの一元管理を可能にするため、組織全体の管理効率を高めることができます。

UEM導入の選定ポイント
対応デバイスの多様性:自社が使用するPC、スマートフォン、タブレット、IoTなど、各デバイスに対応可能か確認します。
セキュリティ機能:エンドポイント管理とともに、包括的なセキュリティ管理が実装されているか確認します。
拡張性と柔軟性:新しいデバイスやサービスの導入に伴い、UEMがスムーズに拡張できるかも重要なポイントです。
既存インフラとの連携:既存のシステムやアプリケーション(例:Microsoft 365やAzure)と容易に連携できるか、適切な統合性が確保されているかも検討しましょう。

各製品の特徴を理解し、自社の環境や長期的な成長戦略に最も適したUEMソリューションを導入することで、効率的でセキュアなエンドポイント管理を実現できます。

EMM製品の役割とUEM製品の進化

EMM(エンタープライズモビリティ管理)製品
EMM製品は、MDMの基本機能に加え、モバイルアプリケーション管理(MAM)やモバイルコンテンツ管理(MCM)機能も搭載しています。これにより、企業はエンドユーザーが利用する各種モバイルデバイスを効率的に管理しつつ、セキュリティリスクの軽減を図れます。特に、デバイス全体ではなくアプリ単位でのセキュリティ管理やポリシーの適用が可能なため、データ漏洩リスクを大幅に抑えることができます。

UEM(統合エンドポイント管理)製品
UEM製品は、モバイルデバイスやPCだけでなく、プリンタやIoTデバイスといった他のエンドポイントも一元的に管理するためのソリューションです。複数のデバイスやOSが混在する環境で、包括的に管理することが可能で、企業内のあらゆるデバイスを統合管理するのに最適です。

UEM製品選定時の要点

IT担当者はUEM製品を選ぶ際、以下の主要要件を明確にする必要があります。

管理対象デバイス
自社で管理する予定のデバイスの種類やOSのバリエーションを整理します。また、PCやモバイルに限らず、今後はIoTデバイスや業務用プリンタなども含めるかどうかを検討します。

デバイスの管理要件
管理対象デバイスの利用頻度や重要性に応じて、対応が必要な機能やセキュリティレベルの高さを見極めます。

ベンダーの技術力と成熟度
候補UEMベンダーの技術力や、MDMおよびEMMの知見の深さも重要です。多様なデバイスやOSを扱える柔軟性があるかどうかも確認しましょう。

信頼性と製品の成熟度
製品の信頼性や市場での評価も要チェックです。既に導入している企業の実績やレビューを参考にし、安定したサポートと高い運用性が保証されているかどうかを確かめます。

導入と評価プロセス

ほとんどのUEM製品には無料トライアル期間が設けられているため、選択肢を2〜3社に絞り、評価のための十分な時間を確保しましょう。多様なデバイスやOSを一元管理できるUEMソリューションは、IT部門の負担軽減やセキュリティ向上に大いに寄与します。

UEM製品導入のROI分析

UEM製品の導入にはコストがかかるため、単に導入費用だけでなく、製品の品質や管理効率の向上効果も含めた投資対効果(ROI)分析が欠かせません。適切なROI分析を行い、長期的なコスト削減と効率性向上の観点から、品質の高いUEM製品への投資を経営層に提案することが、IT担当者にとっての重要な役割となります。