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EDR・MDR・MEDR・MNDR・MXDR(6)

データコンサルタントおよびデータアナリストの視点から、高度化するサイバー攻撃に対するデータ分析主導の防御策と、セキュリティ運用におけるデータ活用の重要性について考察します。

潜伏期間中の不審な挙動データ検出の限界

高度化・巧妙化するサイバー攻撃、特にシステム内に潜伏期間を持つ脅威に対して、従来のセキュリティ防御策、特にシグネチャベースの検知に依存するアプローチでは、攻撃者が潜伏期間中に生成する不審な挙動データや微細な痕跡データを捉えることが困難です。EDR(Endpoint Detection and Response)単体で収集されるエンドポイントデータも、設定によっては捕捉できるデータに限界があるため、結果として被害が拡大し、より多くのデータが侵害されるまでインシデントが発覚しないケースが多く見られます。

データに基づいた能動的な脅威検出(Threat Hunting)

データ侵害の被害拡大を防ぐためには、攻撃者がシステム上に意図せず、あるいは必然的に残す痕跡データを早期に、データに基づき能動的に捉える新たな防御策が不可欠です。Threat Huntingは、既知の脅威インテリジェンスデータや過去のインシデントデータに基づいた仮説を立て、エンドポイントやネットワーク上の様々なログデータ、イベントデータ、さらに詳細なメモリデータやファイルシステムデータなどを探索・分析することで、潜在的な脅威の痕跡を特定するデータ駆動型のアプローチです。このプロセスは、従来の自動化された検知システムでは見逃されがちな、データに隠された異常を発見することを目的としています。

Threat Huntingを支援するデータ分析ツール:ThreatSonar

ThreatSonarのような脅威ハンティングツールは、データに基づいた高度な脅威検出プロセスを支援します。TeamT5が提供する最新の脅威インテリジェンスデータ(APT攻撃手法、IOCs等)を活用した自動検出機能は、特定の脅威パターンに関するデータに基づいたスクリーニングを効率化します。メモリフォレンジック機能は、メモリ上に残された攻撃痕跡データ(プロセス情報、ネットワーク接続情報等)を迅速に収集・分析することを可能にし、従来のファイルベースのフォレンジックでは得られないデータからの洞察を提供します。インテリジェンス駆動型の脅威ハンティングは、最新の脅威データに基づき、効率的にデータ探索範囲を絞り込むデータ分析プロセスであり、限られたリソースで効果的なデータ探索を可能にします。

Threat HuntingとThreatSonarのようなツールの活用により、EDR単体では見逃す可能性のある高度な攻撃に関するデータ(不審なプロセス、未知の通信パターン等)を早期に特定し、セキュリティ担当者がデータに基づいた迅速なインシデント対応(影響範囲特定、封じ込め、修復)を行えるようになります。これは、データ侵害による被害データの最小化に大きく貢献します。

セキュリティ運用におけるデータ管理とリソース課題

多くの企業が限られた予算と専門セキュリティ人材の不足に直面する中で、高度なセキュリティ対策を導入・運用することには難しさがあります。複数のセキュリティ製品を組み合わせて運用するマルチベンダー構成は、異なる製品から生成されるセキュリティログデータやイベントデータの収集、統合、管理を煩雑にし、インシデント発生時の関連データ分析と対応に係る負担を増大させます。専門セキュリティ人材の不足は、収集された大量のセキュリティデータを適切に分析し、データに基づいた脅威特定や防御策実行を困難にし、結果として防御の隙が生じやすくなります。これらのデータ管理・運用上の課題が、セキュリティ強化に向けた運用コスト増大の一因となっています。

データに基づいたセキュリティ運用効率化の方向性

限られたリソースの中でデータに基づいた迅速かつ適切な対策を講じるためには、エンドポイントやネットワーク、セキュリティ製品から生成される多様なセキュリティデータを統合的に収集・分析し、運用・対処プロセスを効率化できるソリューションが求められています。Threat Huntingツール単体だけでなく、専門家によるセキュリティデータ監視・分析サポートを含むMDR(Managed Detection and Response)のようなサービスと組み合わせることで、データ収集、分析、対応プロセス全体を効率化し、データ駆動型セキュリティ運用を強化することが有効です。これにより、セキュリティログ、アラート、インシデント対応プロセスに関するデータを収集・分析し、継続的なセキュリティ態勢の改善に貢献します。

結論

高度化するサイバー攻撃に対抗するためには、従来のシグネチャベースの防御に加え、データに基づいた能動的なThreat Huntingによる潜在脅威の早期発見が不可欠です。Threat Huntingは、多様なセキュリティ関連データ、特に不審な挙動データや攻撃痕跡データを収集・分析するデータ駆動型のアプローチです。ThreatSonarのようなツールは、脅威インテリジェンスデータやメモリフォレンジックを活用し、このプロセスを支援します。限られたリソース下で効率的なセキュリティ運用を実現するためには、データ収集・分析・対応プロセスを統合し、データに基づいた意思決定を迅速に行える仕組みが必要となります。データコンサルタント/アナリストとして、私たちはこうしたデータ分析主導のセキュリティ対策、データに基づいたThreat Huntingの導入、そしてデータ活用によるセキュリティ運用効率化を支援することの重要性を認識しています。

データで紐解くランサムウェア脅威と、次世代エンドポイントセキュリティへの移行戦略

1. データが示すランサムウェア脅威の定常化と構造的変化
ランサムウェアは、もはや一過性の脅威ではなく、事業継続を脅かす定常的なリスクとして認識すべきフェーズに移行しています。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開する「情報セキュリティ10大脅威」において、ランサムウェアによる被害は2021年版から5年連続で「組織」部門の第1位を維持しており、その脅威度の高さは客観的なデータによって裏付けられています。

注目すべきは、攻撃手法の構造的変化です。SaaSのビジネスモデルを模倣した「RaaS(Ransomware as a Service)」の台頭は、攻撃者の技術的参入障壁を著しく低下させ、攻撃の量産化を招いています。さらに、データの暗号化を行わず、窃取した情報の公開を盾に金銭を要求する「ノーウェアランサム」といった新種の攻撃も観測されており、攻撃の目的が「事業妨害」から「情報資産の収益化」へと多様化・高度化していることがデータから読み取れます。

2. 従来型対策の限界を示すデータと、エンドポイントの脆弱性
これらの高度化した脅威に対し、従来のエンドポイント対策である「EPP(Endpoint Protection Platform)」の有効性は著しく低下しています。ある調査データによれば、ランサムウェア被害を受けた組織の74%が、既存のウイルス対策ソフトでは攻撃を検知できなかったと報告されています。これは、既知の脅威情報を基にしたシグネチャベースの検知手法が、未知のマルウェアやファイルレス攻撃といった非従来型の攻撃手法に対して脆弱であることを明確に示唆しています。

攻撃の侵入経路としてエンドポイント(PC、サーバー等)が依然として主要なターゲットであるという事実は、多くのインシデントレスポンス報告書で指摘されており、ここを起点とした防御策の再設計が急務です。

3. EDR(Endpoint Detection and Response)導入による定量的効果
EPPの限界を補完し、新たなセキュリティパラダイムを実現するソリューションが「EDR(Endpoint Detection and Response)」です。EDRは、エンドポイントにおける全てのアクティビティを常時監視・記録し、侵入後の不審な挙動(振る舞い)を検知・分析することで、インシデントの早期発見と迅速な封じ込めを可能にします。

EDRの導入効果は、インシデント対応時間(MTTD: Mean Time to Detect / MTTR: Mean Time to Respond)の短縮という定量的な指標で測定できます。脅威の検知から対応完了までの時間が短縮されれば、被害範囲の拡大を最小限に抑制し、結果として事業インパクトと復旧コストを大幅に削減することが可能です。

4. 中小企業におけるデータドリブンなセキュリティ投資判断
一方で、中小企業においては、EDR導入におけるTCO(総所有コスト)の高さや、高度な分析を担うセキュリティ人材の不足が導入障壁となっているケースが散見されます。

しかし、この課題に対する解は存在します。それは、AI(人工知能)エンジンを搭載した次世代型EDRの活用です。AIによる脅威検知と分析の自動化は、セキュリティ担当者の運用負荷を大幅に軽減し、専門知識への依存度を低下させます。

さらに重要な選択肢が「自動復旧(Automated Remediation)」機能です。万が一、攻撃が実行された場合でも、影響を受けたファイルを即座に攻撃前の状態へ自動復旧させるこのアプローチは、ダウンタイムを極小化し、事業継続性を確保します。これは、限られた人的リソースで最大の効果を創出するための、データに基づいた合理的な戦略と言えます。

5. セミナーのご案内:AI駆動型EDRによる実践的セキュリティ強化策
本セミナーでは、ランサムウェア対策における意思決定の質を高めたいとお考えの情報システム、インフラ、セキュリティ部門の担当者様を対象とします。

「EDR導入の投資対効果(ROI)をどのように算出すればよいか」
「自社のリソースで運用可能なEDRソリューションの選定基準とは何か」

といった課題に対し、セキュリティ市場の最新データと分析を基に、EDRの必要性を論理的に解説します。さらに、AI駆動型EDR「SentinelOne」を具体的なソリューションとして提示し、同製品が持つ脅威の自動検知、分析、自動復旧機能が、いかにして運用コストを最適化し、強固なサイバー攻撃対策を実現するかをデータと共に詳説します。

本セミナーを通じて、貴社のセキュリティ投資を最大化するための、実践的かつデータドリブンな知見をご提供します。